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杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、3月号(2月刊行分)その3です。

私は、松樹凛『射手座の香る夏』(創元日本SF叢書)を紹介しました。
全4篇収録の中短篇集です。動画中でも触れましたが、SF的な仕掛けを使った価値観の揺さぶりが実に巧みで、謎解き小説の要素もあり、収録作全て読み応えがあります。まずはWEB東京創元社マガジンで無料公開中の「十五までは神のうち」だけでも読んでみてください。

杉江さんは、3月刊の間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)を紹介されました。
〈SFマガジン〉掲載時から話題になっていたハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作です。ひらがなを多用した文体を丁寧に読み進めるうちに、淡々とした中から語り手の感情の襞が浮かび上がってきます。「アスノヨゾラ哨戒班」「永瀬拓矢」といった固有名詞の使い方も上手い。
youtube.com/watch?v=dH-5mI9836

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、3月号(2月刊行分)その2です。

私は、ラヴィ・ティドハー/茂木健訳『ロボットの夢の都市』(創元海外SF叢書)を取り上げました。
遠い未来が舞台で、背景には膨大な設定(約20pの用語集つき)が詰め込まれているのに、どこか懐かしい手触りのロボットSFです。過去のSFやゲームへのオマージュも随所に織り込まれています。

杉江さんが紹介されたのは、藍内友紀『天使と石ころ』(早川書房)です。
戦争に翻弄される少年少女を描いた戦争小説で、戦地でさまざまな役割を強いられつつ懸命に生きる子供たちの物語が胸に迫ります。ミリタリー描写は本格的で、SF的な設定も効果的に使われています。
youtube.com/watch?si=0f74FFTy4

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、3月号(2月刊行分)その1です。

私は、ベンハミン・ラバトゥッツ/松本健二訳『恐るべき緑』(白水社)を取り上げました。
チリ人作家による虚実を交えた20世紀科学者列伝ですが、独特の読み味なのでどう紹介するか迷いながら喋りました。シュヴァルツシルト、シュレーディンガーなど、SF読者にはおなじみの名前も多数登場します。日本人では(グロタンディークの章で)望月新一教授が重要な役割を果たしますが、ここのエピソードはたぶんほぼ創作ですね。

杉江さんが紹介されたのは、川崎大助『素浪人刑事 東京のふたつの城』(早川書房)です。
2020年代まで徳川幕府が続いている日本が舞台の改変歴史ものです。改変の核を成す部分は、現在早川書房のnoteで公開されています。こんな感じの世界で、帯刀した刑事が奮闘します。
動画中では中途半端になりそうだったので触れませんでしたが、杉江さんが指摘されている天皇制の扱いについては、過去の伝奇SF論でもしばしば問題になってきました。そこまで踏み込めば、本作もさらに読み応えのあるものになったでしょう。
youtube.com/watch?si=JYrPabzP3

本日発売の人間六度『スター・シェイカー』(ハヤカワ文庫JA)、解説を担当しました。第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作の文庫化です。
社会構造の変化もバトルも友情愛情も宇宙の存亡も、すべてを"テレポート"で貫いた一点突破が強烈な印象を残す快作です。中島かずき帯が強い。

文庫化に当たって、文章にもだいぶ手が入っています。 受賞時は良くも悪くも荒削りなところを中心に評価されることが多かったので、解説ではあえて少し細かいところ、勢いだけではない著者の長所だと思うところを、他の作品も絡めて書きました。

詳しくは触れませんでしたが、移動系能力者(白井黒子やジャンパーはもちろん、古くは8マンや009のような加速系、最近だと東堂葵や響凱みたいなトリッキーなやつ……)による異能バトルの系譜の置いてもおもしろい。
とにかく、今まで見た(読んだ)ことがない緊迫のテレポート・バトルが楽しめます。
hayakawa-online.co.jp/shopdeta

タイヤ履き替え待ち。
今シーズンは、冬タイヤじゃないと怖い、っていう日は2回くらいでしたね。でも安全には代えられないので。

Yoshihiro KATSUKI さんがブースト

お知らせです。
4/19に集英社文庫より『ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子』を上梓します。なんの前触れもなく始まった相互理解不能の存在による侵略により、文化文明のほとんどが失われてしまった世界を舞台にした冒険譚です。

