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それはそれとして、オープンエンディングが好きで、『夜のピクニック』は、貴子が融に「密かに賭けをしていた」って告白をしたシーンで終わっていたら大絶賛してたと思う(賭けの内容とか、負けた場合とか、しゃべりすぎなので)。

私の小説を読んだことのある人は、私があだち充を好きなことに納得されると思います。

私が口数少なな小説(に限らず創作物)を好むのは、間違いなくあだち充の影響ですね。うまく言語化できていないのだけれど、静寂を以て語るのが上手すぎるじゃないですか、あの人。

3/4くらいのスケール感だったらクリティカルヒットしてたんじゃないかな。要素は全部好きです。雰囲気も好きです。ただ、しゃべりすぎ。
私の好みではないけど爆裂にヒットしたということで、研究の余地はあろうが、うーん。

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『夜のピクニック』(恩田陸)

実は読了してなかったシリーズ。うーん、どうなんだろう。舞台も登場人物もその関係も魅力的なのだけれど、ぜんぶ喋りすぎだな。もっと口数少ない方が好みだ。完全に私の好みの問題です。
ただ、読む機を逸していた感があって、これは中高生のときに読まなきゃいけなかった本でもある気がするんだよな。大学生でも遅い。無理矢理に集められた「学級」の雑多さとか、無理矢理に参加しないといけない「学校行事」への期待の諦め切れなさとか。そういうのがアクチュアルな時に読まないといけなかった。
我が身を振り返ってみて、学校行事にも部活にもフルコミットした満足感はあれど後悔もある。高校3年生のクラス。仲の良いやつがいなくて(当時の私はガードを上げていたし、そうでなくてもグループができあがっていた)、そういう、誰とも連めない奴らと連んでいた。もう大半は名前も思い出せない。それが残念だ。
そういうことを思い出させてくれたから、いい小説だったのかもなー。ただ、おしゃべり過ぎな小説な気もするんだよなー。

amzn.to/3sUq3QL

ツイッターよりマストドンの方が居心地はいいです。もっとお友だちが移住してくれるともっとうれしいけれど。

マストドンへの移住、イーロン・マスクの悪政が著しくなった頃には進んだかに見えたが、やがて人々はイーロンの世界に慣れ、そしてマストドンから去っていった。私は灯を点し続けよう。このマストドンで。

RISC-Vに関心あるひと、私のフォロワーには当然いないだろうし、マストドン全体を探してもぜんぜんいないだろう。

電子地政学の一冊としては、日中韓台以外のアジア――インドおよびベトナムの半導体産業の紹介があったのはレア。類書を多く読んできたが、この二カ国は初めて目にした。また、ラピダスに冷静な視線(仮に2nmを達成できたとしてもエンドユーザーが日本には存在しない)を向けていたのも好印象。
半導体産業の裾野の広さをひしひしと感じさせられた。

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『Google半導体とRISC-Vと世界の電子地政学』(田胡治之)

半導体はハードとソフトとが高度に融合した賜物である。ハードとしては、純度99.999999999%のシリコンを千に及ぶステップで加工して製品化されたものが「半導体」である。しかしながら、半導体はモノが出来ただけでは動作しない。ソフトとしての半導体が計算(その通り、単純な計算から、画像の表示から、機械学習まであらゆる用途)をするためには、適切な「命令セット」が組み込まれなければならない。
本書はその「命令セット」のうち、GoogleとアメリカのDARPAが開発したオープンソースな「RISC-V」を解説した一冊である。なお、「命令セット」の現在の覇者は、ソフトバンク傘下のArmである。
RISC-Vの利点とは、一言で言えば、オープンソースであることだ。これにより、半導体メーカーはライセンス料や特許料を支払う必要がなく、安価に容易に半導体を設計することができる。その手軽さは、他のメーカーの呼び水となる。別の言い方をすると、オープンソースであることによりRISC-Vのエコシステムが強化される。また、オープンソースであることにより、広いユーザーから改善を求めることができる。半導体の「民主化」に繋がるシステムである。

『よくわからないけど、あきらかにすごい人』(穂村弘)

