眠剤の副作用でときどき寝る前の記憶がすっぱりなくなるのもあり、読むのは短編ばっかりだったのが、もしかしてだいぶ本が読めるようになってきたかも?て思えるようになって、ホイジンガの『中世の秋』を読むのを再開した 中世末期、とにかくなんでも儀式化してて席のゆずりあいでめっちゃ時間使って、ゆずりあえばあうほどそばの人に与える感銘も深まったとか、帰ろうとする客人をなんとかして引き止めるのが作法になったり、宮廷で女官たちのなかで誰と誰は手を取り合って歩いていいか、どっちがどっちを親しい関係に誘うべきかまで決められていたらしくて中世で生きてくのめちゃくちゃ大変じゃん ちょっと生きてけないな〜って…思った… #読書
マルグリット・ユルスナールは生涯の同性のパートナーと出会う以前に愛した男性もまた同性愛者であったことから「どんなに愛しても報われない」ことを身を以てあじわい、その苦悩を作品に落とし込んでいるんですね 「源氏の君の最後の恋」は老いて隠居し、目が不自由になってゆく光源氏をかつての情人のひとりである花散里が、自分がかつての情人であったことを隠して何度も会いにいき最期を看取るという話で、「老いた光源氏をどんなに献身的に愛しても報われない花散里」という構図が、かつてのユルスナールが体験した、報われなかった思いを古典文学をとおして昇華していて、本当に苦しかったのだろうな 多田智満子の訳がとにかく美しくて、あと光源氏のワア気持ち悪…て部分がきっちりちゃんと気持ち悪いのがよいです
白水Uブックスの『東方綺譚』はユルスナールの本の中では一番手に取りやすい価格なのでおすすめ #読書
昔書いたトーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』の感想 #読書
ヴァージニア・ウルフ「ラピンとラピノヴァ」とトーベ・ヤンソンのトフスランとビフスランについての補足
ムーミン公式の上記の記事にはトーベと既婚のヴィヴィカがお互いをふたりだけの秘密の呼び方で呼んでいたことをトフスランとビフスランに落とし込んでいて、それを男女の婚姻によって発生する名前の強制的な変更や夫の夫人という肩書きへの違和感、家族イベの嫌さの中で夫との間で空想を共有するウルフの「ラピンとラピノヴァ」に重ねるのは見当違いでは?て自問自答もあったのですが、「ラピンとラピノヴァ」の著書のヴァージニア・ウルフ自身も男性であるレナード・ウルフと結婚している間に女性の恋人がいた期間があり(トーベとヴィヴィカの関係性に重ねるとヴィヴィカ側の立ち位置にいる)、それが著作に非常に影響を与えているようなので、それを踏まえて書いています #読書
ホリデイシーズンだ!ホリデイシーズンといえば…怪異!ということでシャーリィ・ジャクスン『丘の屋敷』を読みはじめました いまのところ特になにかが起きたわけではないのになんかすごくいやを書かせたらほんとにうめえな… #読書
春の嵐|ヘルマン・ヘッセ
デミアン|ヘルマン・ヘッセ
ずっとお城で暮らしてる|シャーリィ・ジャクスン
東方綺譚|マルグリット・ユルスナール
ムーミン谷の仲間たち|トーべ・ヤンソン
霊応ゲーム|パトリック・レドモンド
アクロイド殺し|アガサ・クリスティ
ガラスの街|ポール・オースター
真夜中の相棒|テリー・ホワイト
10月はたそがれの国|レイ・ブラッドベリ
あの薔薇を見てよ|エリザベス・ボウエン
体調があまりよろしくなくて灯りを必要最低限にした状態でようやく川野芽生さんの『奇病庭園』を読み終わり、ハァ〜〜これは…すごく…すごい…よい読書体験であった……読み終わってしまうのがあまりに惜しかった 読んでるあいだ自分も皮膚を掻いたところから鱗が生えて、触覚が生えて、毛皮が生えて、複眼になっているんじゃないかって気がした #読書
『奇病庭園』翼に就いてⅡ
自らの意思で塔に来てキアーハに出会って、いままでの名を捨てて意味をもたない「イリュアン」という名前を自分で選びとった少女の塔での日々はあまりにも静謐で、それ故にその後のイリュアンに起こったあらゆるできごと(イリュアンを「助けに」やってきたフュルイに繰り返しデッドネームで呼ばれ続ける、まるでイリュアンの意思がないかのように「あなたは魔物に唆されている」と説得され続ける、教団に戻されたあとの暴力、キアーハとの別離による絶望)が本当に…めっちゃ…つらい…幻想小説でかつクィアな属性を持つものたちが克明に描かれていて、いまこういう作家さんがいてくださることがわたしにはとてもうれしい #読書
ぬいぐるみと生活|うつの療養中