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ちなみに誰訳(もしくは原文?)で読まれていますか?

『データ分析に必須の知識・考え方 認知バイアス入門』(山田典一)

私は「認知バイアス」と聞くと、いわゆる「統計的バイアス」(誤差、疑似相関、交絡等)を真っ先に思い出した。しかしながら、統計的バイアスは数多ある認知バイアスの一つに過ぎない。そんな多様な認知バイアスに、認知の働き――記憶/認識/判断の三つの機能からアプローチする。
記憶の側面からは、私たちの記憶の機能の不確かさが解説される。記憶は固定されたものではなく、思い出す度に再構成される。再構成のされ方も、思い出すシチュエーションによって一定ではない。
認識の側面からは、私たちは「正確さ」以外のファクターに左右されることが示される。いわゆるステレオタイプやナラティブが私たちの認知に介入する。
そして、判断の際には、概して「自分の考えに都合の良い情報を探す傾向」があると説く。
では、私たちはどのようにして認知バイアスを回避することができるのだろうか? 一言で言えば、「いちど立ち止まって考え直すこと」だ。上述のバイアスは、いずれも、認知に掛かる(心理的な)コストを減らすために生じるバイアスである。認知のためにコストを払うことを怠ってはいけない。

amzn.to/46YUwM5

『中国茶の教科書』(今間智子)

中国茶を自分でも淹れようと茶器を注文したので、これでお勉強。網羅的で助かる。これ一冊で茶葉の種類、歴史、産地、茶器の種類、使い方等々を網羅的に知ることができる。茶葉を買うときに参考にしよう。
amzn.to/471UO51

リサーチに必要なプロセスが明晰に説明されており、リサーチを行う時に立ち戻りたい一冊だった。
そしてもちろん、この手法は「リサーチ」に限られず、小説の執筆にも流用できるだろう。人は誰しも興味というものを持っている。その興味とは、その人のアイデンティティでもある。その人の興味から問いを立て、問題へと昇華し、外向けの言葉に変換することは、アイデンティティを探索(=リサーチ)するために、強力なプロセスとなってくれるだろう。特に、「変数入れ替え」は興味を明瞭にするために有効だろう。
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最後に「問題集団」と問題を共有する。自分の問題と同様の問題を抱えた集団と知見を交換するのである。このために重要なのは、問題集団の問題と、自分の真の問題との共通項を探し出すことである。例えば、自分の問題の変数を一つずつ入れ替えてみることは共通項を発見する有効な手段だ。変えた時に問題への興味が変わらない変数は、真の問題のための変数ではない。真の問題のための必須の変数とは、入れ替えた時に退屈になってしまうような――逆に言うと、入れ替えられない変数である。
最後の最後に、問い-問題-問題集団へのアプローチを、外向けの言葉で書くことでリサーチは完了する。
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すると、いくつもの問いを発見するだろう。これらの問いの根底には、深く一般的な「問題」が横たわっているだろう。点のように散らばった問いを線で結んで大きな絵を描くようなイメージで、問題を描き出す。ここでようやく資料の登場だ。資料から問いを引き出すのだ。一つの資料を多くの視点から検めてみる。結果として、問いが生まれていることだろう。言い換えると、問いと問題とは、行ったり来たりの関係にある。線つなぎゲームのように、点を繋げるために問題を想像し、問題を想像するために問いを立てる。
続いて、問題を「プロジェクト」として設計し直す。上述の線つなぎゲームを成功させるためにはどんな資料が必要かを検討していく。プロジェクトの成功を思い描くのだ。これは、(自分中心の研究者でありながら)外向けの言葉も持った研究者へとなるということでもある。
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『リサーチのはじめかた』(トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア)
amzn.to/40oAvvZ

リサーチは「問い」から始めよ。問いは「問題」に洗練せよ。そして、問題を「プロジェクト」に起こし、また「問題集団」と共有せよ。そのために「自分中心の研究者」であれ――。
「自分中心の研究者」とは、自分の内側から湧き上がる声に耳を傾ける研究者である。自分がどんな対象に関心を持っているのか、自分がどんな対象に退屈を感じるのか、自分の興味を検分することで、問いに繋げる。
「問い」とは、一言で言えば、クエスチョンマークで終わるような、自分の関心である。注意されたいのは、ピリオドで終わる「テーマ」ではないということだ。問いはどれだけ多くても構わない(むしろ多い方が望ましい)が、それぞれの問いは狭く具体的であるべきだ。
問いを洗い出したら、わかりやすさ、反証可能性、無視、明確性を有しているかどうかをテストする。さらに、それらの問いに答えるならばどのような資料があらかじめ必要かを想像する。このように問いの具体化を進める。
ここまでのプロセスで重要なのは、問いの洗い出し、具体化はあくまで自分の内側から行う点だ。まだ資料の深掘りはしない。
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仮説に関する本は何冊か読みましたが、仮説思考に関するコンセプトは『仮説思考』(内田和成)、仮説に関するハウは『結局、仮説で決まる。』(柏木吉基)、仮説の一使用例は『ファシリテーションの教科書』(吉田素文)で使い分けるとよいか。

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『結局、仮説で決まる。』(柏木吉基)

