イーロン・マスクのTwitter買収はビジネスとして大失敗だった。ヘイトスピーチなど有害コンテンツを嫌い広告主は逃げ、売上げは2年で84%減。企業価値を大きく毀損し、英国やブラジルでは暴動を幇助した。ブラジルではサービス停止を命じられた。
ところがイーロン・マスク本人はそれほど困っていない。X/Twitterの赤字はポケットマネーで埋められる水準だ(マスクはテスラから超高額の役員報酬を得ている)。
そしてイーロン・マスクは今年に入り米国の共和党とトランプに深く食い込んだ。トランプはマスクを政権に起用すると発言。
イーロン・マスクはお金を無駄に使い、Twitterを壊し、社会の不和を煽り、その結果として政治的な影響力を得た。迷惑系テック富豪がのさばる世の中だ。
「自分は特別である」——このような自我の肥大化から脱出できないかわいそうな人々は大勢いる。
日本の世襲政治家である麻生太郎氏の逸話が強烈だ。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/03250557/?all=1
「衆院選での演説の第一声は“下々の皆さん”」
「記者に向かって“お前らさぁ、金持ちの家に生まれた苦労は知らねえだろ”」
「総理番の記者たちのマナーや言葉遣いが悪いと言って“質問者を代えろ!”などとよく怒っていた。“目上の人間にきちんと口も利けないヤツにインタビューさせるんじゃねえ”という感じで。いつもイライラしていましたね」
麻生氏の人物評。
「安倍さんが麻生さんを重用したのは、政治力もありますが、やはり境遇が似通っているからでしょうね」
「アリストクラシー、貴族主義の人。だから下々より俺の方が仕事ができるという自負がある」
感想:
政治家、権力者は「自分は特別だ」という考え方に陥らないよう自らを戒めることが求められる——と私は考える。しかし麻生太郎氏の場合、良く言えば肥大した自我に苦しみ続け、率直にいえば愚かさから脱却できていない。
他の世襲政治家も、程度の差はあっても似た問題を抱えているだろう。
世襲政治家がのさばり縁故政治が幅を効かせると、自由な民主主義と資本主義の活力は失われていく。要警戒。
"野太郎デジタル相は3日、必要な人に対象を絞って物資や補助金などを支給する「デジタルセーフティーネット」をつくる意向を示した。"
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0339N0T00C24A9000000/
"税や社会保険料など所得に関するデータを国が一元的に管理する。"
ここが重要。
解説と感想:
マイナンバー制度発足の頃に「日本の財政を救うため、徴税捕捉率を高める狙いだ」との話を聞いた。主婦パートや副業などを含め、庶民から漏れなく税を取る仕組みがマイナンバーです。
記事ではセーフティネットの話であるかのように書いていますが、国から見たマイナンバーは「お金を配る」仕組みである以前に「お金を取る仕組み」であることに注意が必要です。
これはエストニアの電子政府も同様。エストニアのように「確定申告が不要」なレベルまで効率化すれば国民にもメリットが出てくるかもしれませんが、日本ではどうなるでしょうか。
9月3日、NVIDIA株は9.5%下落。1銘柄として過去最大の2789億ドル(約40兆5460億円)が消えた。NVIDIAには反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いもかかる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-03/SJ98BFT1UM0W00
AIへの過剰な期待を警告する声が、株下落の大きなきっかけとなった。
JPモルガン・アセット・マネジメント(JPAM)とブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)は、「AIが世界経済を刷新する」との見通しは遠いとの見方を示し「テクノロジー以外の企業からのAIサービス需要が増加し始めない限りAIへの支出は正当化されない」と警告。
感想:AIへの異常な投資の背後には、シリコンバレーエコシステムが持つ、テクノロジーとカリスマ経営者を称揚する文化がある。
だが、AIが実体経済を改善させている証拠は乏しい。経済、投資の常識では今のAIへの期待を正当化できない。つまり、このままではバブル崩壊は必然となる。
テック企業は、バブル崩壊の前に「なにかすごいAI技術」を世に出そうとするだろう。だが、今のやり方——ニューラルネットワークモデルTransformerに大量かつマルチモーダルのデータを食べさせ学習——による性能向上は頭打ち。別のやり方の成果を短期で出せるかが分かれ目。
