(長文)
早い時期からトランスジェンダー(特にFT 系)のエスノグラフィーを手がけてきた研究者の鶴田幸恵さんが、新たにnoteを始め、カナダに移住した経緯やご自分の背景を語り始めたことを知った。
非常に複雑なアイデンティティを持ちながらそれを抑圧し/させられてきたようだが、なぜそれだけの苦労をしてきたはずの人が、かつて私のことを「性同一性障害の吉野靫」と学会レジメや論文で記述できたのか、それは何年経っても引っ掛かっているし、当時は十分に傷ついたし、どうしても解せない。
そもそも私は「自分にとって性同一性障害は便宜的なもの」と公言していたのだし、「性同一性障害の診断を受けたことを明らかにしている吉野靫」と、「性同一性障害の吉野靫」が全くの別物であることくらい、明確にわかっていただろうに。そして正規医療で事故に遭い、裁判で被告から「壊死は原告が術後に不適切な生活をしたせい」と主張され、古参の当事者から激烈にバッシングされた私にとって「性同一性障害」の語がどういう意味を持つかくらい、簡単に推し量ることができたろうに。
(続)
各書店や注文した方のお手元に『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』(現代書館)が届き始めているようです。増補分の私のエッセイは手紙形式。昔は活動してたんだけど…若いときは頑張っていた…と思うことがある同世代の方へ、「ご機嫌いかがですか」。すでに読んだ方からは、拙著の「はじめに」の続きとしても読めるという感想をもらいました。
書き始めるときには歌や詩、映画のフレーズから着想を得ることが多いのですが、今回は中島みゆき「御機嫌如何」と、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でした。中島みゆきは人生の殆どの局面に対応していると思います。
https://youtu.be/MjVwVyM7XAk
これは「なぜそのセリフがそこに入るのか??」ということを考え始めると、なかなか怖いような歌でもあります。
立岩真也用の献本が宙に浮いたことを受け止めかねたまま、今日で大学の一斉休暇も終わりです。
本日ふぇみゼミの講座「ポスト#MeTooの反性暴力運動」の第一回「ジャニーズの性暴力問題」で性加害当事者の会代表の平本淳也さんと話します。
基本平本さんに耳を傾けながら、
・芸能界の就労の問題
・メディアと芸能界の癒着
・性暴力被害に関する法制度・セラピーなどのケア
といった話もしたい。
https://postmetoo.peatix.com/
エトセトラ Vol.8の特集「アイドル、労働、リップ」(和田彩花さんと共同で特集編集)ではあまり掘り下げられなかったものの、男性被害に限らず、女性や、ノンバイナリーやジェンダークィアの人々とも、文化・芸術産業からエンパワーされてきた人たちとも関わりあると思います。
春に行われた、振付師で、現在基本的に女性向けながら、アイドルの心身のケアとしてのトレーニングやセラピーなどに取り組む竹中夏海さんと、和田さんとのトークでの内容も、芸能界での働き方という点から、ジャニーズ性加害問題と通じると思う。以下の記事など参考にしてみてください。
https://dot.asahi.com/articles/-/190664
芸能界なんて浮ついた、とせず、フェミニズムに関心ある人にぜひ参加してほしい。
16年におよぶ付き合いの中で、立岩さんは私の性別を一度も間違えなかったことを付記しておきます
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/110814568457519276 [参照]
〈Twitterより転載〉
報道にある通り、立命先端研の教員、立岩真也さんが亡くなりました。厄介な病気とは知りつつ、何日か前まで普通にメールもあり、本人もずっと戻ってくる気でいたと思うので、この事実を受け止めかねています。
2006年、医療訴訟と生活を両立させるために、先輩に勧められて立岩さんに会いました。だから彼を研究者として評価するとか学問への憧れということとは距離があり、ただ助成金書類を書いて食い繋いだり、危ない精神状況のときに話を聞いてもらったりすることに関して世話になっていました。本当に変な人でしたが、立岩さんも私を変人だと思っていました。だからこそ先端研で博論を書くことができたし、激しい浮き沈みの中で本を出すこともできました。
まだ思い出を語るような段階ではありません。立岩さんに関するURLを置いておくので、その人となりに触れてもらえると私も嬉しいです。
・カライモ学校 吉野靫×立岩真也
『誰かの理想を生きられはしない
とり残された者のためのトランスジェンダー史』刊行記念トーク
http://www.arsvi.com/2020/20201103yy.htm
・東京大学REDDY連載「生活するトランスジェンダー」第8回「悩みはいばらのように降りそそぐ」
http://www.reddy.e.u-tokyo.ac.jp/act/essay_serial/yoshino.html#20220126
🔸日本語ユーザー向けに……
私が子どものとき繰り返し読んだのは『ヒロシマのピカ』『 わたしがちいさかったときに』です。原爆に関する優れた絵本は本当にたくさんあるのでこれを機に手にとってみてください。
お近くの方は丸木美術館に行ってみるのもよいと思います。私は行きたいと思いつつ機会がなく未だに行けていません。
https://marukigallery.jp/
〈旧?ツイッターより一部転載〉
#NoBarbenheimer 関連で、これを世界の人に知らせないのはとても勿体ないので紹介。
75言語対応のヒロシマ・ナガサキ関連のデータベース。世界で読める3500以上の文献を探せます。
🔸Hiroshima and Nagasaki:
A Multilingual Bibliography
→https://linguahiroshima.com
🔸"The Aim of Our Project
In 2014, a year before the 70th anniversary of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, we started our survey and research into the multilingual publication of atomic bomb literature. Our goal is to make a comprehensive survey into the process of worldwide acknowledgment of Hiroshima and Nagasaki for 70 years."
