『梟 ―フクロウ―』
病気の弟を世話しながら貧しい暮らしをしていた盲人の鍼師ギョンスは、才能を認められ宮廷で働くことに。しかし宮廷内でうごめく恐ろしい権力逃走の現場を"目撃"してしまう。
韓国時代劇ドラマでは定番の医療時代劇、韓国映画らしい緻密で重厚なビジュアル、ノワール映画を思わせる権力への反骨精神。韓国映像作品の特異分野をすべて研ぎ澄ませたような大傑作。長いキャリアを経て長編デビューを果たしたアンテジン監督に心から脱帽!
https://www.youtube.com/watch?si=XHvlSy69DBKWNhp7&v=PMwWtKLDvxQ&feature=youtu.be
https://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/
『#アクアマン/失われた王国』(2023年)劇場鑑賞。
DCEUのことは良く解っていないが、前作が面白く、ブラックマンタも絶対また登場するだろうなと思っていて、ジェイソン・モモアが好きだから続編は嬉しい。
気候変動危機の問題を、子どもにも伝わるようにお話に盛り込みながら、海中・砂漠・氷の世界とステージを変えて冒険文学のように楽しく観られる作品だった。
ジェームズ・ワンのミューズ、パトリック・ウィルソンが大活躍。本当はモモアよりお兄さんなんだよね…。本作の不憫を一身に背負う、シリアス担当:ブラックマンタ、ラストの潔さ。もっと彼を見たかった。その彼の下でまさかの大活躍、今回のマストいい人枠:シン博士もよかった。爆発に巻き込まれた時、死んじゃう、ヤバい!って本気で思った。アトランティスに憧れる冒険科学大好きっ子たちの代表だよね。ワン監督は、悪役もどこか憎めない部分や、ちょっと笑わせるアクションシーンがうまい。科学兵器に海の仲間たちが力強く対抗するところも、そんなに強いの〜?って笑いながらもどこか爽快だったりする。
ラストはこの世界みんなで守っていこ!ってちゃんとメッセージしていて、こういうストレートな作りができるの、えらいと思う。
https://klockworx-asia.com/CU/
『#コンクリート・ユートピア』(2023年)劇場鑑賞。
国土全体が崩壊し、救助も及ばない状況で一棟だけ残ったマンションを舞台に、元の住民と住まいを失った被災者との争いと生存戦略が描かれる。
ヨンタクの狂気が物語の推進力だけれども、観ていていちばん怖かったのは、住民以外を追放して入口を封鎖した時の最初の攻防。相手に殴られて流血し、反撃したヨンタクに対して周りが『英雄!イケメン!よくやった!』と賛美してしまうところ…本来は、人目に触れずひっそりとやり過ごすことを望んでいたヨンタクを、自分たちの暴力を正当化するためのシンボルにしてしまった。何かを守るためには、何かを犠牲にしたり、見捨てたりすることも必要なのだと言い訳を与えてしまった。ウチがうまく回っていればそれでいい、という視野の狭さ。利権でつながった一部の仲間うちだけで食料を分け合い、足りなくなったらもっと弱いところから奪う。弱いものを守ろうとする人から排除されていく。
このような世界で、支配側に従順であることで生き延びようとする夫ミンソンと、命を救う職業に従事する立場の妻ミョンファのラストの選択が、まだ他の道、方法があるのではと希望を感じる物語になっていた。翻って本邦の被災地の皆さんの心情に思いをはせたい。
風俗店で副業の保育士を懲戒処分 収入は「奨学金返済に」 https://mainichi.jp/articles/20240201/k00/00m/040/363000c
問題は奨学金がただの借金制度なこと、保育士の給与が安すぎること、ご丁寧に通報する監視大好き人間がいること。日本の冷たさと理不尽さが凝縮したような事案。
