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『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直(河出書房新社)読んだ!
めちゃめちゃおもしろかったー!ジュリアンとジョージという二人の関係がすごくよかった。恋愛とか性愛とかとはちがうものによって、それでも希求することとかが、文壇のしっちゃかめっちゃかなお祭り騒ぎや人間関係のなかで描かれていて、とにかくおもしろくて、先へ先へと読んで行った。
JUNEで栗本薫がジュスティーヌ・セリエという作家の紹介をしたこととかも思い出したし、クィアな文学として元気と勇気をもらえるお話でもあった!

『閉じた国のホロン3』(せんさん)読み終えた!
大切なものを失った3人が、それを取り返すために旅をするお話の第3巻。
前回かなり気になるところで終わっていたんだけど、今回はそこからの続き…。「外の国」と呼ばれているダーシュナがかつていた場所のことや、物語の核心に触れるような部分が語られていて、すごくドキドキした。
もう10年、食べてない故郷の食べ物を食べた時のダーシュナや、「こんな国の言葉を覚えたくなかった」という叫びに、失ったもののことを考えて胸が苦しくなる…。そういうことを感じさせてくれるのがすごくいいなあと思った。
続きが楽しみ〜!

 『蜜蜂よ、夜々を遊行せよ』鹿紙路
盲目の行者とその伴侶が物語を語りながら旅をする十八世紀インド。さまざまな立場の人たちの物語が夢うつつ混ざり合い、歴史に踏み潰されただろう人たちを見つめながら語られてゆく。とてもおもしろかった。私は特に逸名画家の機織鳥が好き。
 

『ロータス 新装2版』(柳川麻衣/痛覚)読み終えた。
思えばこの物語に出会ったのは10年前のことで、それからずっと、お守りのように胸に抱いていた。蓮実と桃重という、少女期を共に過ごした二人を中心に、出身校に縁のある少女たちの強い結びつきの「二人」という関係を辿ってゆく。
「ずっと一緒にいようね」と言い合う大切な女友達が、いつのまにか男のところへいってしまい、「私だけが取り残される」……いまもその渦中にあるけれど、友人が窮地にある時「一緒に住めないか」「私のところへおいで」と言いたいけれど言えない、言ってしまう、その苛立たしく掻きむしりたくなるような感覚に、寄り添って希望をくれる。
とびきりの少女小説は?と聞かれたら、わたしは『ロータス』を挙げる。失ってしまった少女期と、今も道が交わることを祈りながら歩いていることへの慈しみを込めて。

『少女、女、ほか』バーナディン・エヴァリスト 渡辺佐智江訳 白水社
10代〜90代のイギリスの黒人女性/ノンバイナリーの群像劇。フェミニズムにクィアに、人種差別に、といろんなものをえがきながら、スピード感があってめちゃめちゃおもしろかった!

『ミノリト』ジェンダーマイノリティと明日を生きる創作誌vol.1 ミノリト編集部(@minorit_zine
読み終えた!情報を見たときからずっと楽しみにしていた本!
漫画・短歌・イラスト・小説がたくさん収録されていて、そのどれもがすごくおもしろかったし大切に書かれていることが伝わってきた。読んでいるとき、「これはわたしの物語だ/すぐ側にいるだれかの物語だ」という実感があって、ぬくもりが伝わってくるのがよかった。
収録されている全ての作品が愛おしくて大切だなあと思ったんだけど、とくに「虎態」(村野真朱さん)「カナリアの歌う朝」(イトノケイさん)「STAND BY」(百葉箱さん)が印象深くのこった。
「虎態」の「語る」ではなく、「吠える」ような語り口がとてもよかったし、最後の一ページに、前線に立ち続ける存在へのメッセージを感じられて、ぐっと泣きそうになった。
「カナリア」は、読んでだれかと感想を語り合いたいな~と思った!希望が書かれていて、だからこそこの未来にたどり着きたいなあと。
「STAND BY」は、めちゃくちゃ「好き!」という物語だった…。
読めてよかったし、この本を読んで感想やきもちを共有したい人がたくさんいるなあとその顔が思い浮かんだ。