(threadsより転載)
通ってる精神科が保団連に入っていた! マイナンバーカードはいりませんの貼り紙があってありがてぇ……私はトランス性が関わる病院ではカムアウトしてるけど、セクマイ詳しいわけじゃなかろうが不用意なことはほぼ言わんし、早く同性婚できるようにすべきだよなぁ程度の世間話もあるのでノーストレスで助かっている。
婦人科はずっと民医連で、主治医は女性。ピルの連続服用とかも気軽に相談している。
サヨクだのキョーサントーとの関わりだの言う人もいますが、(クソはどこにでもいるとは言え)そりゃやはり自民党員の医師よりはリスク低いと思いますよ……。
田舎の出身だから、近場で病院が選べるありがたさは本当身に沁みてわかります……
※全国保険医団体連合会(ぜんこくほけんいだんたいれんごうかい、略称 保団連(ほだんれん))は、日本の保険診療医であることを加盟資格とした任意団体。メンバーは各都道府県の保険医協会(保険診療を行う医師らの任意団体)に自主加盟する保険医(主に保険診療を行う開業医師ら)で構成された民主団体(市民団体)である〈Wikipedia〉
Twitterがもうダメになるのではないかということで、threadsにアカウントを作っています。いずれマストドンとも共通してやり取りができるみたいなので、Twitterを残しつつthreadsも動かしていきます。書いたものをお知らせする場所はどうしたって必要なので……。
いずれ公開範囲等の機能もできるでしょうし、砕けた話や写真投稿もやっていけたらと思います。
夜を乗り越えていますか? こんなときには茨木のり子「汲む」やブレヒト「あとから生まれるひとびとに」を読むのもいいです(おすすめは 世界現代詩文庫の野村修訳)。重いパンチが好きなら石原吉郎も効きます。
私が書いたもので他者がどうこうとは思っていないけど、すでにお知らせが出ている『反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある』への寄稿のほか、大事な原稿をまだ色々用意しています。
私にできる唯一のことは「ここから一歩も通さない/理屈も法律も通さない」(「月の爆撃機」)態度で立っていること。
https://www.threads.net/@yugi_y
◇Twitterより転載します ↓
必要なことは既にいろんなひとが言ってますが、LGBT法案の参考人招致でしんどくなった方、好みに合うなら気晴らしに使ってください。
・連載「生活するトランスジェンダー」https://x.gd/2DFFx
世界はちゃんと変えることができるという話をしています。
・コスモポリタンのインタビュー https://x.gd/b9vCk
去年のプライド月間の記事です。
あるいはwezzyや本屋lighthouseでやって頂いたイベントのアーカイブ(有料ですが…)もあります。まぁ個人的なお勧めは中島みゆきを聴くことですね… (吉野)
〈おまけ〉
個人的中島みゆきガイド→私の人生のテーマとも言える「旅人のうた」は勿論、「瞬きもせず」「産声」「愛だけを残せ」「顔のない街の中で」などがお勧めです。優しさを求めるなら「泣きたい夜に」「蕎麦屋」、怒りを共有したいなら「童話」「WHY &NO」など。聴きたいけど音源がないというひとは、公式YouTubeでシンプルに「時代」をどうぞ!