ここでも繰り返し批判している山口二郎氏が「立憲民主党の代表選挙について、リベラル派市民が野田さんを嫌悪する事情も分かるけど、今の日本でリベラル派は少数でしかないことを理解すべき。そのうえで、政権交代を起こすために中道保守と提携するか、尖ったことを言い続けるリベラルでいたいかを選択すべき」と言っている。
これぞ「ザ・エキセン」という所だろう。その意味ではご本人「尖ってはいる」。
そもそも山口二郎は小選挙区制の「改革派」論客として旗を振ったわけだから、そもそも公論で説教できる、ということがおかしい。
それはそれとして、現在の東大・京大の政治学者は頭から「左派」を排除して思考するように訓練されているから、「リベラルは少数」という安直な結論に到達する。
実際、現在政治学で「左派」と見られるとまず大学のポストはない。
しかし、現実の政治では人口の大多数がこの30年で生活水準が大幅に低下。現在、物価上昇でついに限界に直面し、漠然としてであはあれ「世直し」願望は渦巻いている。
であるから、大企業と富裕層に負担を求める「リベラル左派」を結集できれば、むしろ「多数」になる。
これをさせまいとして永田町、マスコミ、提灯学者、メディア文化人が、何が何でもリベラルと左派を分断せんと言う所だろう。
About the X block in Brazil.
Brazilian supreme court were asking X to close/suspend/moderate:
- accounts spreading fake news
- accounts spreading hate speech
- accounts spreading fascism/nazism ideology
- accounts spreading racism
- account spreading lbgtqia hate speech
- accounts demanding to close the supreme court
- accounts trying to create disarmony between federal powers, using fake news (executive branch, judiciary branch and legislative branch)
- accounts asking to have another militar dictatorship government instead of democracy
- accounts using free speech to attack judges, legislators, executives and governament branch leaders
- accounts using free speech to haras other people
And a lot, lot more.
They tried several times to talk with them, but twitter refused to comply or respond.
Supreme court is doing their job to secure the constitution and our Brazilian democracy.
Twitter/X is a toxic non-moderated place right now, it's a risk for us and it's refusing to control their network, it's refusing to comply with brazilian laws and brazilian judiciarty court decisions.
That's what's happening.
That's the true.
If you have question I'm here to help!
イーロン・マスクはブラジルの司法を嘲笑している。逮捕されたTelegram CEOと同じ道を辿ろうとしている。
マスクは、米国、ロシア、中国の権力者と仲がいい。だからといって、ブラジルの主権が及ぶ法域でブラジルの司法を無視することは常軌に逸している。このような考え方を「テック植民地主義」と名付けることができるかもしれない。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cd9dv8jjy91o
記事の概要:
最高裁は4月、偽情報を拡散したとして、Xの数十のアカウントを停止するよう命じたがXは従わず、係争が続いていた。ブラジル最高裁は、30日にブラジル国内でのXサービス停止を命じ、監督庁は24時間以内の対応を求めた。さらにApple、Googleなどに対し、アプリストアからのXの削除を命じた。また「スターリンク」の銀行口座は凍結された。
