そうか、この週末はSF大会か。もうSF大会に行こうと思うこと自体がなくってしまったから、ぜんぜん意識してなかった。
行きたくないわけじゃないけど、時間的経済的家庭的な問題が全部クリアできる開催地がほぼないから、そもそも行くこと自体を考えなくなって久しい。25年?
リアル参加だと、京フェスとSFセミナーも約15年のブランクですね、たぶん。ファン交が10年とか?

しかしSF系イベントの前に、とりあえず娘を京都奈良につれて行きたい気持ちはあります。
修学旅行で行ってるんだけど、そのときは自由すぎる班員たちに振り回されて、イオンとかカラオケとか行って終わってるから……。

朝から大雨です。
水門の閉鎖が始まりました。逆流防止のためなんですが、支流の出口がふさがれるのでこのまま降り続ければいつもの内水氾濫です。やれやれ。

今月の運動まとめ。
月間220kmは過去最高。ただ距離よりも、膝とかかとのケアが上手くいったのが良かったです。痛みさえなければ、いつでもこれくらいやる気はあるのよ、一応。

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、6月号(5月刊行分)その3です。

私は、日本SF作家クラブ編『地球へのSF』(ハヤカワ文庫JA)を取り上げました。
大きく“地球”をテーマにした22編から成るアンソロジーです。ベテランから新鋭まで幅広い作家が参加しています。地球規模の~、環境、経済、生態系など、切り口も多彩。収録作が多いので、悩みつつ3作に絞って紹介しました。その1で紹介した『シリコンバレーのドローン海賊』との併読もおすすめです。

杉江さんが紹介されたのは、池澤春菜『わたしは孤独な星のように』(早川書房)です。
声優やエッセイストとしても活躍する著者にとって、初めての小説集。さまざまな分野に挑戦してきた経験からくる題材選びと、それに応じて選択される文体の多彩さに唸らされました。個人的には、弔いの静謐さと凛とした清々しさが同居する表題作が好み。全体を通して、芯の強さを感じさせる作品集です。
youtube.com/watch?si=WE4tsomcf

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、6月号(5月刊行分)その2です。

私は、不破有紀『はじめてのゾンビ生活』(電撃文庫)を取り上げました。
人類がゾンビ化し始めた未来の風景を、時系列をシャッフルしながら短いエピソードの積み重ねで見せて行きます。ゾンビ差別の時代から人類との共存、宇宙進出、そして滅びへ。動画中でいくつか連想される作品のタイトルを挙げましたが、どれとも違う読み味の異色ゾンビSFです。

杉江さんが紹介されたのは、鯨井あめ『沙を噛め、肺魚』(講談社)です。
沙に覆われた世界を舞台にした青春小説です。動画中でも少し触れましたが、父親はじめ主人公を取り巻く人たちの造形などから、とても“今”を感じる作品だと思いました。ボカロ曲なんかと親和性が高そうな印象。鯨井あめ作品は、過去作も含めて、SF読者にも届いて欲しいです。

youtube.com/watch?si=L8ix1CXNI

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、6月号(5月刊行分)その1です。

私は、ジョナサン・ストラーン編/中原尚哉他・訳『人新世SF傑作選 シリコンバレーのドローン海賊』(創元SF文庫)を紹介しました。
人の活動が地球環境に顕著な影響を及ぼす時代――人新世をテーマにしたアンソロジーです。気候変動を背景にして、新自由主義的資本主義がもたらす格差などさまざまな社会問題を扱った近未来SF10篇を収録。グレッグ・イーガンの初訳短篇も入っています。ハードSFではなく、陰謀論テーマの皮肉の効いた作品です。

杉江さんが紹介されたのは、高野史緒『ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅』(講談社)です。
全5篇から成り、各篇とも本や物語への愛だけではなく“本”という形への執着を織り込んで、独特の陰翳を生んでいます。本と本の間から生まれた物語群をダブルクリップのエピソードで挟むという構成も見事。

youtube.com/watch?si=GKbzxSHOZ

紙で持っていた池澤夏樹日本文学全集を思い切って電子化しました。一部しか読んでいなかったので、これもちょっとずつ読み進めたい。
谷崎源氏と円地源氏も電子化済なので、これで角田源氏と3つ並べたりもできる。

ネット上の話題、何か言おうと思っても、考えて情報集めてるうちにどんどん話が進んだり広がったりずれたりしていき、自分の考えをまとめる頃には別のフェーズに移っててもう誰も元の話をしていない。

たぶん今のSNSに全然向いてないんだな。とりあえず、目の前に積み上がった本を粛々と崩してゆく。

同じく告知で杉江さんが紹介されている、V林田さんの『麻雀漫画50年史』(文学通信)はこちらです。私も買いました。
bungaku-report.com/books/ISBN9