#catsofmastodon #fedibird
猫ちゃんと暮らすには様々な資質を兼ね備える必要があります。例えば仕事から疲れて帰宅した際、このような光景を目にして「ああ、片付け忘れた私の落ち度だ。次から気を付けなくては。」と素直に反省できる人間性などが挙げられます。
『哀れなるものたち』感想
ヨルゴス・ランティモス監督の創造性が溢れまくっています。私は本作は、身体の枠を超えて己を定義づけられるようになるまでのアイデンティティ形成を寓話的に描いたもので、トランジションの話だと感じました。医療的な行為が家父長的なものとして重ねられているのも面白いです。『バービー』とはまた違った、明示的ではないけどジェンダーバリアントでトランスジェンダー・ナラティブな雰囲気がありました。
https://child-film.com/perlimps/#modal
『#ペルリンプスと秘密の森』(2022年)劇場で鑑賞。
あふれる色彩と光、詩のことばがぐんぐん迫ってくる冒頭。そこから「なんだか妙に、子どものごっこ遊びみたいな世界だな…」と感じながら、二体の生き物の様子を見ていくと、本当に子どもたちの内側にある世界だったことがわかる。
絵本のようなやさしいタッチの絵柄と、ちょっと電子っぽくて盛り上がるような音楽の組み合わせも独特。獣に近い姿で森を駆け回るシーンは『ウルフウォーカー』(2020年/カートゥン・サルーン制作)を連想する。生まれてくる場所や親を自分では選べない子どもの閉塞感、幻想の中でしか開放されない衝動。カラフルで美しい風景の外側にある、子どもですら単純に人と関われない、いのちが奪われる現実を思い苦しい。
しかしラストには、この子らが成長した未来の世界に向けた希望も感じた。作中のキャラクターに共感できる子どもに見てほしい。Eテレで放送してくれないかな。
日本の劇場アニメーションでも、戦争を描いたものが多く見られた2023年。自然と開発、対立、紛争などの現実社会を描き、多くの人に伝えるうえで、アニメーションがこれからも重要な表現手段となっていくのだろうなと思う。
今日の19時からポリタスTV「コンビニの成人向け雑誌問題をあらためて考える 前編」が放送されます(後編は明日の19時公開)。新婦人が全国から集めた500件以上の調査結果と共にお送りしますので、ぜひご覧ください。新婦人の運動が表に出てくること、ほとんどないから貴重だよ。
1週間は無料アーカイブで見れます。が、炎上の具合によっては短めに切り上げる可能性もあるとのことなんで、おはやめに!
『スキャナー・ダークリー』 (2006年)
U-NEXTで鑑賞。
https://www.google.com/search?kgmid=/m/05gjj1&hl=ja-JP&q=スキャナー・ダークリー&kgs=9339ce3a92a613ac&shndl=17&source=sh/x/kp/osrp/m5/4&shem=ssusba
リチャード・リンクレイター監督のロトスコープアニメ映画というガワにひかれて、予備知識ゼロで観た。
“信用できない語り部”視点の、虚実が混沌とするドラッグ中毒×潜入スパイもので、何を見てるのか判らなくなる内容と、アニメーションならではの表現技法がうまくかみ合った作品だと思う。オープニングの虫わきシーンとかイヤ過ぎる。虫が苦手な人は要注意⚠️
スクランブル・スーツも、映像として見せる“解”があった。終盤ますます歪んでいく認知表現はボブ…不憫…とかわいそうになる。やっぱりキアヌ・リーブス演じる人物は、ダークでもどこか憎めない。
そしてロバートダウニーJr.がムカつく~!人をイラつかせる演技うまぁー!
