最近、紙の本を読むのがだいぶつらくなってきました。
視力が衰えて、読書時の快適な本の位置が、手(腕)と目でズレるようになってしまって。楽な姿勢で持つと字が読みにくいし、読みやすい距離で持つと手が疲れる。
つい紙面をピンチイン/アウトしたくなってしまいます。
電子版〈紙魚の手帖〉は1日で読み終えたのに(どれも良かったけど、とくに「竜と沈黙する銀河」「冬にあらがう」「英語をください」好きですね)、〈SFマガジン〉はなかなか進まない。
本も読むしPCも触るしゲームもする勢としては珍しく、この歳までずっと裸眼で過ごしてきたので(免許更新は今でも裸眼でギリOKです)、眼鏡慣れしてないのもあるでしょうね。良い眼鏡と出会えると違うのかも。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488031176
杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、8月号その3です。
私は、ジョッシュ・ワイス『ハリウッドの悪魔』(北野寿美枝訳/早川書房)を取り上げました。
1950年代にマッカーシーが米大統領に就任していたら……という改変歴史小説です。主人公の刑事が追うメインの謎はもちろん、実在の人物たちがこの歴史ではどんな役割を果たしているのか、にも注目です。
杉江さんが取り上げられた小田雅久仁『禍』(新潮社)は、身体の一部をテーマにした7篇を集めた怪奇幻想小説短篇集。
非日常に踏み込みつつ大きな破局というよりねじれた幸福のようなところに向かう話が多くて、どこか後ろめたい、暗く不思議な魅力に満ちています。
動画中でも話していますが、今年のベストを争う作品集と言っていいでしょう。
杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、8月号その2です。
私は、春暮康一『オーラリメイカー〔完全版〕』(ハヤカワ文庫JA)を紹介しました。
『法治の獣』で昨年のベストSF国内篇1位を獲得した作者のデビュー作が、大幅な加筆と書き下ろし1篇を加えて文庫化されました。表題作は『法治』収録作と同じ《系外進出》シリーズで、さらに遠い未来を描いています。
ヘンな異星人が登場するSFは数多いですが、そんな種族との困難なコンタクトだけでなく、じゃあどうしてそんな姿・生態になったのか? を知るおもしろさが春暮SFにはありますね。
杉江さんのご紹介本は、相川英輔『黄金蝶を追って』(竹書房文庫)です。
著者三冊目の単著で、SF・ファンタジイを中心に編まれた短篇集。水泳で五輪を目指す大学生が自分だけに訪れる“日曜と月曜の間の日”を使って練習に励む時間SF「日曜日の翌日はいつも」など、SF的アイデア取り巻く日常描写の彩りも素晴らしい。英訳され〈ローカス〉でも好評を得た、ひと捻りあるゴースト・ストーリー「ハミングバード」も収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=TptFNG9hfgY
杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、8月号その1がアップされました。
私は、現在アニメ放映中の、顎木あくみ『わたしの幸せな結婚7』(富士見L文庫)を紹介しました。
目黒蓮、今田美桜で実写映画化もされた大人気の大正風ロマンスですが、実は伝奇・異能バトル要素があります。
アニメ・コミックが今どのへんの話か知らないのですが、小説の3巻以降(異能心教編)の内容に触れているので、知りたくない方は前半スキップして下さい!