ブラジルでは、23年にTelegramの利用が一時的に禁止されている。
一方、イーロン・マスクは「言論の自由は民主主義の基盤だ。選挙で選ばれていないブラジルの偽の判事が政治目的のためにそれを破壊している」と投稿。ブラジル最高裁の命令に応じない姿勢を示した。
(感想:むちゃくちゃな理屈だ。子どもの教育に良くないよ)
Telegramは9億人のユーザーを抱えるが、エンジニアは30人ほどしか雇われていなかったという。
またTelegramにもいちおう通報制度はあったが、モデレーションの人員が足りていたかどうかは非常に疑わしい。
下記のエルサレム・ポストの記事では、この4月のタッカー・カールソンによるインタビューでCEOのDurovが「30人ほどのエンジニアしか雇っていない」と発言したことに言及。Telegramは、プライバシー、セキュリティ、モデレーションへの投資が不足しているのではないかと論争になった。
https://m.jpost.com/breaking-news/article-816149
TelegramのCEO、Pavel Durov (パベル・ドゥロフ)がパリで逮捕された。
第一報を出したフランスTF1の記事より機械翻訳。
https://www.tf1info.fr/justice-faits-divers/info-tf1-lci-le-fondateur-et-pdg-de-la-messagerie-cryptee-telegram-interpelle-en-france-2316072.html
"裁判所は、パベル・ドゥロフの節操のなさ、法執行機関への協力のなさ、テレグラムが提供するツール(使い捨て番号、暗号通貨など)により、麻薬密売、小児性愛犯罪、詐欺の共犯者になっていると考えている"
捜査官は「彼のプラットフォーム上で、彼は計り知れない数の犯罪や犯罪が犯されるのを許し、それに対して彼は穏健化することも協力することも何もしなかった」と話す。
記事では、Telegram CEO逮捕の狙いは、(1) Telegramを使ってメッセージを交換している犯罪者たちへの警告、(2) 犯罪に使われがちな他のメッセージングアプリ運営者への警告、と分析する。
英語圏では、ロイターが比較的詳しい記事を出した。Telegramの過去の功罪についても言及している。
https://www.reuters.com/world/europe/telegram-messaging-app-ceo-pavel-durov-arrested-france-tf1-tv-says-2024-08-24/
感想:
各国の政府機関と、E2E暗号化を備えたメッセージングアプリ運営企業との緊張関係は、この逮捕で一挙に高まった感あり。
いわゆるALPS処理水の海洋生物への影響に関して、太平洋諸島フォーラムの専門家が警告。
コメントを出した専門家のひとり、ハワイ大学のリッチモンド教授は、昨年にNatureの記事で名前を見かけていた。
Is Fukushima wastewater release safe? What the science says
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02057-y
彼ら専門家からの警告や提言を、日本政府は聞き流している。影響力が大きくないと見て、たかをくくっているように見える。
私の個人的な意見として、批判派の専門家の意見も取り入れ、より健全な施策——ALPS処理水の放出工程が安全であるならそのことをより透明性を高めて示し、あるいは課題があるなら叡智を集めてその解決を図ることが、科学的で公正な態度だと考えています。
(ただし、この意見は今のところ非常に不人気なようです)
7/19付け発表に基づくポスト↓
https://kolektiva.social/@cubic_drop_for/113014945580169054 [参照]
No Hate TV、「小山・米山・室井問題」は、45分頃から。
45分頃に頭出し ↓
https://www.youtube.com/watch?v=gBy8oLFBsOY&t=2713s
特に米山隆一議員のSNS発言問題への論評は1時間14分頃から。忙しい方は、ここから15分ほど聞いてみてください。
米山発言が、過去にさんざん繰り返された「レイシズム擁護のテンプレ」であることが分かります。
鈴木エイト氏が、「統一協会問題」を切り口に自民党総裁選の候補たちを語る。
https://dot.asahi.com/articles/-/231631?page=1
記事のトーンだと、最も統一教会に厳しいのは河野太郎。ほか、石破茂、上川陽子、林芳正も教会から嫌がられている。
統一教会に最も甘い懸念があるのは、菅義偉をバックとする小泉進次郎。