ちなみに大変大事なポイントですが、犬が! 活躍! します!!
その他好きなものをあれもこれもと詰め込んで、自由に楽しく書かせていただきました。麗らかな春に楽しんでいただけたら嬉しいです。

shueisha.co.jp/books/items/con

一週間ほど行方不明だった眼鏡が出てきたので気持ちの良い朝です。

Yoshihiro KATSUKI さんがブースト

2024年03月13日ごろ発売の『本の雑誌 特集:マジックリアリズムに酔い痴れて』掲載の「世界マジックリアリズム全集を作ろう」座談会に石川美南さん、藤ふくろうさんと共に私(橋本輝幸)も参加しています。
『百年の孤独』文庫化にあわせた特集ですね。

>『百年の孤独』文庫化の刊行時期を新潮社に取材するとともに、マジックリアリズム総ざらいから、語ることのカタルシス、『百年の孤独』を代わりに読むとこうなる論に読者の『百年の孤独』体験、そして「世界マジックリアリズム全集」全35巻編纂座談会まで、ガルシア=マルケス的世界にぐぐいと迫る、麦焼酎を愛する人も酔いしれる魔術的特集なのだ!
webdoku.jp/honshi/

ここが底値だ! と思って先週買ったコートがもう一段値下げされていて、ちょっとくやしい。色違い買っちゃおうかな……。

ユニコーンオーバーロードやりたいな。

全体の特集は「BLとSF」の第二弾です。
今月の「これって、SF?」の最後でも少し喋りましたが、高校時代(自分以外は先輩後輩含めて部員が全員女子のアニ研でした)いつも話題の中心だった方々と同じ誌面に載ってるって、なんか嘘みたいな感じです。
youtube.com/watch?si=i26HJZn5A

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お仕事告知です。

現在発売中の〈SFマガジン〉24年4月号、例によってSF BOOK SCOPE国内欄を担当しています。

ピックアップ1p
・夏海公司『セピア×セパレート 復活停止』(電撃文庫)

見開き2p
・森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社)
・『万象3』(惑星と口笛ブックス)
・林譲治『知能侵蝕1』(ハヤカワ文庫JA)
・九段理江『東京都同情塔』(新潮社)
・なかむらあゆみ編『巣 徳島SFアンソロジー』(あゆみ書房)
・饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室』(KADOKAWA)
・北里紗月『赫き女王』(光文社)
・小塚原旬『機工審査官テオ・アルベールと永久機関の夢』(ハヤカワ文庫JA)
・貫井徳郎『龍の墓』(双葉社)
・紺野天龍『ソードアート・オンライン オルタナティブ ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人』(電撃文庫)

以上10冊を紹介しています。
今回は国内ピックアップが私の他にも2冊(『奏で手のヌフレツン』『不夜島』)あったので、見開きでは、ジャンルSFの中心からはすこし外れますがSFファンの興味を引きそうなものを多く取り上げています。
巻末近況欄で2作触れた他、いくつかこぼれてしまったものもありますが、次回拾えれば。

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その3です。

私は、1月号で取り上げ損ねた、昨年12月刊行の中村融編『宇宙探査SF傑作選 星、はるか遠く』(創元SF文庫)を紹介しました。
1960年代の作品を中心に編まれたアンソロジーです。いま読んでも楽しめる宇宙SFの秀作が揃っており、読者のSF歴に応じていろんな楽しみ方ができると思います。
動画では触れてませんが、ハリスン、ディクスンの並びは作者・作品ともに良いですね。ちなみに、先月『宇宙の果ての本屋』の「水星播種」を読んで思い出したブリッシュ作品というのは、本書巻末の「表面張力」でした。

