杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、8月号その2です。
私は、春暮康一『オーラリメイカー〔完全版〕』(ハヤカワ文庫JA)を紹介しました。
『法治の獣』で昨年のベストSF国内篇1位を獲得した作者のデビュー作が、大幅な加筆と書き下ろし1篇を加えて文庫化されました。表題作は『法治』収録作と同じ《系外進出》シリーズで、さらに遠い未来を描いています。
ヘンな異星人が登場するSFは数多いですが、そんな種族との困難なコンタクトだけでなく、じゃあどうしてそんな姿・生態になったのか? を知るおもしろさが春暮SFにはありますね。
杉江さんのご紹介本は、相川英輔『黄金蝶を追って』(竹書房文庫)です。
著者三冊目の単著で、SF・ファンタジイを中心に編まれた短篇集。水泳で五輪を目指す大学生が自分だけに訪れる“日曜と月曜の間の日”を使って練習に励む時間SF「日曜日の翌日はいつも」など、SF的アイデア取り巻く日常描写の彩りも素晴らしい。英訳され〈ローカス〉でも好評を得た、ひと捻りあるゴースト・ストーリー「ハミングバード」も収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=TptFNG9hfgY