後半、杉江さんのご紹介本は、西尾維新『ウェルテルタウンで安らかに』(講談社)。
街を自殺の名所にするためにミステリ作家にご当地小説を書いてもらおう!……という、一風変わった街おこし小説です。
発売から一週間ほど経って地方でも書店に本が並んだと思うので、あらためて告知です。
杉江松恋さん監修の『十四人の識者が選ぶ 本当に面白いミステリ・ガイド』(Pヴァイン)に寄稿しました。
古典作家の中から20人、10年以内にデビューした新鋭作家から20人、厳選された「いま読むべきミステリ」が紹介されています。
私は新鋭の中から(動画でも触れてるのでもう書いても良いでしょう)、潮谷験さんの紹介を担当しました。
さらにクリス・ウィタカー、月村了衛両氏のインタビューも収録されています。
とくに《機龍警察》各巻の背景について詳しく語られた後者は、SFファンにとっても見逃せません。
よろしくお願いします。
https://p-vine.jp/news/20230731-120838
私はこのところ、家事のお供はほぼノンフィクションのオーディオブックか読み上げですね。
> 『三体』という全5冊からなる中国SFの超大作は聴いて理解するのは難しいかもと思いましたが、現在700件以上のレビューがつき星平均4.5と好評です。
ほう。
『文學界』が今号からリフロー型電子書籍でも刊行されるのが話題になっていますが、『ユリイカ』『現代思想』(青土社)や『紙魚の手帖』(東京創元社)がとっくにリフロー型電子書籍でも出ているのも思い出して褒めてあげて……という気持ちになりました笑
星雲賞決定。受賞者のみなさま、おめでとうございます。
とくに国内長短篇は、個人的にも推しの2作なのでうれしい。
https://virtualgorillaplus.com/topic/54th-seiun-awards-result/
一時期、仕事中に娘を惹きつけるためエンドレスでクックルンの録画流してたことがありました。
うちがお世話になったのは初代~2代目。
春暮康一『オーラリメイカー〔完全版〕』(ハヤカワ文庫JA)の表題作、すごく読みやすくなってる気がして旧版と比べてみたけど、思ったほど大きくは変わってませんね(順番の調整や加筆はある)。
こちらが『法治の獣』を通過したのが大きいのか。
あ、でも書き下ろしも入ってるので、ハードカバー版持ってる方もお見逃しなく。
https://www.amazon.co.jp/dp/4150315566
杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、7月号その3です。
私は、『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』(吉良佳奈江訳/新ハヤカワSFシリーズ)を紹介しました。
5人の作家が酒席で意気投合したのをきっかけに生まれたというアンソロジーです。蒸気技術の発達した朝鮮王朝時代が舞台で、韓国時代劇でおなじみの人物たちもいろいろ登場します。
杉江さんのご紹介本は、井上真偽『アリアドネの声』(幻冬舎)です。
ドローンによる救出劇を描いた緊張感あふれるタイムリミット・サスペンス。最先端技術を駆使し"見えない/聞こえない/話せない"被災者を救うための試行錯誤は、SFファンにも楽しめると思います。
杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、7月号その2です。
私は、ケン・リュウ、藤井太洋ほか『七月七日』(小西直子・古沢嘉通訳/東京創元社)を紹介しました。
東アジアゆかりの作家たちが、地域の神話・伝説をモチーフに描いた10篇から成るアンソロジーです。ファンタジイ優勢かと思いきや、読み応えのあるSFも多く入っています。SFファンもお見逃しなく。
杉江さんのご紹介本は、倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』(創元日本SF叢書)。
どの短篇も奇想に基づく特殊な状況から始まるのですが、読み進めるうちに独特の叙情が醸し出されてくるのが良いですね。「夕暮に~」は、電子で読んで眺める楽しさにも気づきました。
SFマガジン2023年10月号「SFをつくる新しい力」(2023年8月25日頃発売)を監修しました。
まず、翻訳小説3篇入りです。
キム・チョヨプ「マリのダンス」ユン・ジヨン訳
王侃瑜「隕時」大久保洋子
M・ショウ「孤独の治療法」鯨井久志訳
30歳未満のSF読者へのアンケート結果を公開します。主に日本から200人、中国から200人に回答いただきました。
今年ヒューゴ―賞のベスト・ファンライター部門とベスト・ファンジン部門にノミネートされた、新鋭SF文化研究家の河流さんの「中国大学SF研の歴史」(楊墨秋訳)を掲載します。
ベンガル語圏初のSFウェブジンを立ち上げたチームと現地で直接語らった難波美奈子先生には「最新インドSF状況」を寄稿していただきます。
SF小説入門作品ガイドは、前述の若手読者アンケートで人気だった作品や、挙がっていないけど独断で勧めたい作品を主に現役大学生~30代の書き手がレビューしたものです。これからもっとSFを読んでみようという方が、きっと年齢を問わず参考にできるはず。
その他、個人エッセイや大学SF研座談会も色々載ります。
寄稿者一覧など、詳しくは早川書房のnoteでご覧ください。
https://www.hayakawabooks.com/n/n539ea933024d
書評家/おはなしを読む人。 〈SFマガジン〉で国内SF書評連載中。杉江松恋さんのYoutubeチャンネル「ほんとなぞ」で、月例SF書評番組「これって、SF?」に出演中。たまに文庫解説やブックガイド記事なども書きます。日本SF作家クラブ会員。
読み聞かせボランティアとして、地元を中心におはなし会もやってます。