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ちなみに動画の最後に告知で喋っていますが、私が出演(?)している野﨑まどさんの短篇「インタビュウ」はこちらで読めます。
これはマジで〈SFマガジン〉でボツになったやつなんですが、『野﨑まど劇場(笑)』『年刊日本SF傑作選 アステロイド・ツリーの彼方へ』に続いて3度目の掲載です。まさかこんなに使われることになるとは。
dengekibunko.jp/novecomi/novel

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杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、5月号(4月刊行分)その3です。

私は、ケヴィン・ブロックマイヤー/市田泉訳『いろいろな幽霊』(東京創元社)を紹介しました。
いわゆる"幽霊譚"という言葉から連想されるものとはちょっと違う、変な幽霊の話が100篇入っています。目次がテーマ別になってるのに、巻末でさらに細かく分類して再読を促す……というか、さらに混ぜ返す感じも楽しいです。
動画では少し内容を喋りすぎたかもしれません。ぜひご自身でお気に入りの幽霊を見つけてください。

杉江さんが紹介されたのは、空木春宵『感傷ファンタスマゴリィ』(創元日本SF叢書)です。
全5篇、個人間の関係だけでなく社会によって刻まれた切実な痛みや呪いを描き、困難ながらも抗う術を模索しています。内容と分かちがたく結びついた時代設定や文体も読みどころです。
前作『感応グラン=ギニョル』とはもちろんテーマ的に響き合っているのですが、思わぬところでのリンクも。
youtube.com/watch?v=gsskIGe52e

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、5月号(4月刊行分)その2です。

私は、大澤博隆監修・編、宮本道人・宮本裕人編『AIを生んだ100のSF』(ハヤカワ新書)を紹介しました。11人のAI研究者に、影響を受けたSFについて訊いたインタビュー集です。
〈SFマガジン〉の連載も読んでいたのですが、こうしてまとめて読むと、またいろいろと気付くことがありますね。AI研究の最前線とSFの関わりについてはもちろん、研究者視点でのSFの見方/読み方を教えてくれるガイド本としても興味深く読みました。
ここ数年、意識して科学ノンフィクションを読む量を増やしているのですが、登場されている研究者の方々の著書を購入して、また積読が増えました。

杉江さんが紹介されたのは、五条紀夫『イデアの再臨』(新潮文庫nex)です。
世界からいろいろなものが消えてゆく……ということで筒井康隆のアレが思い浮かびますが、またちょっと違う趣向が使われています。
これを学園ミステリの形で書いたというのもおもしろいところです。学園ミステリだと思って手に取った読者が驚いて、実験小説・メタフィクションへの扉を開く鍵になるかもしれません。なかなか独特の読み味に仕上がっています。

youtube.com/watch?v=Jz91tijpI_

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、5月号(4月刊行分)その1です。

私は、門田充宏『ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子』(集英社文庫)を取り上げました。
漆黒のゴーレム〈徘徊者〉によって人類文明が滅亡の危機に瀕した世界で、防衛拠点の町に住む少年が奮闘するSFファンタジーです。初期宮崎アニメを思わせるテイストの中で、門田作品らしい真摯なキャラクターたちが生き生きと描かれています。ジュヴナイルとして非常に読み心地が良く、犬(純白のシェパード)も大活躍! 背景に仕込まれたSF設定にも要注目です。

杉江さんは、八潮久道『生命活動として極めて正常』(KADOKAWA)を紹介されました。
カクヨム発の短篇集で、どこか歪んだ世界を描きつつあくまでも筆致はポップです。汁気が多いというか、読み手に余計な連想を促すんだけどそれが負担にならず旨味に転化するようなワードチョイスが癖になります。
個人的には「踊れシンデレラ」の〈「外周行ってこい!」「ッサァッス!!」〉と、「老ホの姫」でおじいちゃんが「HOT LIMIT」歌い出してからの〈真冬だった〉がめちゃくちゃツボにハマってしまいました。そこは「WHITE BREATH」歌っとけよ!
youtube.com/watch?v=G0bZFspReU

本日はこの美しいお庭の前で、オリジナルのおはなしをやります!

Yoshihiro KATSUKI さんがブースト

道東出身・在住の伊藤瑞彦さんが書いた『赤いオーロラの街で』(2017)がもう少し話題になってもいいのではと思う1日でした。第5回ハヤカワSFコンテスト最終候補作です。
災害パニックとそのトラブル対応が描かれる話で、悲壮なスリラーではないです。
検索して見つけた、坂野秀久さんという方の紹介文が詳しかったのでリンクを置いておきます。 kai-hokkaido.com/novel022/

最近おはなし会関連の告知をしていませんが、5~7月は地元の育児支援センターや育児関連の研修などに出没する予定です。支援とか研修とか抜きにしても(むしろ抜きの方が……)、本を読ませてくれるならわりとどこへでも行きます。
7月の会に向けて、七夕テーマのオリジナル朗読劇の脚本も練っています。

