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 “イタイイタイ病には、二つの差別が関わっている。ひとつは、この病気が遺伝病とか「業病」とみなされたことにより、患者と家族に向けられた差別で、それは家族との婚姻忌避に顕著に現れていた。
そして、もうひとつは、戦後の民主主義のもとでも流布された“貧困”“封建的”という富山県の農村に向けられた地域差別意識である。これが、栄養障害説の根拠ともなっている。イタイイタイ病が問題化した時期は、高度経済成長の渦中であった。まさに、この時期、北陸は経済発展から取り残された地域として意識され、「裏日本」という呼称が汎用された。遅れた「裏日本」の農村に多発する「奇病」、イタイイタイ病のそうしたイメージが社会に焼き付けられていった。”

裏日本
近代日本を問いなおす
古厩 忠夫 著iwanami.co.jp/smp/book/b268341
イタイイタイ病およびカドミウム中毒問題の被害・加害構造に関する環境社会学的研究 渡辺 伸一ほかkaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKEN

差別の日本近現代史
包摂と排除のはざまで
黒川 みどり
藤野 豊iwanami.co.jp/book/b223928.htm

さんがブースト

ヘイト本について 

上記のことを書いたのは、今回のトランスヘイト本をめぐって少なくない人が「KADOKAWAのヘイト本を出さないところを評価してたのに」という落胆や批判の投稿をしていたからです。KADOKAWAはヘイト本を出しています。今年だけでも、不動産や移民や何らかの手段により「日本が中韓に乗っ取られる」的な本が何冊も出ていますし、なにやら教科書には載っていない「中韓がヤバい国な理由」みたいなものを説明する本も出ています。これらがヘイト本でないとするなら、ヘイト本は出ていないのかもしれません。
さらには、「KADOKAWAは嫌中嫌韓のヘイト本をあまり出してないところを評価してたのに」という趣旨の、中韓ヘイト本を出していること自体は認識している投稿もいくつかありました。べつに私が重箱の隅をつつこうとして積極的に探したわけではなく、そうした投稿が私のTLに流れてきたのです。
こうした投稿や発言は、たとえ言葉のあやだとしても、特定の差別被害を矮小化するものです。正直けっこうショックだったので、これらの投稿をすることにしました。今回の抗議活動には賛同していますし、私もこれ以上ヘイト本の総数が増えることは決して望みません。

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さんがブースト

ヘイト本について 

KADOKAWAについて、「これまでヘイト本を出してこなかった」と認識している人とは、たぶん見えている世界というか生きている現実が違うのだろうな、と思います。KADOKAWAも何冊も出していますよ。
というか、日本の大手出版社でヘイト本を出していない会社はおそらくないです。中韓へのヘイト本は、私たちへの憎悪は、どの棚にも置かれています。なんなら図書館にもありますからね。
今から出るヘイト本の出版に反対し批判することは本当に重要ですが、その際にこれまで出たヘイト本の被害や歴史を軽視しないというのも、同様に大切だと思います。

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さんがブースト

ヘイト本について 

KADOKAWAは中韓ヘイト本を何冊も出しているので、LGBTヘイト本を出す方向に舵を切ったことに関して実のところ驚きはないです。
トランスヘイト本(陰謀論本)をわざわざ和訳して出版しようとしていることは許しがたいし、私も抗議の意見を送りました。
けど、これは今まで中韓ヘイト本が出版されまくってきた末の結果だと私は思っています。その積み重ねを無視して「まさかKADOKAWAがヘイト本を出すなんて…!」みたいな反応をするのは、あなたはずっと中韓ヘイトを無視してきた(そして今も注視していない)んですね、と捉えられても仕方ないと思います。
私は、母方祖父が中国人で父方義祖母が朝鮮人というルーツを持っているんだけど、物心ついた頃から私らに対するヘイト本が本屋に並んでないことの方が少ないので……。長年、主に中韓に向けたヘイト本の出版が許されて、そのヘイト本が売れてきました。その差別の歴史を無視した発言(投稿)はしないでほしいです。突然起きたことでも、今回だけの話でもないんです。
繰り返し書きますが、私は今回のトランスヘイト本の出版には反対ですし、抗議も批判もします。ただ、この件を「(KADOKAWAが出す)初のヘイト本」のように言うのは、別のヘイト本による被害を軽視していると言いたいです。