組織内でも相手の正体が判らない、という複雑な設定上、この人物はもしやあの人なのでは…?という推察はできるかもしれない。それが明かされてからの終盤は、映っているものは広大で美しいのに、代償を負わされた彼の姿がとても寂しい…。
『ロスト・エモーション(Equals)』(2016年)U-NEXTで鑑賞。
https://www.google.com/search?kgmid=/m/0_vl_q6&hl=ja-JP&q=ロスト・エモーション&kgs=4e3e9a15fea9eb11&shndl=17&source=sh/x/kp/osrp/m5/4&shem=ssusba
感情の発露が病気認定されてしまうディストピア社会を舞台にした、ニコラス・ホルトとクリステン・スチュアート主演のラブストーリー。ほとんど日本で撮影されたという無機質な建造美術と、白やグレーの彩度低い色調に寒色の照明を組み合わせたロケーションが近未来SFの世界観を作っている。『Arc』もそうだけど、親近感と違和感が同時に存在する奇妙な感覚。
どうなるか判らなくて怖い、けれどどうしても惹かれてしまう!近づきたい!人を好きだと思う心理の不思議と、互いに通じあった想いの昂り、触れあうことの喜びが、静かに描かれる。
設定を無視すれば「バレちゃう?ドキドキオフィスラブ」でもあり(頭悪い文章)二人が初めてキスするシーン、昨年観た『マイ・エレメント』のエンバー&ウェイドのそれと同じくらい、正直興奮した。それがまさか「ロミオとジュリエット」展開になるとは…そしてその末路にある二人の選択。感情のすれ違い、互いへの想いが均等でないことなど、誰かと共に生きることの複雑さを考えさせられる、最後は自分自身に問いが返ってくるような物語。三宅隆太先生の2017年ベスト内で紹介されていた。かなり好き。
『チェンジリング』(1980年) U-NEXTで鑑賞。
https://www.google.com/search?kgmid=/m/05y808&hl=ja-JP&q=チェンジリング&kgs=58d8b1547bee6624&shndl=17&source=sh/x/kp/osrp/m5/4&shem=ssusba
三宅隆太先生が、本当に怖い映画だと仰っていたが、その通りでJホラーの源流も感じる作品。
特殊メイクやVFXに依らない恐怖演出。記録媒体に残される霊魂の声、古い車椅子、“リング”を観た人なら誰もが不安になる“井戸”などのディテール。
作曲家という主人公の設定と、霊が自分の存在を伝える手段の結びつけかたにもはっとさせられた。
タイトルの意味が明らかになる中盤以降は、物語の終結に向けてミステリーの様相を帯びてくるものの、大人の欲望の犠牲となった二人の子どもが不憫で、凶暴化する少年の想いも、ラスト炎の中へ導かれる彼の人の姿も切なかった。
https://tottochan-movie.jp/
『#窓ぎわのトットちゃん』(2023年)劇場がほとんど満席だった。
予告に比べて本編はキャラクターデザインが落ち着いている印象で、ずいぶん昔に読んだ原作の文章も思い出しながら鑑賞。改めて、この時代にこのような教育を受けられる学校があったこと、黒柳家の生活、文化水準の高さなど、現代と比較しても豊かさを感じると同時に、描かれていない社会の格差についても思いが至る。
“手のかかる”“予測不能”な子どもでも、一人で電車で学校に通わせるという、この時代ならではの、地域社会全体で子どもを見守るという空気も感じた。
評判通りアニメーションが素晴らしく、全体的な動画はもちろん【電車】【水中】【悪夢】という、子どもの想像力や可能性が拡がっていく表現パートでは、異なる手法が短い時間でもとても印象に残る。易しい口調で語られる原作に準じて進行してきた映画のクライマックスは、生きたくても生きられなかった命があることの理不尽を知った子どもの眼差しで戦争のある世界を映す。炎上する学舎、取り壊される夢のように可愛らしいおうち、無くなってしまっても消えない未来への希望が示されるラスト…トットちゃんのお話はいつも、いつかみんないなくなる寂しさと、自分はまだ生きていることを感じさせる。
安倍内閣のときは、内閣がそう発表したわけでもないのに「この政策にはこういう深い意味があるんだ。そんなこともわからないのか」と言う人がTwitterにたくさんいました。それを見るたびに、「本当に尊師に従っていいのだろうか。やはり人を殺すのはまずいのでは」と思いつつ「いや、尊師にはわたしにはわからない深い考えがあるのだ。わたしの修業が足りないからわからないだけだ」と考えて犯罪にまで至ったオウム事件の実行犯を思い出していました。安倍さんは麻原と同じだと言いたいのではなく、周囲が勝手に意思を読み取り始めるのは危険だという話です。
菅・岸田両内閣ではそのような「解説者」が減ったように思っていたのですが、今回の地震でまた増えてきたように思えて気がかりです。
映画をたくさん観たい。
アトロクリスナー(ちゅーれんてんほー)