犯罪都市4 ネタバレ1 

娯楽暴力映画でした。でも痛い感じの暴力描写は減ってるなと思った。
くすぐりポイント多くて劇場のそこかしこで笑いが上がっており、本編ともども楽しい観賞体験でした。
しょっぱな突入した麻薬デリバリーの本部が作業所の前に鉄格子を立てる細工には感心した。二次創作の何かで使いたい。しかしそれを素手で引き剥がすマ兄貴! 一方のペク・チャンギによる店の破壊ではショベルカーを使っていたため、素手のパワーへの信心が高まってしまった。THE BIG PUNCH PICTURE。
ITには疎くても犯罪の手口への理解度は当然高いから踏み込む前に水道や電気を停めてる手際も最高。ケータイを機種変すると「《同期》が駆けつけてくる」の話、すげえ笑った。後半、大仕掛けの前に局長?から掛けられた警察の心得みたいな文言に感動して反復(やや間違って)して見せたシーンといい、柔軟な人だ。
中盤、顔馴染みのヤクザが揉めてる所に乗り込んでカツアゲするシーンでは若いのが無謀にもマ刑事に挑んだが、イスの所の若いのはまったく手を出さなくて、「チンピラ」度の書き分けにグッと来た。
イスのGUCCIとポリス・ダーク・アーミーにはずっと笑ったが、夢に伴う責任を任されたら何倍もパワーを発揮できる様子はとてもよかった。

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hyoui.jp/
『憑依』観てきた! アクションが極まるにつれてこういうゲームあるなの感情に浸された。おもろエンタメ。あの配役でこれからも色々やれそうだし、鈴には復活してほしい。瀬川作品で育ったアヒルにとって霊力を込められた代々の鈴は最高アイテムなので。怖いのは生きたまま指を切り落とされるシーンで(直接は映らず悲鳴が続く)霊的なホラーみは個人的に感じなかった。
霊力はないが精神分析に長けた主人公が除霊詐欺を働き、ハイテクで演出した“除霊”動画をYouTubeにアップする技術助手がいる。しかし主人公は紛れもなく祈祷師の家系で、過去に家族を殺した悪霊を見つけることが本当の目的。色々あって霊視の眼を持つ女性、主人公の育ての「叔父」で祈祷師界に顔の効く古物商とパーティーが揃う。それぞれの持てる力で戦うラストバトルが見応えがあった。ハイテクも使ってくれるんだもん。
パンフレットの内容は極薄。あらすじ、コラム1個、主役インタビュー。写真は恰好いいけど…。あれだけ目を引く村長役のクレジット無いのおかしいっすよ。トンネルスキーを見て。

chicken-for-linda.asmik-ace.co
『リンダはチキンがたべたい!』観。色で動くアニメーション。黄色が最高に好きな主人公リンダは全身黄色で、体の輪郭や表情は黒の線で詳細を描き出されるも、もっとも印象に残るのは各々を彩る色である。色自体が存在のパワーであり、例えば団地の子ども達が一斉に「はらへった!」と叫ぶシーンではその声の大きさを強調するためか様々な色の〇の中に大口を開けている様子のみが描かれる。特に夜の風景で、真っ黒の背景にネオンのように色の線が浮かぶことで輪郭を示す描き方に惹かれた。昔図工の時間に習った、画用紙をカラフルに塗り染め、その上から黒で覆いつぶし、先を削った割り箸で引っかいて下のカラーを表示させる技法を想起した。面白くて好きな絵の描き方だったんだよな。
悪ガキたちの元気な様子、ニワトリとの競争、ニワトリが赤い意味、大切なひとの死の受容と、パワフルに駆け回っているようできちんと始まりと終わりが繋がる物語だった。
紫色のデブ猫ガッツァがすこぶる良かったです。尻の穴が分かるように違う色で描きこまれていたので笑っちゃった。つまりいつも尻尾をかかげて機嫌のいい猫ちゃんてこと。

『デッドロック 女刑事の事件簿』観。パワフルで面白かった! ずっと見てても疲れなかった。下ネタが苦手なので性的な下ネタワードが頻出したのはちょっと困ったが、性別関係なくその辺ばりばりに口が悪いのは好きです。「女刑事」って邦題は古くないかと眉を顰めたものの、物語自体は女性への抑圧、加害、そこからの解放を目指す人々へのバックラッシュ(魔女狩りを彷彿とする火の登場)、たくさんの女性同性愛者と様々なカップルの形、性別×肌の色の複合的な差別を一つの町に託して描き、女性たちの連帯は誰かを助けるためと示して見せた8話の終盤の爽快感がとてもよかった。邦題で「女」を強調する意味はあった(ただ古いとの感じは残る)。おっとり者で町の皆と仲良しで情報を集めるのが上手なスヴェン、「仕事に疎い若いお姉ちゃん」的な立ち位置に置かれながら警察仕事への才能とプライドを発揮してゆくアビー、この二人が最後まで「女刑事」バディのチームで活躍するのが嬉しかった。高校生たちのストーリーがやがて本編から分立してもう一つの事件を露わにする構成も群像劇として良かったなあ。アザラシが強い生物だというのも知れた。色んなものをおちょくりながら、主張したいことには芯を通したドラマだった。

