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【情報募集】語圏、文学/ジャンル小説、散文/韻文など問わず、現代日本文学の海外受容に関する面白い記事(外国語で書かれたものでも)をご存じの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。記事としてまとめて行きたいと思っています。

母袋夏生『ヘブライ文学散歩』(未知谷、2020)にはヘブライ語への日本文学の翻訳をめぐる文章が収録されています。村田沙耶香なども訳されているほか、(重訳でなく) 日本語から直接翻訳できる訳者も10人はいるとあります。

【告知】お待たせいたしました!『jem』創刊号、BOOTHにて少部数ですが通販(予約注文となります)を再開しました。一部の記事の版を組み直した関係で、申し訳ありませんが発送予定日は最短で来年の1月8日頃となります。
jemsite.booth.pm/items/6279401

ホイト・ロング『数の値打ち グローバル情報化時代に日本文学を読む』(秋草俊一郎・今井亮一・坪野圭介訳、フィルムアート社)によると、青空文庫に収録されている文学作品のサブセット(児童文学除く)で、女性作家によるものはわずか9パーセント未満であるそうです。これは明らかな偏りでしょう。

小笠原鳥類のボルヘスを巡る「書物を並べると出現する、幻の、あの人」(「「水声通信」31号(2009、アナイス・ニン特集)」)。「あの人」に丁寧に寄り添う素敵なエセー。『アトラス』がだいすきなので、その話をしてくれているのもうれしく、ボルヘスコレクションについて「魅力がゆっくりと確実にやって来る本を集めたシリーズ」、もっとうれしくなる。コールリッジの訳の読み比べも勉強になるし、結尾、最終段落の初めの一文が素晴らしい。

【あとで消します】12/28の第90回「読んでいいとも!ガイブンの輪」、参加するか迷っています。行かれる方いらっしゃいますか…?
bookandbeer.com/event/bb241228

「NEW ATLANTIS」は美学だけでなく強さと理知の感じられるサイトでもあった。幻想文学の愛好家は、ときに過度なナイーブさを露わにしたり社会への意識が希薄だったりする場合もある。しかしある日、木地雅映子『氷の海のガレオン』について肯定的でない評価をしているごく短い記述を読んだときに、――当時の自分が幾度となく読み直していた作品であったにも関わらず――ああ、この人の物の見方に照らせばそう結論されうるのだろうなと、なぜか必然性を感じた記憶がある。あとづけの理屈かもしれないが、自分が惹かれていたのはフラジャイルなものへの志向に回収される部分ではなく、ではそれがなんであったか、というのは言語化するのはためらわれる。けれど確かなのは、「NEW ATLANTIS」はとても意志的で、闇夜の色なのにだから星座が映えるようにまぶしくて惚れ惚れしてしまう、つまり勇敢な少年のように「かっこいい」サイトだったということ。現在は単著もすでに刊行しているライターとして旺盛に活躍されているようで、とてもうれしい。

2006~2009年ごろにかけて、「NEW ATLANTIS」というサイトを愛読していた。当時自分が運営していたブログのトップページから、二年ほどリンクを張っていたから忘れるはずがない。こうして夜中にサイトの名をタイプしてみると、プラネタリウムのような美麗なサイトデザインの記憶がまず無音であざやかに破裂する。鉱物や工作舎の刊行物、少年性の嗜好品。端正な文章で書かれた書物の紹介と、日常の記録。四方田犬彦『摩滅の賦』など、そこで興味をもっていつか読みたいと今も思っている本は一冊ではない。

ウェブサイトがその人のいい部分の詰まっている空間なのだとすれば、その書き手に関心がゆくことは自然であるはずだ。研究など日常の記録もそこにあり、記述から勝手に憶測するに自分と極端に歳の離れた方ではないと知覚され、ますます仰ぎ見てしまうのだった。

自分が「jem」のために時間をかけて書いた「国別展望 韓国における日本文学受容」、韓国の作家さんに感想をいただいてしまって嬉し恥ずかし。書き終わってから、砂鉄が磁石に集うように少しずつ情報が集まってきているのでいつか増補版を書きたい…。

文学フリマ東京で「ハンガーの巣」というサークルが販売していたアニタ・ルース『紳士は金髪がお好き』、面白そうで通販で購入してみました。これ、サバト館から出ていたというのは生田耕作が気に入っていたということ…?