【承前】デトランス当事者の例を引き合いに出すのは現状に見合わない。トランスに限らず、自ら選択した身体改変を後悔する層は一定数いるだろうが、すべての間違いをゼロにすることはできないし、分母の小さい日本では尚のこと少数だろう。「トランスらしくない」と誹謗、罵倒され(続け)た私でも手術そのものは後悔していない(医療事故や様々な問題点はまた別に指摘しているが)。
子どもの安全をと言いつつ医療へのアクセス自体を躊躇わせるような書き方は、より「受診相当」の「トランスらしさ」を子どもに演じさせたり、薬を個人輸入したりに繋がってしまうのでは? ああ、こんなことは私が書かずとも、様々な現場で活動しているひとたちがずっと前から述べているのだが……。
※様々な事情で触りたくなかった書き手の記事について、明らかな事実誤認が含まれると思ったためある程度まとめて述べてみましたが、こういうことを継続するかどうかはわかりません。(吉野)
完全にこちらを放置してしまっていました。大学の新年度やら締め切りやらが忙しいと、何か落ち着いて投稿しようという感じにはなりませんよね……
とはいえ先日久々に長めの連ツイをしたので、もうTwitterを見ていない方のために、こちらにも転載しておくことにします。
千田氏、「日本でも親の知らないところで(…)医療的な性別移行に誘導されている」と言うが、親が知らずに第二次性徴ブロッカーなんて絶対無理なのだが? カウンセリングなら性別移行ではないし、そもそも拠点も数カ所。書く行為への畏れはないのか? 大概にした方がいい。
https://archive.is/5YW2c
若いトランスへのカウンセリングが、「同性愛をやめさせようとする「転向療法」と同一視され、歓迎されない」というのもどこの話なんだろう? 海外ドキュメンタリでは精神科通いの長さに苛立つ若者の姿なら見るが。そういう若者に対して、身体を変えることだけを焦らないでとアドバイスするコミュニティもあるくらいなのだが……。いずれ現在の日本でブロッカーを使っている児童は数えるほどしかいないし、拠点の少なさからしても子どもの「医療的な性別移行」が急増するわけもない(個人輸入でホルモンを摂取するような例はずっとあるが、誰もコントロールできない)。英国や→
今年も一応やっておくか、国際トランスジェンダー可視化の日2023
可視化とか認知とかいうと、パレードで派手な格好で…とか、ポリコレ的文句を…とか思ってるヘイターも多いだろうけど、トランスが社会でスムーズにやっていくためにはまだ多くの障壁があることが可視化/認知され、シスと同じコストで生きられるようになれという話ですよね。
多くのトランスが(私でさえ)「公共の福祉」を優先してTPOに応じた社会生活を送って/送らされているのである。何十年も前から「カルーセル麻紀が/おすぎやピーコが/マツコデラックスがテレビに出て大衆に受けられている国なんだ、それで殺されてもいない」「日本神話にも女装や男装が出てくる!」という寝言があるが、論点はただ一つ権利保障である。別に好意的に見てますーとか大衆の受容とかどうでもいいので、シスと同等の権利のためにマトモな制度をつくる必要がある、それだけの話です。
#国際トランスジェンダー可視化の日
#トランスジェンダー可視化の日
#dayoftransgendervisibility
#transdayofvisibility
大学の後輩、西山のぶひでさんが府議の2期目に挑戦しています。彼が文学部自治会委員長で私が文学研究科院生協議会議長のときは一緒にハラスメント企画をやりました。
Twitterアカウントのトップ写真の選挙カーには「ハラスメントをなくしたい」。ジェンダー課題に疎かった共産党も変わってきていると思います。この後21時からTwitterスペースにて「京都市政スペシャル」配信です👉https://onl.la/4gWDdwZ
※最近の共産党の「除名」問題について疑問持ってるひともいると思うので、あとでなんか書いて繋げます。手短かに言えば除名された鈴木元は、立命で彼のためだけに作られた(と皆が推察していた)ポストで高給をとり、全学協議会代表者会議で学生代表にバカアホと言った人間です。私は現場にいました。徹底して学生自治に敵対し、当時の理事長・総長を「支え」、それが失脚するや否や暴露本を出しました。古き良き左翼でも真面目な党員でもなんでもないですよ。
私の履歴に鑑みてコストが高すぎる言及なのですが、仕方ないので書きました。Twitterからの転載です。
【ゲロが出そうで触りたくない話】
なのですが、やむなく。笙野氏が新刊出すとのこと、氏はノンバイナリーについて妙な心配の仕方 https://femalelibjp.org/nf/?p=724
をしてますが、トランス排除派も同様に、FT系若年層の胸オペの痕をバッシングの材料にすることがあります(DJの人とか…)。
胸オペの方法は色々あり、乳輪等を残すかどうかは個人の選択です。国内の術式では残す方法(のはずです)が、要らないと希望して取っている人もいます。別に「TRA」に「誘導されて」、雑なオペを受けさせられて、真一文字の傷を残されたわけではありません。良心ある皆さんは該当のデマを見かけたら事実を広めていただけると嬉しいです。このアカウントは、様々な術式、様々な身体、それぞれの人生の選択があることを示しています。
https://instagram.com/topsurgery?igshid=YmMyMTA2M2Y=
胸オペの事故で裁判までした私が言うほど、他者が選んだ身体を勝手に値踏みしてほしくないのです。(吉野)
今日このイベントだったんですが、会場の立命館大阪梅田キャンパス(ビルのワンフロア)に着いて設営していたら、ユニバーサルトイレの表示が見当たらない。連れが辺りを見てきてくれたら、案内図にはないけどトイレ自体はあるというんですね。そんなことあります??
