福澤ゆき『双子の王子に双子で婚約したけど「じゃない方』だから闇魔法を極める』

donの相互さんがおすすめしてくださったやつ。おもしろかった!
フォーマットは昔ながらのテンプレ……となるんだけど、読後感はフォーゼ(仮面ライダー)とか……『ビバリーヒルズ青春白書』を日本のBL版でアップデートしたらこんな感じな気がする! という読後感だった。
学園青春群像劇〜!

キャラをモブにしたり使い捨てたりしない群像劇など好きな人(私ですね)にはおすすめできるように感じたな。好き!

わりと頭から同室くんとリュカくんが好きで、婚約相手の双子くんはまぁ2人ともがんばってね〜!!! など思ってたんだど、切り札の方の彼がああいう選択をして、あちらの彼がああいう立ち回りをしたことに、大変に感動した。そうとは見せていないけど、そういう内面も持っていることは、読者には伝わっていたんだけど……育ってきた環境由来で、内面で隠されたまま腐ったり錆びたりしてしまいそうだった大切で魅力的なそれが、ああいう場で綺麗に花開くのは素敵だよ。

樋口美紗緒をすごく感じるな……と思っていたら、帯で「樋口美紗緒絶賛!!!」と書かれていたと知って納得。わかるーーー

amzn.to/3LiQQMW

樋口美紗緒『王を統べる運命の子』 全4巻

「やはりこのフォーマットは人気があるのかな……」の感想が第一。あわれで健気で無理解と理不尽の中にいた自己犠牲精神の強い受けが、やがて理解を得てみんなの中心になり愛されていくストーリー。

攻めたちは「雄感」は強いのだが、ひねくれに捻くれていて、でも中身は受けにデロデロに甘く一途で蒸気を逸しているほどの「愛」がある。お互いの強すぎる「愛」ゆえに試される2人、その2人にとっての「愛」の形とは? ……みたいな。

単純といえばそうだが、恋愛ものでのこのフォーマットってやはり普遍なんだろうなと思う。

常であれば、正直ほとんど興味ないそのフォーマットであるにもかかわらず「めちゃくちゃおもしろかった……!」と読まされてしまうのが樋口美紗緒作品なのだが、この作品はそこまでだった。
そこまで、など言いつつ2日で4冊読了してるゆだから、いややはり読み耽っているな。おもしろかったです。
死んだと思ったら増えてたの「?! ……?!?!」となった。

なお私は「ユリウス」が好きです。モードというか。地味で不器用で友達作りすら下手か! みたいな攻めくんのポンコツはかわいい。

amzn.to/43KJpFr

樋口美紗緒作品は、キャラ造形が得意ではないこともありつつ、どストレートに、少なくとも私が読んだことあるすべての作品で「『愛』とは?」を問い続けている。

恋ではなく、愛である。

恋情を持たないキャラもいる、性欲を持たないキャラもいる、「愛」を持たないキャラもいる、愛が変容するキャラもいるし……様々で、でも、どの作品でも問い続けるし、多様な「愛」を提示し続けているのは凄い。
恋愛や性愛に限らず、家族愛や友愛や同胞への愛もある。

そして文章は抜群に読みやすいです。引き込まれるし。(二次創作も知らずに読んで「うおおおお」となったりしました)

ということで、
買うだけ買ってて読んでなかった『王を統べる運命の子』を読みはじめます。

amzn.to/41A8SPZ

沢村凛『記憶の果ての旅』

最初こわくて、だんだんおもしろくて、どんどん不穏になって、最後に「勇気」が与えられる物語。

読みはじめ、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を思い出していた。読んだ子どもたちに、読了後「生きていけるかも」というメッセージを送り得るところは共通と思った。
けど、

「沢村凛」に対する期待値が高すぎて、正直やや物足りなかったかな。

ラストのメッセージがエンパワメントになるには、そこに説得力を持たせるだけの読書体験? 感情? がもうちょっと、欲しかった。

改題前、同時発売されていたもう1冊も買ってあるので、遠からず読みたい。

amzn.to/3UIATmi

鯨庭『千の夏と夢』

あらゆる生命が愛おしくなるよ。そういう作品。

「漫画だ!!!!」という感じの読書体験だった。
漫画には漫画の、小説には小説の、映画やドラマやラジオにはそれぞれの「良さ」があると思うんだけど、この作品はじっとりとした意味での「漫画っぽさ」を堪能できる1冊だったように思う。

