2024年3月12日放映のTBSテレビの報道番組「news 23」で、「SNS投資詐欺」の事件について、ITジャーナリスト星暁雄のコメントが使われました。
SNS投資詐欺とは何か。Facebook、Instagram、Google検索結果で有名人の名前を勝手に使った投資勧誘の広告を掲載、LINEに誘い込んでお金を騙し取るSNS投資詐欺の件数が増えています。警察庁は3月7日に記者会見を開き「SNS型投資詐欺」の急増を警告しました。警察庁によれば23年に1655人、総額約277億9千万円が被害に合っています。
星は「デジタル広告は人手による審査が欠如。プラットフォーマーは対応に消極的。法規制も考える段階」とコメントしました。
せっかくなので、取材で喋ったことを少し補足しておきます。
星の意見では、最も好ましいのはプラットフォーマーが自主規制に取り組むことです。ただし、特に米国資本のプラットフォーマーはあまりに消極的です。広告も含めて自動化を進めたい、人手を増やしたくないという意向を隠しません。
そこでまずやってほしいことは、すでに存在する法律を使って取り締まることです。例えば、投資勧誘や投資助言は金融庁への登録が義務付けられています。(続く
発表文にはないが、考えられるモデレーションは性的コンテンツ対応、暴力的コンテンツ対応だろう。アメリカの基準で合法的な性的コンテンツも、例えばイスラム圏では非合法になる。アメリカの基準ではOKな暴力的コンテンツが、ヨーロッパのある国では「子どもには見せたくない」コンテンツであるかもしれない。イスラム圏向けや、暴力により厳しい国向けのカスタマイズができるようになる。
さて、日本人のうちあるグループの人々が気になるのは、「少女の性的コンテンツ」だろうが、そもそも少女の性的コンテンツはBlueskyのモデレーションで許可されないはずである。
世界的に、少女(18歳未満の女性)の性的コンテンツは(実在の少女の写真であれ、非実在のイラストやCGなどであれ)国際人権法上認められないとするガイドラインがある。日本で流通するコンテンツの単純所持が他国では有罪となるケースもあるのでご注意。
Bleskyは3月12日、新たなスタッカブル(積み重ね型)モデレーションのコンセプトを発表。それを実現するツール「Ozone」をオープンソースソフトウェアとして公開した。
https://bsky.social/about/blog/03-12-2024-stackable-moderation
従来のBlueskyのモデレーション(コンテンツの監視・管理)のレイヤーの上に、積み木を積み上げるように、多くの個人やコミュニティが管理した新たなモデレーションのレイヤーを作り、購読することができるようになる。
発表文では、例として「例えば、誰かがBlueskyからクモの写真をブロックするモデレーションサービスを作ることができる」と説明。「このモデレーションサービスをインストールすれば、クモと表示された写真は即座にあなたの体験から消えるだろう」。つまり、モデレーションによりクモの写真が嫌いな人向けのBlueskyを作れる訳だ。
ここで「クモの画像を含む投稿にラベルを付ける、あるいは非表示にする」といったモデレーションは、人間のチームで管理することもできるし、機械学習ツールで自動化するアプローチにも対応する。
(続く
指摘を受けて思い出したのですが、「ひろゆき」氏は金融庁の広報動画に出演して炎上したことがありましたね。
当方は、以前「日本は変だ。政府は人権バックラッシュを進める一方、企業はいっそう人権擁護が求められている」という指摘をしたことがあります。これが一つのヒントなのですが……
仮説として、政府と企業の両方を顧客とする人たち(例えば広告代理店)は人権に関するダブルスタンダードに直面して、判断基準がぶれてしまっているのかもしれませんね。
https://fedibird.com/@AkioHoshi/112082141400066061 [参照]
キリンが、経済学者・成田悠輔氏を起用した「氷結」広告を取り下げ。
社会を分断し人権を軽んじる言説で露出を増やす人物の起用は、企業にとってハイリスク。例えば「ひろゆき」氏は、いわゆるナショナルクライアントの広告には起用されていないのではないかな。
広告起用を提案した人は、おそらく成田悠輔氏を「メディア露出も増えている新進気鋭の学者」ぐらいに見ていたのだろうが、判断が甘かった。
https://maidonanews.jp/article/15196131
教皇は、戦争を引き起こす地理的、歴史的状況は常に存在すると指摘し、戦争は「現実的な動機に基づいているように見える」と結論付けた。
「すべての戦争の背後に兵器産業がある。それはお金を意味する」
教皇フランシスコは「戦争は闇であり、闇の力である」と述べた。
感想:
軍産複合体を強く批判。
現代の戦争は、資金と兵器の供給なしには遂行できない。
ウクライナが米国を筆頭に西側諸国の援助で戦争を続けているように、ロシアは中国や北朝鮮や、おそらくはBRICS各国から物資や資金を調達して戦争を続行している。その背後には双方の戦争ビジネスがある。
ガザの虐殺も、イスラエルに兵器を供給する国(米国が筆頭)がなければ継続できない。
教皇フランシスコは、戦争ビジネスを「闇の力」と呼んで強く非難した形だ。日本も米国の戦争ビジネスに結びついているという点で、戦争の部外者ではない。
(続き)Vatican Newsの記事。ローマ教皇フランシスコの発言をバチカンの意図に忠実に伝えていると考えていいだろう。
