岩永直子「言葉はいのちを救えるか?生と死、ケアの現場から」読了。
医療記者である著者が優生思想、障害、安楽死と緩和ケア等さまざまなテーマから丁寧に向き合う。
ある時にはインタビュアーの意見には全て賛同できないと書いてあるものの、著者はその行動や意見を頭ごなしに否定しない。まず耳を傾け、かつ自分の思う危機感や意見をきちんと伝える。この人は真っ直ぐ目を見て向かい合って聞いているんだろうな、と文字から感じた。
終章には思わず言葉を失い、自分のままならさに涙が出た。
言葉はいのちを救えるか。そう問い続けることは他者の痛みに向き合うことだ。他人でなく隣人であるために、その作業をやめないでいたい。