ストーリーは「普通に好き」という感じ。大騒ぎはしないけど、そりゃもう好きですよ、と。
大騒ぎしないまま、このまま作品が出てくれる限り「おぉ出ているのか、はい買いますね」って、長く付き合っていくのだろうな。いけたらいいな。いきたいなぁ〜 と思いました。

あと絵がかなり好きです。ジャケ買いだったんだけど正解だったな。ポストカードとかほしい!

amzn.to/3nSZOqQ

山田胡瓜『AIの遺電子 Blue Age』2〜5巻

アニメ化を知ったので、記念に積んでいた2〜5巻を読んだ。やはり……好きだな……! の気持ちをあらたにした!

『AIの遺電子』は
・無印……アニメ化されるやつ、完結済み
・Red Queen……無印の続編、完結済み
・Blue Age……無印の前日譚、まだ続いている
の3シリーズあるんだけど、BAは無印と近い。無印よりなお泥臭く、挑戦的で直接的で、なお現実的と思う。現実的と感じるのは、現実時代が進んだからか。

「人間の形をしており内実も人間のようだが、人間ではないとされているもの」との折り合い、もしくはそうした存在が社会との折り合いをどうつけるのか、そういうところにずっと関心があり、だから、この手のSPが好きなのだろうなと思います。
イヴの時間とかね…………!

続きもたのしみだし、アニメもどうか、良い感じに作られてほしいなと思います。

amzn.to/41ckNnd

未散ソノオ『Wミッション!』

双子×双子のBL。
双子同士、仲は良いのだけどあちらにはあちらの、こちらにはこちらの のっぴきならないままならなさがあり、とても良かった。
ままならないまま、無理だから、無理のままでも大好きでいるためにああいう離れ方を選ぶのよな。いやそれでもめっちゃ距離近いんだけどさ。大変に良いよ。
親がどちらもそれぞれに毒々しいのだが、最悪なのだが「人間……」を感じたりもしてしまって、世の中って本当にままならない。

あと、とんでもなく、どえらく、いぬがかわいい。

amzn.to/3ZvZUSx

あまさわ蟹『似てない僕らのままで続く』

タイトル買い。大正解だったし、推していくと決めた。すごく良かったし、あとがきまで読んで、なんでこんなに「良い」と感じたのかもわかった。
堅実に、この作者さんのペースでこの作者さんらしいものが描き続けられるように売れ続けてほしい。そして堅実に評価されて欲しい。(この場合の「堅実な評価」とは、盤石な絶賛のことである)
持て囃されるのではなく、地に足のついた高い評価を。
静かに、知っている人必要な人たちにだけ、過不足なく、しかし間違いなく届いて欲しい。
絶賛ですね。この作品と偶然出会えた私には祝福がついている。thanks!!!!

amzn.to/3THQcLz

安西リカ『ベターハーフムーン』

受けくんのいた環境、グレー寄りのしかし黒にて、ちょっとそわぁ……とはしたのだけど、しかし。
学ぶことを知って自分を大切にすることを知って前を向くことを知って、結果として「うしろにかつての仲間を置いてくる」が含まれてしまうというのは、どうにも、どうなんだろうな。
でも「そうじゃない」が現状日本で成立し得るのかというとどうなんだ……?! など考えてしまった。

あと攻めくんは別に悪い人では全くないんだけど、自分のことちゃんと大事にしようと決めた結果受けくんに振られて去られてしまうというの、これは納得の帰結すぎて「そっ……そうだね?!?!」となった。
でも、そこからがんばりましたね。
私はこの攻めくんの方向性でのダメさを持っているタイプの人間なので、本当にがんばったなぁと……攻めくん、えらかった。

