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マストドンやってて改めて思うのが、文章を書くこと、特にツイッターで短文にまとめるのが苦手ということ。長文だから良くなっている訳でもないけどまだましな気がする。
自分の文章は一文毎に呼吸し直してるみたいにぶつ切りに感じる。ブログだとあまりそう思わないのに。
ツイッターで綺麗に文章を書く方々にとことん憧れる…

台湾セクシュアル・マイノリティ文学(2)紀大偉作品集「膜」が本当に本当に良かった。まさにクィアSF。復刊して欲しいなぁ…この作品が90年台に出ていたのが驚きしかない。この時すでに台湾は十分にクィアだったんだな…

表題作の膜が特に良かった。段々と分かってくる事実に胸がギュッと締め付けられる。紫外線が人体の肌に影響を及ぼすほど強くなり海中に居所を移した未来というのも面白い。

私の意識は私のもの。それは本当?いつのまにか現実と思っていた世界がぐにゃりと歪んでいく。
他にも性の反転、無意識に都合よく塗り替えてしまう記憶、向き合わずに押し込めたホモフォビア…悲しいけどこの抑圧は今の時代にも十分あり得ること。

作中に沢山の文学作品が出てきて(特にベルイマンが印象的)嬉しかった。母と娘はどうして確執ばかり描かれるのだろう。

エリカ・チェノウェス「市民的抵抗 非暴力が社会を変える」読了。
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3.5%ルール(運動の絶頂期に全人口の3.5%が積極的に参加している場合、革命運動は失敗しないという仮説)を広めた著者が、市民的抵抗に関して一問一答形式で質問に答えていく。
統計に関しては社会不正義は含まれず政権転覆等のみ含まれているけれど、抵抗の方法や傾向を考えるととても学びが多い一冊だった。
 市民的抵抗は受け身・無関心とは反対の行動で、敵に直接危害を加えることがないものの、必ずしも友好的で礼儀正しいという訳ではない。このあたりは直近のインボイスで「方法」にこだわる人達を思い出させる。
非暴力革命のために大事になってくるのが「離反者をつくる」ことだそう。企業相手であれば、労働者、消費者、契約相手、卸売業者、輸送業者、投資家など。
ただ過去10年間の成功率は下降気味で、参加率も低い。ゼネストや大規模な市民的不服従を発展、組織的に使わずに大衆デモに頼りすぎている傾向がある。インターネットが普及したことで署名やいいねが手元で完結し、長期的な抵抗にならないことが多い。
このあたりはまさに自分のことで、襟を正す思い…。
機会があれば著者批判している「パイプライン爆破法」も読みたい。

インプット過多(?)でここ数日本を読んでも文字が滑って嫌だな〜とモゴモゴした気持ちでいましたが、復活したみたい!市民的抵抗をまた最初から読み直すことにします。

岩永直子「言葉はいのちを救えるか?生と死、ケアの現場から」読了。
医療記者である著者が優生思想、障害、安楽死と緩和ケア等さまざまなテーマから丁寧に向き合う。

ある時にはインタビュアーの意見には全て賛同できないと書いてあるものの、著者はその行動や意見を頭ごなしに否定しない。まず耳を傾け、かつ自分の思う危機感や意見をきちんと伝える。この人は真っ直ぐ目を見て向かい合って聞いているんだろうな、と文字から感じた。

終章には思わず言葉を失い、自分のままならさに涙が出た。
言葉はいのちを救えるか。そう問い続けることは他者の痛みに向き合うことだ。他人でなく隣人であるために、その作業をやめないでいたい。

斉藤真理子「韓国文学の中心にあるもの」読了。
人々はどうして韓国文学に惹かれるのか?セウォル号、IMF危機、光州事件、朝鮮戦争等から見る韓国文学の源やパワーについて丁寧に解説してくれている。この本が読めて本当に良かった。

