ふだんの新刊チェックニュースレターは刊行3週間前くらいのものだけど、KADOKAWAのこれに関しては早めに言及して注意喚起します。チェーン店(特に大きな店舗)にはパターン配本などで勝手に納品されてしまう版元なので「仕入れない」ということは難しいですが、置かざるを得ないにしてもジェンダーだとか反差別だとかの棚に置かないようにすることや、目立たないようにすることはできるので。

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ある程度の知識と経験があれば、煽り文句などの文言や雰囲気から「これは距離を取ったほうがいい気がする」くらいの判断はできるはずなんですが、逆に中途半端な意識があるからこそ「ジェンダーの本だ!仕入れなきゃ!」になる場合があり、その点で個人店のほうが心配だったりする。そのうえ個人店だと入荷した本の紹介を写真つきですることも多く、そのなかにこの本が写ってたら大変なことになる。もちろん批判はされるべきだし受けとめるべきだが、SNS上でなされた公開の批判はヘイターや、ただ悪ふざけがしたいだけの外野にとって格好のネタになってしまい、いつしかそちらの効果のほうが大きくなってしまうのがいまのSNS。

ヘイト本置いてる置いてない問題の難しいところは、判断基準がどうしても「お店」単位になってしまい、そこで働いている個々の状況に目を向けることができなくなることだと思う。特にチェーン店は権限も職能もほぼ持たされていないパートやバイトが現場を回していることがほとんどで、ヘイト本が置いてあることの責任がかれらに負わされてしまう(構造になってしまう)のは、決して「よいこと」ではない。それこそ、レジに立っているのは高校生バイトのこともあり、差別やなんやらの知識がなくても仕方がない。しかしそんなことはお構いなしに「ヘイト本を置いているヘイト書店(で働いてる者)」として認識され、悪者認定されてしまう。それはイスラエル人/パレスチナ人であるからという理由だけでネタニヤフ/ハマスと同一視されてしまうことと同じで、やられた側からしたら理不尽なことだ。だからこそ、公開の場でなされるやり方以外の批判、もしくは事前の予防策が重要になってくると考えていて、それが新刊チェックニュースレターの目的のひとつでもある。

あるいは、ヘイト本置いてる批判をうけて真摯な対応をする、そのこと自体がヘイターを引き寄せることにもなるわけで、その結果ヘイターがお店にやってくるなんてことになったら......ということも考えたい。もし、マイノリティ当事者であることを隠して働いている書店員がいるとしたら、ヘイト本をどうにかする権限も持てず、そのうえヘイターが目の前に現れる危険性まで生じる、最悪の状況がやってくる。なんでもかんでも公開の場で声をあげることが「常に」「よいこと」ではない。これはSNSの功罪を考えるうえで大事な点だと思う。

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