大学時代、ジェイムズ・ブランチ・キャベル『夢想の秘密』と『グレート・ギャツビー』の刊行年がそうは離れていないことに気づいて驚いたことがありましたが、本作原書は1925年の出版。今回「jem」に作品を掲載したフランク・オーウェンも、1920年代に多くの短篇を書きました。

ファンタスティック・マガジン特集の「幻想文学」で紹介されている《世界幻想文学大系》の叢書案では、オウエンという文字列が視認できますね。ベルギーのThomas Owenの可能性もゼロではありませんが、当時の荒俣宏の嗜好を考えればFrankだと直感しています。

公式noteに「〈東方幻想〉の作家たち(に向けてのノート)」をアップしました。創刊号で短篇を二篇掲載し(高山直之さんの流麗な翻訳…)、西崎憲さんや中野善夫さんにも鍾愛される作家、フランク・オーウェンの紹介を兼ねています。
note.com/jem_site/n/nd98ad131f

この号には「jem」創刊号にも異様な熱を帯びた原稿の礫を寄せてもらった大島豊さんが参加しているが、もともとはこれもビショップのおかげ。僕が大島さんの名を強烈に意識しやがてこちらからコンタクトを取り、ついに知遇を得ることになったのは「宇宙飛行士とジプシー」でネット検索して出てきた浅倉久志をめぐる記事にどうしようもなく強く惹かれたからである。安田均がかつて明敏にも指摘したように、ビショップはやはり共感回路を人と人のあいだに生成してしまう作家なのではないか。

おや、雑誌の熱について語るはずが、きょうは感傷的な追想にひたってしまって一回休み。続きはまた、いつかの夜に。

文学フリマで期待とともに購入した『カモガワGブックスVol.5 特集:奇想とは何か?』を面白く読んでいる。

坂永雄一「小さなはだしの足音」は足跡発人類史経由銀河行きという骨太の思索的サイエンスフィクション。後半に至り、虚構内の仮説を誰もが知る童話に接続させてしまう手つきが凄い。ところで、同氏の「奇想的宇宙SFの世界」冒頭ではビショップ「宇宙飛行士とジプシー」が取り上げられていて、小さなはだしの足音よりもずっと小さな声を上げてしまった。この作品はいまだ「SFマガジン」1975年5月号に訳出されたきり書籍に収録されていないが、今まで読んだ限りの浅倉久志の翻訳作では僕にとって文字通り最も愛着のある作品なのである。普通に考えれば本作を「宇宙SF」として紹介するのはいささか無理があるのだが、おそらく書き手はそれを承知で掬いとりたかったのだろう。(つづく)

本日文学フリマ東京39にお越しくださった方、本当にありがとうございました。当日分完売、またBOOTHの通販分も完売いたしました(現在注文いただけない状態です)。現在増刷を検討しており、販売再開できるようになりましたらまた公式noteで告知いたします。

【ゆるく募集】文学フリマ東京、海外文学関係のサークルなどでおすすめがあればメッセージなどでこっそりお知らせいただけないでしょうか。ただ、おすすめいただいても廻れない可能性もかなりあります…。すみません。

(YOUCHANの流麗な装画のおかげで)雑誌をイギリス人の同僚に見せたら、「本屋で売っている出版物と変わらなく見える」と言ってもらえた…。しかし、Samantha HarveyについてThis writer got the Booker Prizeと言うところをなぜかI got the Booker Prizeと言ってしまって謎の爆笑が起きた。い、In the future, hopefully…

【お知らせ】Boothにて通販を開始しました!ご注文をお待ちしております。恐縮ですが、イベントとの兼ね合いで発送は最短でも12月3日(火)から行います。ご了承ください。
jemsite.booth.pm/

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