新しい本を読むよりも再読が多くなったように感じる。慣れた文字を辿って気持ちを落ち着けたいのだろうか、と思う。一方で、読む私は以前の私と同じではないから、その本を以前と違った視点で読むこともある。本に書かれた内容は変わらないけど、私の読みは変わっていることがある。

 “七三一部隊の人体実験は日本陸軍内部の秘匿事項でしたが、人体実験で得られた成果は関係する東京帝大・京都帝大の医学部教授のもとに送られるなど、日本医学界を巻き込んだ巨大構造のもとで公然の秘密のようにおこなわれていました。七三一部隊を率いた石井四郎は、人体実験の情報を米国に極秘で渡すという交換条件で東京裁判で裁かれることはありませんでした。七三一部隊や関連する部隊で働き、戦後、戦犯として裁かれずに逃れ、要職に就いた者も少なくありません。”

 “この文脈であらためて注意を喚起しておけば、戦後、戦争責任を問われなかった最大の責任者は「大元帥」であった昭和天皇(一九〇一─八九)でした。すなわち、昭和天皇は〈戦前〉と〈戦後〉が断絶しつつも連続している関係性の象徴でもあり、石井をはじめ「免責」された者が戦後社会の中枢に居続ける構造を可能にしてきたのだと言えます。”
第一三講 近代日本の〈闇の奥〉──人類館、朝鮮人虐殺、七三一部隊

野蛮の言説 (春陽堂ライブラリー 2) 中村隆之shunyodo.co.jp/smartphone/deta

“権力犯罪が、権力側の資料に正確に記録されることはまれである。”

“しかし、人が生きてきた痕跡、人を殺した痕跡を、そのように簡単に消すことはできない。”
第4章 関東大震災時の朝鮮人虐殺

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代藤野裕子 著chuko.co.jp/shinsho/2020/08/10

さんがブースト

あるいは、ヘイト本置いてる批判をうけて真摯な対応をする、そのこと自体がヘイターを引き寄せることにもなるわけで、その結果ヘイターがお店にやってくるなんてことになったら......ということも考えたい。もし、マイノリティ当事者であることを隠して働いている書店員がいるとしたら、ヘイト本をどうにかする権限も持てず、そのうえヘイターが目の前に現れる危険性まで生じる、最悪の状況がやってくる。なんでもかんでも公開の場で声をあげることが「常に」「よいこと」ではない。これはSNSの功罪を考えるうえで大事な点だと思う。

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さんがブースト

ヘイト本置いてる置いてない問題の難しいところは、判断基準がどうしても「お店」単位になってしまい、そこで働いている個々の状況に目を向けることができなくなることだと思う。特にチェーン店は権限も職能もほぼ持たされていないパートやバイトが現場を回していることがほとんどで、ヘイト本が置いてあることの責任がかれらに負わされてしまう(構造になってしまう)のは、決して「よいこと」ではない。それこそ、レジに立っているのは高校生バイトのこともあり、差別やなんやらの知識がなくても仕方がない。しかしそんなことはお構いなしに「ヘイト本を置いているヘイト書店(で働いてる者)」として認識され、悪者認定されてしまう。それはイスラエル人/パレスチナ人であるからという理由だけでネタニヤフ/ハマスと同一視されてしまうことと同じで、やられた側からしたら理不尽なことだ。だからこそ、公開の場でなされるやり方以外の批判、もしくは事前の予防策が重要になってくると考えていて、それが新刊チェックニュースレターの目的のひとつでもある。

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 “林さんは魯迅の言葉をよく引く。「墨で書かれた虚言は、血で書かれた事実を隠すことはできない」。”

