最近読んだ記事。它は人間以外の事物を指す3人称だけれども、最近、ペットに対しては使われない様子。
単数theyへの反発・余談
これは氷山の一角にすぎず、文芸界のそこかしこで発生していましたし、言葉のように深く自己や文化に根づいたものをおもいっきり変えるって、そりゃ受け入れられない人も出ると思うのです。
私はRSRはごくたまに読んで参考にしていました。読んでいたサイトでこのようなことが起こるのも、自らのセクシュアリティのために長年戦ってきた人が他人のジェンダーのありかたは全く許容できないのも(時々見かける事例とはいえ)ショックでした。
また、似たようなことが本邦で起こった場合、はたして謝罪という結末になるだろうかという良くない考えも頭から離れませんでした。本件について言及している人を日本語圏で見かけませんでしたし……。
英語圏における単数they使用への反発
ところで「新発明」は、既存の文化・習慣・言語の侵略や破壊であるとしてだいたい各地で反発に遭います。
かつてRocket Stack Rankという短編SF小説専門レビューサイトがあったのですが、ここのレビュアーのひとりGreg Hullender氏は、単数theyを使った作品に対して都度それをクソミソに批判し、評価の星を減らす行ないを続けていました。また、作者や登場人物を作者の意図と異なる人称代名詞で記したレビューも多々あったそうです。
ノンバイナリー and / or トランス当事者を主体にしたSFF作家たちが連名で批判の公開書状を出しても、当初Hullender氏は自分はゲイとして昔から権利活動に携わり理解がある、差別の意図はないという姿勢でした。最終的に同サイトは謝罪文を投稿しましたが、結局あまり理解していないのかなと感じさせる残念な弁解も含まれていました。
なのでリンク先の閲覧にはご注意ください。
http://www.rocketstackrank.com/2017/11/apology-open-letter-responses.html?m=1
例えば「ノンバイナリーの生徒がいる教室で、フランス語やスペイン語を使う場合」
https://www.quora.com/How-do-my-fellow-French-or-Spanish-teachers-deal-with-the-pronoun-issue-when-there-are-gender-non-binary-students-in-the-class-pronoun-wise-We-do-full-immersion-and-the-lack-of-a-gender-neutral-they-equivalent-comes
たとえばフランス語では男性代名詞"il”でも女性代名詞“elle”でもない人のために“iel”が発明され、辞書にも載ったそうです。ただし一部の政治家は激しく反発したとか……
https://www.cnn.co.jp/world/35179726.html
BT 中欧や西欧の言語だと、男女どちらかに寄せるより、新しい表現を発明して使っていく傾向を感じます。ネット上に沢山の記事があるので良かったら探してみてください。
例えばポルトガル語の「ありがとう」は、発話者が男性ならobrigado、女性ならobrigadaになる
こういう発話者の性別で変わることになっている言葉って、近年はどういう扱いになっているんだろう… (上記の例で言えば)obrigadoしか使わない、みたいな動きが出てきたりしてるんだろうか
『MONKEY』最新号(2023/10/15刊)にケン・リュウにオースターにボルヘス「バベルの図書館」新訳に円城塔新作!
“文芸誌「MONKEY」は創刊から10周年を迎え、その記念すべき第31号では、「読書」にまつわる物語を集めました。
現代SF作家ケン・リュウの短篇「夏の読書」や、20世紀初頭に活躍した女性作家イーディス・ウォートンによる短篇「ジングー」、2017年1月のニューヨークタイムズ・ブックレビューに掲載された、ポール・オースターの「本の人生」などを柴田元幸訳で収録。さらに、ホルヘ・ルイス・ボルヘス「バベルの図書館」の野谷文昭による新訳や、円城塔による書き下ろし短篇などを掲載。
また、特集外では、トルーマン・カポーティが一躍その名を知らしめた初期短篇「ミリアム」を村上春樹訳による新訳で収録。
表紙はカワイハルナ描き下ろし作品です”
https://www.switch-store.net/smp/item/MO0031.html
なかがわ りえこ 作 / やまわき ゆりこ 絵『ぐりとぐらとくるりくら』(福音館書店)をご存じですか?
大きなカステラでおなじみのぐりとぐらのシリーズで“手長うさぎのくるりくら”が登場します。この絵本、子供のときから異色さ・奇妙さを感じていました。まあでもめちゃくちゃ手が長いうさぎがいたっていいですよね。
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=538
■ ティーマサラが(ふっかつの)活躍
夏、エアコンで体が冷え切っていたとき、スパイスティーとか飲んでみたらどうだろうとにわかに思い立って、ティーマサラを買ってチャイを作ってみたりしていた。そのティーマサラが最近活躍している。
会社員ときどき文筆業。
Japanese SFF book reviewer & anthologist