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『小さな声の島』(アサノタカオ/サウダージ・ブックス)読み終えた。
「声/音」というのが振動である、ふるえである、ということを感じとる、耳で「聞く」のではなく、ふれたり、見つめたり、あらゆる感覚をしてそのふるえをとらえ、拾うような読書だった。例えば泣いている友達の顔を見ず背中同士をくっつけて、その嗚咽を感じている、ような。
自らのルーツを辿る台湾の旅、Mさんの深い悲しみと傷と悔恨。
「語る」こと「聞く」ことが善性を持って/希望を持ってとらえられることが多い世界で、語りにならないものや、語らせるべきでないもの、語らずに抱えておくほかないものが「ある」ということについて、こんなにしずかでかすかな、「聞こう/感じよう」と思って聞くことで感じられる文章があっただろうか、と思う。
「聴こえてくる声を待ちながら 永井宏」「蔵書返却の旅 塔和子」の章がとくに好き。

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