『日本縦走』森山智仁 面白かった〜!文フリで絶対欲しいと思ってた本!最後の一冊にたどり着けた!危なかった!
演劇をやっていたひとの登山縦走記録なので演劇で学んだ「リハーサルは完全に本番と同じ条件で行うこと」を登山の練習にも使っててすごい。
旅の間にクマに4回遭遇し(そのうち3回はヒグマ)、それでもクマよりスズメバチと人間が恐ろしい…と書かれてた。こういう旅物のエッセイによくある人との関わり!感謝!じゃない、山に登ることと、計画性についてとかなのがよかった。
ヒグマの写真もあった。
東北の山に魅力を感じた、と言ってて、なんていうか山も「首都圏から行ける山」が注目されがちな世界ではある気がするので、そういうとこもいいなと思った。
 

『ギンズバーグが教えてくれたこと 詩で政治を考える』ヤリタミサコ トランジスタプレス

この本も面白かった〜。特に福島の原発事故の「現代祝詞 原子力発電所鎮めの詞」(及川俊哉)という詩を知れたのがよかった。探して全文読んでみようと思う。

『タスマニア』パオロ・ジョルダーノ(早川書房)読み終えた。めちゃめちゃ面白かったー!!!こういうの読みたかった!!!みたいな小説で、すごい良かった…。舞台が2017〜2020年くらいだし、広島や長崎といった日本のことも出てくるので「あ…」みたいな事件もあり、なんか「今」読むとすごい面白いやつだ…という感覚だった。

『アフガンの息子たち』(著/エーリン・ペーション 訳/ヘレンハルメ美穂 小学館)めちゃくちゃ良かった。スウェーデンの難民児童が暮らす施設の小説で、アフガニスタンから逃げてきた3人の少年たちの世話をする、彼らとほとんど年の違わない「わたし」。
トラウマや恐怖と向き合いながら、祖国とは離れたスウェーデンで(差別や偏見も受けながら)暮らす少年たちには、「施設を出ていかなければならない日」がやってくる。
年齢に達したら、送還される可能性もあって…。
規則と、その規則や基準の理不尽さの狭間で、できることを模索し、距離をはかりながら、少年たちとの日々を施設の職員である語り手はすごしている。記録に残さなければならないけれど、「日誌には書かない」という言葉が幾度も出ることが胸に迫った。

『現代詩手帖5月号 特集パレスチナ詩アンソロジー 抵抗の声を聴く」読んでる。しんどい本で、少しずつしか読めないんだけど、「技巧の講義はクソどうでもいい、私の仲間が死んでいる」というヌール・ヒンディさんの詩を読んで、ずっと朝から「表現」ということを考えてる。
「受け取られるために」整形された言葉、というのは、極限状態の人たちが、余裕のある側に「合わせた」言葉を選び、表現し、「それでようやく受け取られる」ということだし、その定形をして、なお受け取られないということでもあって。
訴えているのに、聞かれない言葉があるということでもある。
 

『私と夫と夫の彼氏11巻』読み終えた!新刊めちゃ楽しみにしてたから朝イチで読んでしまった🙌
美咲が真樹に気づかず強引になってしまって嗜められるところとかすごくよかった。予告でちらほらと気配を感じていたタカアシガニとは…?って思っていたけど、なるほど…。わたしもタカアシガニの脱皮を眺めて連れを怒らせてしまうタイプなのでニコニコしました。なにより高尾山登山、わたしも美咲と大地と登ってるような気持ちになって、すごく楽しくて(吊り橋怖いよね)「こういう関係が続けられるのいいなあ」と思った。
そしてまた気になるところで終わっている…
amazon.co.jp/dp/B0CWNZMY29?ref