杉江さんが紹介されたのは、芥川賞受賞作、九段理江『東京都同情塔』(新潮社)です。
AI使用が話題になりましたが、ザハ案の国立競技場が実際に建設されたもうひとつの東京を描く改変世界ものでもあります。
私は、言葉-建築-街……抽象にかたちを与えるものについての小説として興味深く読みました。動画中ではもごもご言ってますが、ザハ国立と同情塔が同じ視界に収まるイメージも、作中のさまざまな思想・考察と共鳴して秀逸だと思います。
youtube.com/watch?si=L7gzaT9-E

今年もおはなし会の依頼が届き始めました。新年度の計画を立てる時期なんでしょう。
昨年、豪雨被害で開催できなかった施設からも。ありがたいことです。

Amazonの新生活云々は安いのかな。
子のあれこれをそろえたいんだけど。

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その2です。

私は、ディヴィッド・ウェリントン/中原尚哉訳『妄想感染体』(ハヤカワ文庫SF)を紹介しました。
調査船がことごとく消息を絶ってしまう植民惑星で起こっていたこととは? 人はもちろん、AIも狂わせてしまう病原体が登場するSFホラーの開幕篇です。軌道上がお化け屋敷みたいになってます。新型AIが狂って行く中、旧型AI、ラプスカリオンの活躍が楽しい。

杉江さんが取り上げられたのは、芥川賞候補にもなった小砂川チト『猿の戴冠式』(講談社)です。
人語を学習させられたボノボと、競技と距離を置いている競歩選手の奇妙な交流が描かれます。小砂川作品は虚実の混ざり方が独特ですね。紙数の関係でSFマガジンでは取り上げていないのですが、前作『家庭用安心坑夫』も含めて、SF・幻想小説読者にもおすすめです。
youtube.com/watch?si=xMjF92CEa

杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、2月号(1月刊行分)その1です。

私は、夏海公司『セピア×セパレート 復活停止』(電撃文庫)を取り上げました。
SEお仕事ラノベ『なれる! SE』などで活躍してきた作者の最新作で、現場のエンジニア視点とスケールの大きなSF的アイデアが結びついた快作です。目まぐるしく展開する物語中に、現代SFの要素がみっしり詰まってます。今年に入って読んだ国内SFの中ではいちばんのおすすめかも。

杉江さんが紹介されたのは、高瀬隼子『め生える』(U-NEXT)。
謎の感染症により、みんながハゲてしまうというお話です。ハゲというとルッキズムの問題のようだけど逆転させてみると……というところがおもしろい。
収録中にタイトルを思い出せなかったのですが、私が触れている髪の毛についてのノンフィクションは、荒俣宏『ハゲの文化史』(ポプラ新書)でした。
youtube.com/watch?si=k6-d68Fwe

日本SF大賞、その他の今年度最終候補作を取り上げた回はこちらです。「ほんとなぞ」内に全部あります!

結城充考『アブソルート・コールド』
youtube.com/watch?si=l4LsXYy_s

斜線堂有紀 『回樹』
youtube.com/watch?si=861Qf2pEH

高野史緒 『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』
youtube.com/watch?si=QGAP9sWFw
(「文庫大研究」より)

久永実木彦 『わたしたちの怪獣』
youtube.com/watch?si=jxGTrftp0

長谷敏司さん『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』、日本SF大賞受賞おめでとうございます!

書評番組「これって、SF?」で受賞作を取り上げた回はこちらです。
その他の候補作についても、チャンネル内で取り上げていますので探してみてください。
youtube.com/watch?si=mETieDcVW

Yoshihiro KATSUKI さんがブースト

【告知】次のSFマガジン(2月24日売り)にジョン・ウィズウェル「幽霊屋敷のオープンハウス」の翻訳が載ります!
2021年のネビュラ賞受賞作で、ヒューゴー・ローカス・世界幻想文学大賞にもそれぞれノミネート。めっちゃ評価高い作品です。
扉絵はYOUCHANさん。

筋書きとしては、前の住人の死から長年空き家になっていた屋敷でオープンハウスが行われ、そこに新しい家を探す父娘がやってくるのですが、そこは実は幽霊屋敷で……。という感じ。
とはいえホラーにはなりません。めっちゃいい話です。泣ける……かも。

ぜひご一読を〜!

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