おばあちゃんかっこよさそうよね。おかあさんも元気にしてるといいな。

amzn.to/3LSmdPk

安西リカ『普通〈ベータ〉の恋人』

大変おもしろかった。バース性というと特別なものなんだけど、その特別なものを、単なる性別として棚卸しして普遍にしちゃった物語。

オメガバースという設定、BLにおいてどう使うのかって本来とても作家性が出るものと思っているんだけど、安西リカさんのそれは、どれもそれぞれでおもしろかったな。
性欲にふりまわされるって、「いや怖いし、ないわー」ってなるのもまた普通っていう。
相性とか運命とか言われても「えー? いやぁ……」みたいな。
日常と意思と選択なのよな。安西リカさんはやはり、「日常」描写が絶品である。
普通のことしか書いてないのに、その普通のところに涙腺が刺激されてしまうんだからすごいよ。なんでここで涙腺にきたのか? が、相変わらず自分でもわかりません。そういう凄みがしばしばあるな。

ところで「3人目の当て馬」にこそ大抵ハマる私は、やはり主人公たちより、あちらの2人のほうに関心があったのでした。
後半の話と、あとがきあとのssで堪能できて嬉しかった〜✨🌸✨

amzn.to/42Hox1e

絵津鼓『ハッピーマジカルNIRVANA』

絵津鼓さんの作品はだいたいどれも好きなのだが、これはとりわけ絶品かもしれん。
ストーリー性? エンタメ性? みたいなものがこれまでより高くて、なのに、「絵津鼓作品です!!!!」感もすごくしっかりあった。

彼らの、というか彼の「孤独死」「老人ホームをつくる」願望ってたぶんけっこう切実で、私も友人らと話したことはあったけど、ふざけ半分もしくは「あるある」トークとしてではあったけど、もう半分には「そうだったら助かるなぁ」のリアルみがたしかに含まれてもいたんだよ。

NIRVANAは今回は「楽園」みたいな意味で紹介されていたけど、繰り返す輪廻からの解脱とか、忘却とかの意味もあるのよね。タイトルとしてぴったりすぎる。含意がすごい。
すごいけどラブホみたいって言われてて、それもほんとそれすぎて笑った。
彼らの物語、また読みたいな。彼らにまだまだ会いたいよ。

amzn.to/3nnaqOp

シマ・シンヤ『GLITCH』1〜3巻(未完)

絶対におもしろいとわかっていたので、落ち着いて読めるまであたためていたシリーズ。
やっぱりおもしろかったよ!!!

謎の生き物との遭遇でミステリー風トトロの風味あるんだけど、その異常もまたこの町では日常になってしまっている……という塩梅が大変に独特。大変におもしろい。
「異常」と「日常」の境界が曖昧。
「異物」であるところの存在たちと育む人情と尊重の物語。異物たちのほうが、現実の人間よりよほど人間らしいし、よほど人情も尊重も理解されていて羨ましい。
子どもたちが子どもたちのまま尊重され守られた世界観の中での、
いやなんだこれなぁ?! 地域史探究SFミステリー? ジャンル分け難しいな。

はやく4巻をください。

amzn.to/40z8T6p

未散ソノオ『よきヒモとよき飼い主』

初読み作家さん。大変おもしろかった!
ストーリーはBLにありがちな「君ペ」なんだけど、テンションとテンポがずっと絶品でした。
このテンポを楽しめるのは、私には漫画ならではだなぁ! 大変心地良かった。

何が解決したわけでもなく、変化も進化も成長もあったが、本当に、別に全く事態は何も解消しなかった。
それなのに希望だけはめちゃくちゃいっぱいあって、かわいくて、すてきで、よかったぁーーーーー 好き!