https://www.vaticannews.va/en/pope/news/2024-03/pope-francis-swiss-tv-interview-gaza-ukraine-wars.html
いくつか発言を抜粋。
"戦争を起こすには2つの側が必要であると指摘し、ウクライナとガザでの戦争を終わらせるための交渉を奨励した。"
"教皇は毎日午後7時に、600人が避難しているガザの聖家族教区に電話をかける。"
"教皇フランシスコは、いかなる戦争においても、双方は常に和平交渉のテーブルに着くべきだと付け加えた。"
"教皇フランシスコはさらに、武器製造業者が戦争に及ぼす影響について考察した。"
「我々は自らを守らなければならない……それは事実だが、あなたは他国を爆撃するための飛行機を製造する工場があることに気づくだろう。それは我々を守るためではなく、破壊するためだ」
「戦争はどのように終わるのか? 死と破壊、そして親を失った子供たちだ」
"教皇フランシスコはこれに対し、侵略者を助長する恐れは「ひとつの解釈であることは事実だ」。しかし、最も強いのは、状況を見て、人々のことを考え、白旗を揚げる勇気を持ち、交渉に臨む者だと私は信じている」と答えた。"
"土曜日(3/9)の夜、バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は、ローマ法王が「降伏」ではなく「停戦と交渉」を意味していることを直ちに明らかにした。"
"フランシスコは「交渉は決して降伏ではない」とも指摘した。しかし、交渉のことを 「国を自殺に追い込まない勇気」とも呼んでいる。"
"バチカンのブルーニ報道官は土曜日、教皇は「公正で永続的な平和」のために外交的解決に達することを望んでいると付け加えた。"
感想:
「白旗」はまず取材者が使った言葉で、その同じ言葉を使って回答したという流れ。
ローマ教皇が戦争を支持せず平和を求めることは、宗教家として当然のことだ。
かといって、一部の親ロシア派が言うような一方的停戦(降伏)を求めるニュアンスでは決してない。ローマ教皇はロシアを支持するロシア正教トップを批判している。
とはいうものの、教皇の言葉は重い。発言のニュアンスをめぐり混乱があったことは否めない。
共同通信は"ローマ教皇「白旗揚げる勇気を」 ウクライナに停戦交渉促す"という見出しでローマ教皇フランシスコの声を伝えた。
https://nordot.app/1139284164996333989?c=39550187727945729
降伏を意味する「白旗」という表現は、大勢の人々に困惑を引き起こした。調べてみると教皇フランシスコの発言には微妙なニュアンスがあり、「白旗」だけを切り取って判断することはフェアではないと思われる。
Pope Says Ukraine Should Have the ‘Courage of the White Flag’, New York Times, March 9, 2024
https://www.nytimes.com/2024/03/09/world/europe/pope-ukraine-white-flag.html
New York Timesはバチカンの応答を含め記事を出した。教皇フランシスコ発言の骨子は「強硬路線だけではなく平和を求めて停戦交渉をするべきであり、バチカンが仲介を務める可能性もある」ということ。
"インタビュアーはフランシスコに、ウクライナでは「降伏、この場合は白旗」が必要だと思うか、それともそのような降伏は強者の行動を正当化するだけだと思うかと尋ねた。"
(続く
そしてWilmerHaleによるアルトマン解任劇の調査報告の概要が公表された。
「旧理事会の不和と無思慮が原因」と結論付けているが、肝心の解任理由は不明なままだ。
Open AIのアルトマン解任劇から約4カ月。当事者は口をつぐみ、「旧理事会メンバーが無思慮だった」というストーリーが語られ続けている。私は「追加情報がいつか出てくるのではないか」と思っている。
https://openai.com/blog/review-completed-altman-brockman-to-continue-to-lead-openai
Open AIが理事会人事を発表。アルトマンCEOが復帰、7人体制に。
https://openai.com/blog/openai-announces-new-members-to-board-of-directors
注目したい点は、3人の新理事全員が女性かつ高度なキャリアを持つこと。
(内紛で解任されたサム・アルトマンCEOが復帰したことは既定路線なので、むしろ新メンバーの顔ぶれに興味があるのです)
Dr. Sue Desmond-Hellmannは医師。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の元CEO。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で初の女性学長。Genentech製品開発担当プレジデントとして最初の遺伝子標的がん治療薬開発に貢献。
Nicole Seligmanは弁護士で市民団体リーダー、ソニーの元EVP兼法律顧問。ビル・クリントン大統領弾劾裁判の弁護で注目される。
Fidji Simoはインスタカート(Instacart)のCEO兼会長。元Shopify社取締役、Facebookのアプリ担当。
(なお、日本のメディアの記事では「取締役会」と訳している場合が多いのですが、株式会社ではなく非営利団体Open AIのBoardの話なので、私は主に「理事会」の用語を使っています)