THE BLUE HEARTSの甲本ヒロトと歌人・穂村弘との対談が掲載とのことで、それを目当てに読みました(あと詩人・谷川俊太郎と。他にも多くの創作者との対談があるのだが、彼らの創作物を知らないので読まなかった)。
大前提、私、甲本ヒロトと相方の真島昌利が大好きなんですよね。THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWS、ザ・クロマニヨンズ、そしてソロ活動も。全部好き。いつも、どんな年齢のときもずっと格好いいんですよ。
本書の対談は、そんなファンが私だけじゃないんだって、甲本ヒロトの声はもちろんなんだけど、熱狂的なファンのひとりとしての穂村弘にも出会えて嬉しかった。甲本ヒロトの表現についての言説って、THE BLUE HEARTSで止まってることが少なくなくて。でも、穂村弘はザ・クロマニヨンズまで追ってて、それを甲本ヒロトにぶつけてる。過去ではなく現在の甲本ヒロトを尊重した対談で、そして甲本ヒロト自身もきちんと答えを返している。表現のキャッチボール。ちょっと泣いた。ファンは必読です。
amzn.to/47quQZ7

『なぜAppleは強いのか 製品分解からわかる真の技術力』(清水洋治)

Appleの各製品を分解し豊富な写真を用いて年代順に比較することで、それらがどのように進化したかを示す一冊。Appleが半導体の内製化を進めている話は知識としては持っていたが、内実としてはぜんぜん知らなかった。本書は、まさにその部分を埋めてくれる。
最も興味深かったのは、AppleがiPhone、iPad、MacBookおよびiMacの間で一つの種類のチップを共有しており、さらにチップ同士を足し合わせることで性能を向上させ各製品に求められるスペックに対応している点。同じ思想は、AirPodsの通信部にもあるとのこと。内製化の威力を感じた。
amzn.to/3SQAeQG

『ジャズの聴き方を見つける本』(富澤えいち)

実は本腰を入れて勉強してるんですよ、ジャズを。いわゆる「名盤」と呼ばれるディスクの各曲を、ディスクレビュー本を併読しながら聴き込んでいます。これが面白くて面白くて。これまで漠然と聞き流していたサウンドをどう聴けばいいかわかってきたのよね。そうして、自分の中にジャンルの体系が出来上がっていくのが気持ちいい。
そういう背景で読んだこの一冊。アメリカでのジャズの興りから現代に至るまでを概観する。Wikipediaを読むよりも確からしいが、サウンドの聴き方という意味ではやや弱かった。ただ、日本のジャズの現場への出方が書かれていたのはレアか。
amzn.to/3MJakdS

@clementia1960 タルコフスキーを観てる叔父さんがいるの文化を感じます。私は寝まくりです。

『命売ります』(三島由紀夫)

自殺に失敗して命を投げ出したヤレヤレ系の男が、惨めったらしく命に固執するようになるお話。軽い筆致で進みながらも次第に心情が重たくなっていくところに読み応えがあった。ある種のラノベっぽさも感じた。
amzn.to/3MFQoZw

『ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語』(ヴィトルト・リプチンスキ)

「このミレニアム(千年)で最高の道具についてエッセイを書いてくれ」
そう依頼された著者が、最高の道具として「ねじ」と「ねじ回し」を発見し、それらの歴史を紐解く一冊。こんにちの私たちが使っている「ねじ」が産業化されたのは明らかに産業革命のころだ。しかしながら、「ねじ」「ねじ回し」(そして付随する「ナット」)の概念が発明され、現実化され、組み合わされて用いられるようになったのかは不明であった。著者は、中世の歴史書や道具を丹念に調べ上げ、その歴史を明らかにした。その意味で本書は、まごうことなき歴史書である。
文庫150ページほどと短いが、ねじや工具の動きを想像しながら読むことになるため、なかなかに頭の体操になる本でもある。

amzn.to/3ua8kVL

『口訳 古事記』(町田康)

むっさ面白かったがな。
コテコテの大阪弁(河内弁)で繰り広げられるヤンキーな神々、ヤンキーな皇族の、ファンキーな治世が描かれる。はっきり言って、めっちゃ笑えるのである。 皇族は気まぐれであるが、神々は輪をかけて気まぐれである。臣民にはそのご意図は推し図ねる。
それはそれとして、イザナミ、イザナギやニニギノミコト等々、なんとなしに聞いたことあるけど何したかは知らん神々の行いを知ることができたのでお得感がある。

amazon.co.jp/口訳-古事記-町田-康/dp/40

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