関東大震災、中国人子孫(その2止)「政府の隠蔽は悪質」
mainichi.jp/articles/20231203/

さんがブースト

ある程度の知識と経験があれば、煽り文句などの文言や雰囲気から「これは距離を取ったほうがいい気がする」くらいの判断はできるはずなんですが、逆に中途半端な意識があるからこそ「ジェンダーの本だ!仕入れなきゃ!」になる場合があり、その点で個人店のほうが心配だったりする。そのうえ個人店だと入荷した本の紹介を写真つきですることも多く、そのなかにこの本が写ってたら大変なことになる。もちろん批判はされるべきだし受けとめるべきだが、SNS上でなされた公開の批判はヘイターや、ただ悪ふざけがしたいだけの外野にとって格好のネタになってしまい、いつしかそちらの効果のほうが大きくなってしまうのがいまのSNS。

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さんがブースト

ふだんの新刊チェックニュースレターは刊行3週間前くらいのものだけど、KADOKAWAのこれに関しては早めに言及して注意喚起します。チェーン店(特に大きな店舗)にはパターン配本などで勝手に納品されてしまう版元なので「仕入れない」ということは難しいですが、置かざるを得ないにしてもジェンダーだとか反差別だとかの棚に置かないようにすることや、目立たないようにすることはできるので。

さんがブースト

KADOKAWAが出すトランスジェンダー差別本、「どちらの意見も聞かなければ」的なよそおいで売り出すのだろうけれど、それが差別そのものであるのは言うまでもなく。ほんとうに醜悪で残酷。

「女性ならではの感性」の雑さ 褒めているようで、見下しているものasahi.com/articles/ASRCS3VM7RC

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 “でも、私は、女たちの知恵を尊ぶカルトをつくるのは好きじゃなかったし、今でも、そういうのは好きじゃありません。男たちの知らないことを知っていると、誇らしげに言うのは好きではないのです。女たちの奥深い、非合理な知恵とか、女たちが生得的にもっている自然についての知識とか、そういうのを誇りたくないのです。そういうことをすると、非常にしばしば、女性は原始的で劣っているとする男性上位主義者たちの考えを増強する結果に終わります。女たちの知恵は幼稚で、原始的で、根っこを下っていった先の暗闇にある。一方、男は地面を耕して、光の中で花を咲かせ、穀物を実らせる、等々というあれです。”

 “「闇にその名をきくやつがどこにいる?」とコケは言います。これは堂々たる修辞疑問文です。
 しかし、テナーはそれに答えます。彼女は言います。「わたしは問いつづけるわ」そしてつけ加えます。「わたしは闇の世界に十分長く暮らしたんだもの」”
女たちが知っていること

私と言葉たち
アーシュラ・K・ル=グウィン 著
谷垣 暁美 訳kawade.co.jp/sp/isbn/978430920

「憎悪のピラミッド」という概念図について
2023.11.29 d4p.world/news/24135/

“〈どうにか命を落とさずに生還した男〉たちが、だれかにとっての〈いい夫、いいお父さん、いいおじいちゃん〉であるという事実を私は踏み躙りたいとは思いません。”

“ただし、昭和が遠ざかり、平成すら幕を下ろしたいまの日本で、どこかでだれかが結託して〈日本という国を国として成り立たせるために、言いかえれば、日本という国の輪郭を明確にする〉ために、あの戦争から帰ってこられなかった声のない人たちの声をさらに奪ってかれらが、妻や子どもや愛する恋人を守るために喜び勇んで憎き敵と闘い、桜の花びらのようにうつくしく舞い散った、という物語をこしらえようとしているのなら、死者らを正しく悼むためにも、それとは異なる、まったくべつの物語を、私たちは書き続けなければなりません。”

私とあなたのあいだ〜この国で生きるということ
【特別公開 第4回】かれらの居場所〜最終便 温又柔より
2021.08.15
webmedia.akashi.co.jp/posts/51

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