直近ではこちら「南新川まつり」に参加します。
川底探検の部「南新川の昔のおはなし」に、毎年やっている川の歴史を解説するオリジナルのおはなしを持って行きます。
city.ukiha.fukuoka.jp/kiji0036

Yoshihiro KATSUKI さんがブースト

『人新世SF傑作選 シリコンバレーのドローン海賊』の見本刷りが届きました。中原が訳したのは表題作と陳楸帆の2作です。新井なゆり、小野田和子、金子浩、佐田千織、山岸真の各氏にご参加いただいています。解説渡邊利道氏。5月10日発売。
tsogen.co.jp/np/isbn/978448879

収録作品
メグ・エリソン「シリコンバレーのドローン海賊」
テイド・トンプソン「エグザイル・パークのどん底暮らし」
ダリル・グレゴリイ「未来のある日、西部で」
グレッグ・イーガン「クライシス・アクターズ」
サラ・ゲイリー「潮のさすとき」
ジャスティナ・ロブソン「お月さまをきみに」
陳楸帆(チェン・チウファン)「菌の歌」
マルカ・オールダー「〈軍団(レギオン)〉」
サード・Z・フセイン「渡し守」
ジェイムズ・ブラッドレー「嵐のあと」
ジェイムズ・ブラッドレー「資本主義よりも科学 ──キム・スタンリー・ロビンスンは希望が必須と考えている」

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、4月号(3月刊行分)その3です。

私は、江波光則『ソリッドステート・オーバーライド』(ガガガ文庫)を紹介しました。
戦場に迷い込んだ少女を家に送り届けるためロボット2体が旅をする……というあらすじからはたぶん想像できない、独特のSFロードベルです。思考金属(シンク・メタル)――思考をエネルギー源とする金属――というアイデアと、類例のない3原則――「人にならねばならない」「人になってはならない」「何も見てはならない」――から生み出される(屁)理屈の応酬が楽しい。

杉江さんは、コーマック・マッカーシー/黒原敏行訳『ステラ・マリス』(早川書房)を紹介されました。
同時に発売された『通り過ぎゆく者』と対になる一作です。私は二作を並行して読みましたが、なかなか手強い。SF読者にはおなじみの学者や理論がちらほら登場するので、そこを手がかりになんとか挑んでみました。とりあえず『ステラ・マリス』が数学篇、『通り過ぎゆく者たち』が物理篇と言うことはできそうです。

youtube.com/watch?v=804LjpeeXD

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、4月号(3月刊行分)その2です。

私は、日本SF作家クラブ・嵯峨景子編『少女小説とSF』(星海社)を紹介しました。
90~2000年代の少女小説の懐かしい語り口を残しながら、現代的なテーマも意欲的に取り込んだ力作ぞろいです。また、収録作のテーマやモチーフは随所で響き合っており、1冊のアンソロジーとして読み応えがあります。
新井素子、皆川ゆか、ひかわ玲子、若木未生……と続く目次の並びを見ただけで私はうれしくなってしまいましたが、少女小説にあまり馴染みのない方も十分楽しめると思います。

杉江さんが紹介されたのは、坂崎かおる『噓つき姫』(河出書房新社)です。
作者にとって初の単著ですが、とにかく情報の出し入れが上手くて、書き出しから結末そして余韻まで、一篇一篇を流れるように味わうことができます。どう書き出して、誰に何を言わせるか、地の文で何を説明するか(しないか)、どんな結末をつけるか……すべてのバランスが取れていて、さまざまなジャンルの新人賞での実績も宜なるかな。
SF読者のみならず、幅広くおすすめの一冊です。

youtube.com/watch?v=_OhaabWfLB

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、4月号(3月刊行分)その1です。

私は、田中空『未来経過観測員』(KADOKAWA)を紹介しました。漫画『タテの国』などで知られる作者の小説デビュー作で、私家版も話題になりましたが、書き下ろし一篇を加えて商業出版されました。
現在の延伸だけではたどり着けない、果ての果てを想像する楽しみが詰まったスケールの大きな作品です。この設定なら500年くらいまでの未来社会をスケッチして軽いオチをつけるのもアリだと思うのですが、5万年後まで突き抜けようというその心意気を買いたい。

杉江さんが紹介されたのは、ジリアン・マカリスター/梅津かおり訳『ロング・プレイス、ロング・タイム』(小学館文庫)です。
息子が殺人を犯した日を起点に、母親が少しずつ時間を逆行します。時間SFとしては若干緩いのですが、動画で述べた通り家族小説として沁みました。なぜ息子は罪を犯したのか、自分には何が出来た(出来なかった)のか――逆行するたびに思い悩むことは増えるのに、周囲との関係はいちいちリセットされる。とくに前半は、乳幼児期とはまた違う思春期ワンオペ育児の悩みに刺さります。
もちろん、特殊設定ミステリとしてもおもしろいです。
youtube.com/watch?v=cy2JlOj8qc

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