仕方ないから新たに貼り紙しましたが、案の定すぐ足の痛そうな年配の方がユニバーサルトイレを使いたいと。
建築基準法のガイドライン?的にも、おそらく明確な表示が求められているはずなんですよ。https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/content/001475254.pdf
張り紙は撤収せず残してきました。この見えていないかのような地図、怒るというよりもはや恐ろしい。このキャンパスができて1年とかではないはずで、その間ずっと、使用したい人は自力で探しまわっていたのか?
学長がダイバーシティ宣言だの何だの出したところで、足元固めてないとすぐにボロが出るんですよ。おれはおまえたちの多様性の根拠ではないからな、週明けしかるべき人間とお話しするからな
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/109992105547047502 [参照]
みなさん、こんにちは
こちらのイベント、3/11大阪梅田にて「人間と動物の関係」と、これまでの授業のまとめとして共同討議が行われます。
🐄🐖「人間と動物の関係」は(様々なリスクがあり講師のなかのさんがwebで顔出しできないので)対面のみ。犬や猫は可愛がるが牛や豚は食べることと折り合いがつかない方、生体販売や動物実験が気になる方、会場でしか聞けない話があります。もう1人の講師である生田さんは『いのちへの礼儀』(筑摩書房)の著者。
私もミートフリーデーを多めにしたり色々試したりしてますが、たしかに豆腐食ってりゃタンパク質摂れるとは言え、たまには大豆ミート食べたい(高い)というハードルを感じています……ノンミートの冷凍食品やレトルトももっとほしい。
🐈⬛🐕事前申し込みしていない方でも飛び込み歓迎。会場は立命館梅田キャンパス(大阪フコク生命ビル5階)多目的室、感染予防には充分な広さがあります。オンラインの方が多くて会場が寂しいので、お近くの方はお運びいただけると講師一同うれしいです。物販もあります。
🎥これまでの授業のアーカイブも販売中です。
〈1コマから買える個別チケット〉https://jyugyou2023online.peatix.com/
〈お得な通しチケット〉
https://jyugyou2023all.peatix.com/
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/109673699928347123 [参照]
女に生まれて喜んでくれたのは
菓子屋とドレス屋と女衒と女たらし
嵐明けの如月 壁の割れた産室
生まれ落ちて最初に聞いた声は 落胆のため息だった
(中島みゆき「やまねこ」)
https://youtu.be/f8jYu1Cg4J4 (中島みゆき公式)
「女に生まれて」、その文化に囲まれ、そう見なされ扱われてきた経験を持つひとりのクィア、トランス、左翼として、今日(様々な方法で)声をあげた皆さんに連帯します。
※「女衒」はもちろん、藤田某的なニュアンスではないでしょう。中島みゆきは他の曲も聴くとわかるけど、女性の選択と自主性をずっと支持し信じてきたひと。
「彼女の生き方」の「思い通りには動かない 世の中なんて何もかも/だけどあたしだって世の中の思い通りになんか動かない」とか最高だし、「エレーン」は外国人セックスワーカーの実話が元になっている。
旧ツイッターも広報用として残してありますが、最終的にどこに移行するかは決まらず……向こうの投稿を転載することもあります。
『誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史』(青土社)、共著『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』(ヘウレーカ)、『反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある』(現代書館)等。出版物、掲載情報、イベント出演などをお知らせします。web上で読める寄稿、関連HPは上のリンクからお願いします。
何かあるとすぐさま強烈に異議申し立てするたちなので、なかなか安定雇用に至りません。寄稿、連載、講演のご依頼もいつでもお待ちしています。