AIが「人員削減のツール」として機能しはじめているという仮説。ひとつの傍証はテック企業のリストラが止まらないこと。もちろん経営者はそれを公言しないが。
AIと肥満症治療薬の共通点は、本当にそれを必要とする人々ではなく「もっとスリムになりたいお金持ち」が使っていることだ。経営者は、企業規模拡大への誘惑を、新たな雇用ではなくAIの導入で抑えようとしている。
https://courrier.jp/cj/357359/
私は、絶叫マシンにはなるべく乗りたくない。怖いからではなく、好き好んで事故リスクが高い状況に身を置きたくないから。
その意味で、実は通常のヘリコプターにもできれば乗りたくない。安定性という観点で見て通常の航空機は理にかなっているが、ヘリコプターは「ちょっと無理をしている」ように思えてしまうから。最近の自衛隊のヘリ事故やオスプレイの事故は、その懸念を裏付る形となってしまった。
とはいえ通常のヘリコプターにはオートローテーションというものがあって、飛行中にエンジンが止まっても生還できる見込みがある(常にではないが)。
さて、記事にあるような「空飛ぶ自動車」こと電動マルチコプターの場合、モーターの不調で不安定になったり、空中でトラブったときに、グライダーのように滑空させることも、通常のヘリコプターのようにオートローテーションで着陸させることもできない。単純に墜落する。
自分の感覚では、絶対に乗りたくない。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2403/07/news143.html
EUでは「テクノ封建制」や「デジタル帝国」といった言葉が飛び交っている。米国の巨大テクノロジー企業(Big Tech)からEUの市民や市場を守ることが、いまやEUの立法者たちの大きな課題となっている。
https://wired.jp/article/europe-dma-breaking-open-big-tech/
その最も新しい取り組みとして、Big Techの独占的な地位を用いた市場からの競合の排除を規制する「デジタル市場法(DMA)」、それに表現の自由に関わる「デジタルサービス法(DSA)」が相次いで施行。
「これらの規制は法律によって政府や君主が振りかざす国家権力から国民や経済を守ろうとしてきた、長い伝統にならったもの」。マグナカルタやフランス人権宣言などの流れを汲んでいるわけだ。ただし、戦う相手は国王からBig Techに変わった。
米国の流儀に親しんだ人はEUの規制を懐疑的に見ているが、デジタル規制と巨大テクノロジー企業の戦いは、これからが本番。どう決着するにせよ、それは私たちの未来を左右するだろう。
Bloomberg Business Week(元・名門「ビジネスウィーク」)の長文記事。Apple Car挫折の要因を(1) 自動運転の目標が技術的に非常に困難であったことと、(2)自動車製造ビジネスが経済的に厳しいものであったことと整理。前提が間違っていたためにリーダーシップは混乱した。
レベル5の完全無人運転を前提として、ジョニー・アイブは「フロントウィンドウがない」「ハンドルがなく、対面で座る」「マイクロバスのような」斬新なデザインを提案していた。だが、レベル5はいまだにどのライバルも達成できていない遠い目標だ。
レベル2のEV——つまりテスラ車の競合を作る提案もあったが、経営陣はそれを良しとしなかった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-07/S9Y6G7T0G1KW00
おっしゃる通り。強制する物言いはあまり上等ではないです。
カント哲学と世界人権宣言を混ぜた物言いになるが、すべての人には尊厳に由来する自由と平等がある。それは「善を行わない自由」「悪を行う自由」も含んだ上での自由であり、だからこそ善行は尊い。
法律で強制される場合や、私人間契約(雇用契約など)で義務付けられる場合を除けば、人には「なにかをしない自由」もある。
だから、平等で異質な他者どうしとして接し、理性に訴えて「なぜ、これを行った方がよいのか」をプレゼンして理解してもらう手順が正当といえる。何かを実行するコミュニティを作りたいのなら、共有できる言葉が必要だ。
次善の策は感情と共感に訴えかけることだが、1人の人間が受容できる感情的なキャパは限られる。「関心の奪い合い」が起きやすいし、悪用もされやすいので注意が必要だ(外国人ヘイト、トランスヘイトはその一例)。
例えばヘイターに対するカウンターの実力行使をどう考えるか——それは人によって意見が分かれることは当然だ。
他人に無自覚に何かを強制することは、ある意味で家父長制に意識が支配されているということでもある。その理解は苦痛を伴うだろうが、それは人権の理解に結びついている大事な苦痛でもある。
https://mastodon.social/@comecaML/112052388907082000 [参照]
ロシアは、世界経済の1/3の規模を持つBRICS諸国内で、「デジタル通貨とブロックチェーン」による新たな金融システムを整備すると発表。これは私たちの世界にどのような意味を持つのか、背景は何か、を書きました。
ロシア発の要注意な情報ではありますが、それでもこのニュースには注目すべき点があります。
https://newspicks.com/topics/tech-and-human-rights/posts/5
ITジャーナリストです。
仕事リスト:https://note.com/akiohoshi/n/nebac412b6c12