『野溝七生子というひと 散けし団欒』矢川澄子(晶文社)読み終えた。
何年振りかの再読。野溝七生子のことはすきでいろいろ読んでいるんだけど、この本はごくごく若い頃に読んで「よくわかんないな、矢川澄子だしな」と思ってずっと放り出していたんだけど、今読んだらものすごく野溝七生子に近しい文章で、胸が苦しくなるくらいだった。
矢川が「もう一度野溝七生子がクローズアップされますように」とあとがきに書いていたけれど、こんかいのちくまの復刊で、多くの人たちに読まれてほしいと思う。

『田舎から見つめる田舎』よこのなな(群像2023年6月号収録)
『シーリと氷の海の海賊たち』の翻訳をされているよこのさんのエッセイ。すごく読みたいと思って図書館で取り寄せてもらって読んだ。
スウェーデンでの暮らしを通して(都市部の/文化の)周縁にいるひとたちを見つめたエッセイ。
「国内外問わず、田舎の物語があまりないのはなぜだろうと常々思っている。単純に人が少なく語り手も少ないからだろうか。いやしでもなく、おみやげをたくさんくれる勝手なふるさとでもなく、リアルな生活の場としての田舎は、いまさら創生などといわれなくてもすでにしっかりとある。美しい心の原風景ではなくても、たとえ否応なしであったとしても、誰かにとっては大切な暮らしの場だ。」
という一文に、『シーリと氷の海の海賊たち』で描かれていたひとびとの暮らしが重なる。それらは決して「望んで」いる場所ではなくて、構造から抜け出したいと望みながらだれかやなにかを搾取するしかなかったり、「いい人」でいられなかったりする場所かもしれない。

『新装版 レミは生きている』平野威馬雄(ちくま文庫)
籍は日本人、父はフランス人で籍はアメリカ、という平野威馬雄が、「日本の少年少女に、ほんとうのことをわかってもらいたいと思って、この本をかきました。/おなじ人間として生まれながら、顔かたちがかわっているというだけで、差別あつかいされ、毎日、悲しい思いで暮らしている「混血児」にかわって、ぼくは、この本をかいてみました。」と書き出される自伝。
日常的に、周囲や同世代の子供、学校の教師、軍人から受けるひどい排斥や嫌がらせ。戦時中はスパイ容疑までかけられて取り調べも受けていたのが、敗戦後は手のひらを返したように白米とかを持ってやってきた憲兵たちのこと。
「あとがき」で今なおそれらは残っていて、「もう70歳をこえたおじいさんなのだが、まだ、とび出していって、理由のない冷酷な差別と、真っ向から対決しなければならないばあいが、ときどき、やってくるのである。〜だから、まだまだ、この本の役割はつづくだろう。」と書いている。
娘の平野レミによる解説、下地ローレンス吉孝の新版解説に、平野威馬雄が取り組んできたこと(米兵と日本人女性の間に生まれた子供たちを養子にしたり認知していたこと)などが書かれている。
たくさん読まれて欲しい本。

『小さな声の島』(アサノタカオ/サウダージ・ブックス)読み終えた。
「声/音」というのが振動である、ふるえである、ということを感じとる、耳で「聞く」のではなく、ふれたり、見つめたり、あらゆる感覚をしてそのふるえをとらえ、拾うような読書だった。例えば泣いている友達の顔を見ず背中同士をくっつけて、その嗚咽を感じている、ような。
自らのルーツを辿る台湾の旅、Mさんの深い悲しみと傷と悔恨。
「語る」こと「聞く」ことが善性を持って/希望を持ってとらえられることが多い世界で、語りにならないものや、語らせるべきでないもの、語らずに抱えておくほかないものが「ある」ということについて、こんなにしずかでかすかな、「聞こう/感じよう」と思って聞くことで感じられる文章があっただろうか、と思う。
「聴こえてくる声を待ちながら 永井宏」「蔵書返却の旅 塔和子」の章がとくに好き。

『レミは生きている』、料理家で有名な平野レミの父親・平野威馬雄のエッセイなんだけど、平野威馬雄は戦時中はスパイと疑われ、戦後は米軍と日本人女性の間にできた子供を養子にしたり認知したりして無戸籍にならないようにと活動していた。これは自伝小説。
ずっと読みたかったので届いて嬉しい☺️

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