高市早苗も統一教会とのつながりが深いとされる。
小林鷹之は統一教会に「厳しい対応を取る」と明言。ただし「スタッフ一人一人の思想信条を聞くことには限界」と言葉を濁す。
トランプ候補は、AIで生成したフェイク画像を自分のSNSのTruth Social に投稿した。テイラー・スウィフトが「トランプに投票を」と呼びかける内容だ。
TechCrunchの記事(画像あり)
https://techcrunch.com/2024/08/19/could-trumps-ai-generated-taylor-swift-endorsement-be-illegal/
関連:ロイターの日本語記事
トランプ氏、偽のT・スウィフトさん画像投稿 支持見せかけ
https://jp.reuters.com/world/us/I25NGLBZENJ4DA5YIL5S77ETPI-2024-08-19/
この記事、興味深い内容でした。
一田和樹
デジタル権威主義とネット世論操作
英暴動は他人事ではない......偽・誤情報の「不都合な真実」
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2024/08/post-58_1.php
偽情報対策が、偽情報を拡散し社会を分断させているとの指摘。
"おそらく中露イランや極右などは、欧米の対策が逆効果になるのをわかったうえで、情報工作を続けている。彼らからすれば、欧米の政府機関やメディアが偽・誤情報を発見し、注意喚起すればするほどより多くの効果を期待できる。"
実は「過剰な対策をしすぎない」ことも大事であるわけですね。
そして、次の引用。
"「フロイト(心理学)とチューリング(情報科学)の強力なタッグに、カント(啓蒙哲学)はもう太刀打ちできません」"
記事内では批判的な文脈で引用されているこの言葉の軽薄さには、あきれるばかり。
ここで"カント(啓蒙哲学)"と呼んでいるものは、国連と国際法の理念「平和と人権」の基本です。カントの否定は、虚無主義の肯定であり、現状の暴力を背景とする権威主義の肯定です。
こういう種類の言説をまき散らしたい人達がいる、ことは認めます。私たちには、平和と人権を軽視・無視する言説に対する警戒が必要です。
X/Twitterの業績はどんどん悪化している。
Fortuneの記事をYahoo! Financeで目を通した。
https://finance.yahoo.com/news/elon-musk-financial-woes-x-125351398.html?guccounter=1
NYTが入手した内部資料によれば、X/Twitterの米国の2Q売上は1億1400万ドル。買収前の2022年2Qの6億6,100万ドルと比較するとインフレを考慮に入れ84%の売上減。このままでは倒産も視野に入る。
穴埋めにテスラ株を売却するのでは、と株主は心配している。
"〈特別公開〉石丸現象とTikTok――若者世代のリアリティ(伊藤昌亮) 2024.08.16
※『世界』2024年9月号収録の記事を、増補のうえ特別公開します。"
https://websekai.iwanami.co.jp/posts/8223
説明:都知事選2位の石丸伸二候補について、バズったTikTok動画を題材に、若い世代の考え方や行動にまで踏み込み分析。
一読をお勧めします。
イーロン・マスクが作らせたAI"Grok"の画像生成機能は、“機関銃を撃つミッキーマウス”や“ドナルド・トランプ前米大統領と手を繋いで微笑むテイラー・スウィフト”などのフェイク画像を手軽に生成できる。
今までの生成AIサービスではかけられていた安全装置を外した形だ。
論より証拠、記事に掲載された画像をみてください。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2408/15/news090.html
なお、石丸は「女子供」発言に見られるように内面では女性を見下ろしているが、建前では男女平等と多様化の尊重を唱えつつ本音では女性を見下すこともまた、日本の企業社会でよく見られる態度ではある。
まとめ:
石丸候補は、選挙後にバズった動画を見るとマスメディアに対して異様に攻撃的な人物に見えるが、選挙前にバズった動画を分析するなら、非政治的な若い世代が共感しやすい自己啓発や老害批判のメッセージが中心だった。
感想:
「デスゲームをうまく戦ってきた大人」であり「デスゲームの戦い方を若者向けに指南」する石丸にリアリティと共感を感じる層が、「デスゲームはおかしい。変えよう」と唱える蓮舫候補の支持者よりも人数が多かった。これは重大な指摘だ。
ITジャーナリストです。
仕事リスト:https://note.com/akiohoshi/n/nebac412b6c12