特に朝鮮戦争に関しては、どうして今まで知らないでいられたんだろう、という恥や罪悪感やらでいっぱいになる。
著者の「恥があるということは恥ずべきではありません。(中略)そこにありえたかもしれない未発の夢を手探りすることです」という言葉の重みをしっかりと受け取る。恥で全てを占めるのではなく、次世代のために何ができるかを考えること。

過去の痛みに向き合い、その痛みを言語化することで回復の工程を丁寧に辿っていく。それは読者をとても勇気づけるものだと思う。

積読になっている韓国文学、この本に書いてあった小説や映画等少しずつ触れていきたい。

エルビラ・ナバロ「兎の島」読了。
すごく好きな短編集だった!どうにか保っていた日常も、一つの不安で簡単に崩壊してしまう。じわりと内的に追い詰めてくるような恐怖。物語の結末もはっきりしているものは多くなく、こちらに想像の余地を与えるのでまた怖くなる。
私は当事者目線で考えてしまいがちなので、小説に書いてあることを全て本当だと受け止める節がある。
疑いなく読むからこそ色んな所へ連れて行ってくれる。それもとても楽しいけど、もう少し多面的に読みたい気持ちもある。
次読む時は、どこまでが現実でどこまでが妄想、あるいは超自然なのか俯瞰して読んでみたい。
どこを取ってもおざなりになっていなくて、きちんと噛み締めるような言葉がとても多かったように思う。
「心の中では思っていても口に出さないことが、ほかにもたくさんあった。」

高井ゆと里「トランスジェンダー問題」読了。
著者はイギリスのトランスジェンダー諸問題について触れているけれど、日本に置き換えても大してかけ離れていないと思ってしまうほど近年のトランスフォビアは著しい。

イギリスが行った社会調査のアンケートで、「トランスジェンダーへの偏見は全くない」に対しては80%を超えているのに、彼らが警察官や教職に就くことを聞かれると途端に賛成率が半減している。私含め無意識下の差別はそうやって生まれているんだろう。

訳者の解説が同ページにあるのもとても良かった!基本は文献と一緒に一番後ろに持ってくることが多い気がしていて…その場で疑問を解決できるのはとても助かる。「このあたりの著者の記載については注意が必要」等訳者自身の意見も書いてあり、なんだか新鮮だった。

本書の最後には、訳者が章ごとのテーマに日本の現状を加えた「訳者解題 日本でトランスジェンダー問題を読むために」が書かれている。これもまた国内の問題を知るのにとても勉強になった。

8月に観た映画
長編
チェン・カイコー「さらば、わが愛 覇王別姫」
短編
シャーロット・ウェルズ「Tuesday」
charlotte-wells.com
※英語字幕のみ

川添彩「夜の電車」
kortfilm.be/en/node/114
予告編
vimeo.com/767565920
※海外サイトで有料配信

覇王別姫の衝撃が大きくて今月はあまり映画が観られなかった。だから短編をふたつ。

アフターサンで有名なシャーロット・ウェルズの短編を観て、この人はどこまで終わらない孤独を描くのが上手いんだろうと思う。
夜の電車は大好きな三好銀の漫画「いるのにいない日曜日」が原作とのことで観たら、夢現になるような映像で心を掴まれた。

8月に読んだ本
シャネル・ベンツ「おれの眼を撃った男は死んだ」
奈倉有里「ことばの白地図を歩く」
村上靖彦「客観性の落とし穴」
ク・ビョンモ「破果」

シャネル・ベンツが特に良かった。どれだけ心が乾いても血は流れ出ているような苦しさ。

文字だけ見ていても心が疲弊しているのが分かるのに、それを差し置いて謝罪しなさいとか間違っているとか責め立てるなんて何の正義でもない。それが今やることなのか?

明日は一日トランスジェンダー問題を読む日にする。おやすみなさい。

個人用ブログにもタイトルだけまとめて書いてしまっているから、本当はちゃんと1作品ずつ感想を書きたい

マストドン、長文が可能だから好きな人に対して熱量高めのリプライを送れる…!

ツイッター(X)があまりにも混沌すぎて、マストドンの落ち着きにほっとする

Fedibird

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