安西リカ『普通〈ベータ〉の恋人』
大変おもしろかった。バース性というと特別なものなんだけど、その特別なものを、単なる性別として棚卸しして普遍にしちゃった物語。
オメガバースという設定、BLにおいてどう使うのかって本来とても作家性が出るものと思っているんだけど、安西リカさんのそれは、どれもそれぞれでおもしろかったな。
性欲にふりまわされるって、「いや怖いし、ないわー」ってなるのもまた普通っていう。
相性とか運命とか言われても「えー? いやぁ……」みたいな。
日常と意思と選択なのよな。安西リカさんはやはり、「日常」描写が絶品である。
普通のことしか書いてないのに、その普通のところに涙腺が刺激されてしまうんだからすごいよ。なんでここで涙腺にきたのか? が、相変わらず自分でもわかりません。そういう凄みがしばしばあるな。
ところで「3人目の当て馬」にこそ大抵ハマる私は、やはり主人公たちより、あちらの2人のほうに関心があったのでした。
後半の話と、あとがきあとのssで堪能できて嬉しかった〜✨🌸✨