仮説の立て方・深め方の how に関する一冊。仮説の出来の良さを決めるのは「網羅性」および「論理性」の二点。では、網羅性および論理性を高めるためには? まで踏み込む。
網羅性とは、言い換えるとアイデアをいかに「思いつき」から離陸させられるかということ。このためにはカテゴリーアプローチと呼ばれる手法が有効。ひとつのアイデアをきっかけとして、その上位概念・下位概念に広げる、その広げた概念をカテゴリー別に整える、整えた概念を反転させる(ある/なし、個人/組織、質/量等々)手法。いわゆるロジックツリーを充実させることで仮説を充実させる。
論理性とは、仮説(上記のロジックツリー)の妥当性をいかに高めるかということ。このためにはアイデア同士を「なぜ」で繋げていくことが重要。
ケーススタディも豊富で、読み物としても面白いか。
amzn.to/49hchYN

10月に読んだ本は以下の13冊でした。
①『ストラクチャーから書く小説再入門』(K. M. ワイランド、シカ・マッケンジー)
②『アウトラインから書く小説再入門』(K. M. ワイランド)
③『教養としてのエントロピーの法則』(平山令明)
④『会話を哲学する:コミュニケーションとマニピュレーション』(三木那由他)
⑤『大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた知能』(岡野原大輔)
⑥『マナーはいらない 小説の書き方講座』(三浦しをん)
⑦『聞く技術 聞いてもらう技術』(東畑開人)
⑧「竜と沈黙する銀河」(阿部登龍)
⑨『ザ・スタッフ 舞台監督の仕事』(伊藤弘成)
⑩『半導体ビジネスの覇者』(王百禄)
⑪『イノベーション四季報【2022年冬号】半導体ビジネスを生き抜く航海図』(発明塾)
⑫『僕がコントや演劇のために考えていること』(小林賢太郎)
⑬『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸)

231031 2023年10月に読んだ本まとめ - 箱庭療法記
yobitz.hatenablog.com/entry/20

重要なの忘れてた。「新人賞の傾向と対策でテーマを立てるのは、やめろ」ってのもありましたね。新人賞への投稿から出版までに数年単位のラグがあるために、その間に古びるためとのこと。

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『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸)

耳が痛い~~~~~。ベテランのミステリ編集者がミステリの書き方、ひいてはプロの小説家のなり方を説く一冊。クリティカルヒットで刺さったのは「下手でもまずは『自分一世』になれ。上手い『○○二世』ではなく」という下り。私は研究者型の書き方をするので、相当に意識しないと『○○二世』になってしまう。知り合いは「狂気」と読んでいたが、そういう、誰にも負けないエッセンスを注入できるようになりたい。

以下、読んでて参考になりそうだった点。
・伏線はダブルミーニングが望ましい。つまり、一見して常識的なことが書かれているが、再読するとその謎に特有の伏線となるシーンを書くこと。
・伏線はきれいなものを数少なく張るのではなく、とにかく数をバラして万遍なく張ることが望ましい。
・謎は、一本の補助線が引かれることで見え方が全く違うものに、明瞭さを帯びるように書くことが望ましい。
・出来事・心理描写は一から十まで説明するのではなく、敢えて「隙」を作ることが望ましい。その隙に、読者が感情移入する余地が生まれる。

amzn.to/3QdUh8P

『僕がコントや演劇のために考えていること』(小林賢太郎)

ラーメンズの小林賢太郎が、舞台をやっていく上で心がけている100の物事について。心構えの本であると同時に、セルフブランディングのやり方(あるいはマイセルフへのなり方)の本でもあった。芸を突き詰めた人が、ある意味では当たり前にしか思えないことを淡々と書いていくのは凄みがあった。普通が大事なのだ。
amzn.to/46M2pVn

『イノベーション四季報【2022年冬号】半導体ビジネスを生き抜く航海図』(発明塾)

キヤノンが発表した「ナノインプリント」および特許の統計に関する見せ方の勉強のために。
著者が元ナノインプリント技術者(希少な!)なのは思わぬラッキーだった。ナノインプリントについては技術の基礎から応用先まで広く深く、価値のある一冊。
特許の統計の見せ方については、IPCおよびCPC(単なる分類)の年次推移に留まる単純なもので、インサイトは少なかった。ただ、それでも一定の説得力を持たせることに成功していたように思われる。これはこれで学びになった。
他の技術的なパートは(最先端の特許技術を除き)大体知ってたが、「四季報」の通り、企業については網羅的な記述を目指しており、やはり勉強になった。
厚みは薄い一冊だが、持っておくと何かと便利か。

『半導体ビジネスの覇者』(王百禄)

TSMCがいかにして半導体業界において最強の覇者となったかを説く一冊。まず「ファウンドリー」がビジネス上の発明だった。ファウンドリーとは、半導体の設計は行わずに製造のみに携わるモデルである。言い換えると、顧客からもらった設計通りに部品は作るが、設計は行わず、もちろん完成品も作らないモデルだ(逆に、垂直統合型のインテルやサムスンは、半導体の設計から製造から完成品までを一貫して行う)。TSMCは、このモデルにより顧客と競合する必要がなくなった。つまり、顧客は自社の完成品に関する情報が流用されることを心配しなくてもよいということだ(インテルやサムスンに、誰が自社のパソコンやスマホに使われる半導体を製造させたいだろうか? 完成品に関する情報が漏れるかもしれないのに)。覇者となったTSMCは勝ち続けるだろう、と締めくくられる。
今年の傑作『半導体戦争』よりも半導体ビジネスにフォーカスを絞っており、企業研究には必須か。

羽ばたいて遅らせるのは原理的には可能ちゃう?

何してたかというと、読書好きなアイドルが実際の本(エスエフ多め)を読んでラジオ形式でお話しするというねじれたやつで、実際の本(エスエフ多め)、というところでアイドルのファンのみならず、当時のエスエフ仲間にも読んで話題にしてもらえたのもありますね。

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