メロちゃんのパパとか、意味わからんすぎるしわからなすぎてヤクザかな? とか思っちゃうくらいだったけど(ひとかけらもそんな要素は説明されていません)、それがそのまま放置されている勢いがまた良いよ。でもいつか見たいな。

作家買いをしたいです。

amzn.to/40zUzL1

オノ・ナツメ『僕らが恋をしたのは』3巻

「このおっさんらいちいちカッコよくて可愛くてくそーっ」の気持ちと「この女いったいなにもの?! 怪しすぎる……サスペンス……!」の気持ちで読み進めてきたけど、いや人情モノだったかもしらん。
なんだよこの女、とか思っててすまんかった。

4巻たのしみだな!

amzn.to/3nglcGs

田村由美『ミステリと言う勿れ』12巻

風呂光さんの巻!!!
前回、ライカさんとガロくんが出会って、ガロくんがヤラれて、大変な感じだったけど今回はまた少し落ち着いた。
次巻へ続く! だからかな。
登場人物ぜんいんあやしくて笑う。

amzn.to/3ncRWAf

miso『春の修羅』

ものすごく個人的に「あの人はこれ絶対好きなはず」と思い浮かんだ人がいた。
可哀想とか弱っちぃとかに見せかけた受けが実は「こいつこそ怪物」「こいつの方こそがやっかい」「意味わからん(強)」「メンタル弱いふりした岩かな?」な作品好きな人ならお好きかもしらん。

ホットロードみたい! て思いながら読んでいたけど、違ったなぁ。

amzn.to/40tG9fj

有馬嵐『半分あげる』

テーマというか、題材というか、設定とキャラ付けに使われている材料の都合で「好き」とか「いいね」とか言えないライン上にある作品なので、無批判に(もしくは付言なく)高評価にはしがたいのだけど……私はこれは、希望だとも思ったのよね。
若い人には絶対におすすめしないけど、あの時期をどうにか超えて生き延びた人には、「あーね」となる部分はどうしてもあるというか。
あの「なんだぁ……」の感じも、わかってしまうしなぁ。

BL的には、そして個人的には主人公たちの、「攻め受け、そっちなんだね?!」がとても良かった。

なので、おすすめはしないけど、個人的にはどうにも「ここは気に入りました」の気持ちを拭い去れない作品でした。
また読むし、たぶんこの作者さんの他の作品もともあれ読んでみたいとは思ってはいます。(我がことながら歯切れが悪い〜〜〜

アリス・オズマンHEART STOPPERのnovel『This Winter』の日本語訳版が出ていました……よ……!!!!

amzn.to/3z3iqH2

アニメイト池袋本店 

むかし池袋保健所で仕事をしていたので(保健所の職員ではない)、昔ながらの戸建てなどが潰れ商業施設になり、気づけばお隣さんがアニメイト本店になっていた! という推移を見守ってきた経験がある。

で、その保健所での仕事は出産を機に辞めたのですが、実は去年の春から、かつて池袋保健所があった場所の数軒隣で仕事をしており、
かつての職場であった池袋保健所(跡地)が、拡張されたアニメイト池袋本店に変わっていく様を見ていました。
先週、拡張されたアニメイト本店も無事オープン。
私の「はたらいてる場所」をもし記録するなら、アニメイト本店の歴史と紐づいたものになるのだなぁと、しばしば感じ入る日々です。

アニメイト近いからか、よくこういうフードトラックが来るのですよ。たのしいよ。へへ。

マリー・セクストン『デザートにはストロベリィ』(コーダシリーズ3冊目)

シリーズ1冊目のセフレの彼のこと、好きだったしずっと気になっていたので嬉しい!
シリーズを最初に読んだときは「ふーん」くらいのものだったけど、こんなに愛おしいシリーズになるなんてなぁ。大好き。
もどかしいとか、イラリとさせられたりとか、そういう感情の一つ一つを、後からひっくり返して納得させられる、その翻弄のされ具合が堅実で心地よい。もっとやって!

あとは、ポリコレについて思うこと。
今はそういう意識があることなんて、もう本当の本当に当然で、その上で人物たちがやらかしたりして焦ると「しまったこういうとき、『政治的』にはどう言えばいいんだっけ? くそ、頭が働かない……」とかってモノローグが入る。
こういうモノローグを入れられるレベルか否かの差は大きくて。それくらいは当然、というレベルの心地よさを知ってしまうと戻れないなぁみたいなことをあらためて思いました。
世界にはおもしろい物語、だってもういっぱいあるんだもんな。

コーダシリーズ、ゆっくりじっくり進んでほしいなぁ。
最後の一文、「!!!!」となったし!

amzn.to/3JEwz2g

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