映画『窓際のトットちゃん』監督インタビュー
webnewtype.com/report/staff/en
戦争を繰り返してはならない、作品もその意図で作成したと明言されていて、これだけはっきりと戦争反対を断言してくれることに安心。
終盤のトットちゃんがひたすら走るシーンが秀逸で(全編通してずっと映像は凄すぎるのだが)、日向では戦地に人間をバンザイと送り出す、蔭では一切の声なく「こんな筈ではなかった」人々を描く。悲しみも怨みも苦しさも、発する声を取り上げられている。
被害を見せる一方で、東京の山の手に暮らす裕福な女の子の生活圏内の話なので、「兵隊さん」は何をしに行っているのか、他国から強制連行されている人々のこと等は画面には載らない。だが校長先生が日本軍の「戦果」ポスターを破いたり、音楽家のパパが軍歌は弾かないと決断したり、戦争加害へのNOもまた織り込まれている。
「戦果」ポスターしかり、子ども達が描いた戦争絵しかり、子ども達の居場所である学校を守るために校長先生が政府や時勢に対して「妥協」した部分が終盤になってドッと増えた背景を思い出しては息が詰まるよ…。
言葉による説明を省き、何が起こったのだろう?と思った所は調べてほしい、「いい映画だった」で終わらせないでほしいという語りに溢れた作品だった。すごいよ

hokkyoku-dept.com/
映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』観! 原作ファンです。西村絵の線の強弱や一枚霧を通したような彩色が再現されていてスゲェ…だった。自分がこの作品で好きなところは見られたな〜。動物の一部としてヒトを仲間に入れてくれるところです。原作を一本にまとめる構成も上手だったし、原作で明言される数多の動物の絶滅にヒトの大量消費が関わっていることもちゃんと入れてくれて(ここが観客であるヒトに口当たりよく誤魔化されるのでは?の危惧があった)映画として良かったです。
ラストのオリジナル展開もよかったんだけど〜、お客様頼みになっている点やセリフ回しの面に工夫が欲しかったな…。あと原作からのものだけど、「女性は〜だから」が出てきたり、異性カップルしか出てこなかったり、は映画化という機会で手を加えてほしかった点。
欲望を満たすことは楽しく嬉しい。けれどその欲望が何かを踏んづけているとしたら、満足は幸福と言えるだろうか。
これはやっぱりヒトに対して優しいすぎる物語ではあるんだけども! でも見方を変えられる作品でもあって、過去を知り、知ったからこそ繰り返さないための物語であるよ。
動くトウドウさんめっちゃよかったな…。ウミベミンクのお客様のチャーミングさも素晴らしかった。

『HUNT』 ネタバレ感想 

『HUNT』観た後、あ〜〜〜っという呻きでいっぱいになってしまった。打ちのめされる。民主主義を!と活発化する抗議運動が軍によって「誅滅」させられる軍独裁の80年代を描く。国民への拷問シーンを都度見せ、国の安全保障を掌る機関の次長二人が共に理由は異なれど国家トップの暗殺を企望する物語は、現実の過去への大きな抵抗と皮肉である。
 次長同士の権力争いと見えたものの正体が判明して、お互い相容れないとしても国民を守るために為すべき事は一つと確認し合って、けれどやはり軌道は反れてゆき、二人の正義は潰える。これは二人の正義が暴力の形を取ったからだろうか。でもさあ、どうしたらいいってんだよ。暴力の最たるものを国のトップが行使している状況でさあ。正直、バンコク編でのキム次長の狩りの成就を僕は応援してしまった。でも成就していたら戦争が始まって、本来二人が守りたかった民の命は奪われるし、トップが死んだって首がすげかわるだけで組織は駆動を続けるのだ。ハントの成功も、失敗も、道を開くすべとはならない。途中、パクの娘(娘ではないが)が捕まった時に、有実無実を問わず掛けられた嫌疑を「証明」するしか終わりはないと言われるシーンがあって、その理不尽さと重なった。やるせない。 

ジョン・ウィック:コンセクエンス ネタバレ感想 

※ドニー・イェンには触れません

犬も馬も無事。
これまでのあらすじが冒頭に流れて、ガン・フーの次にナイ・フーが出されちゃって、ジョン・ウィックだ〜(どこまで本国が関わったあらすじか知らんが)感が高まった。
やりたいこと全部やってる。カーアクションのシークエンス無かったら30分くらい短縮されたんじゃないっスか?!とは思いつつ、ジョン・ウィックと言えばカー・フーだから😉とばかりにジョン以外を車によってkillすることでジョン>車を補強してきた。
キングが元気で安心した〜!! 今回は全体が「情」の話で、切れない情として友人と親子をもってくる。NYコンチネンタルの支配人には前作で腹立ちがあったのだけど、コンシェルジュを亡くしたところとその後の墓碑銘の話を見たらね…。「我が友」に弱いので俺は。そして友人を嗾けられ、頼っては破滅させ、一蓮托生となり、見送られる物語がジョンの最後に存在して良かったなと思いました。
その流れで新キャラのnobodyと犬のバディが好き。ジョン・ウィックと深い繋がりはないにも拘らず、犬を救ってもらったの一点で敵であることを止め、敬愛のようなものを込めて決闘に耳を澄ませる。袖張り合うも多生の縁と言うが、そういうキャラで好き。

honto.jp/ebook/pd_32666198.htm
『イラク水滸伝』読み。巨大湿地帯アフワールを舟で旅する計画は、イラクの都市民の生活、シュメール文明時代に接続する湿地民の生活、うまい料理、謎の布、最強のコスパを誇る植物、水牛、愛の詩、政治情勢のあれこれを渦巻きに絡めとりながら、ついに昔ながらの手作り舟を漕ぎ出すに至る。
知らない事がいっぱい! というか、知ろうとも考えなかった事がいっぱいだった。なにがし国という名前の中に個人個人の生活があるという当然のことを高野氏の著作は伝えてくれる。水牛のゲーマルを食べてみたいとか伝統の布アザールや遺跡を直接見たいとか、すごく私的な動機で各地を訪ねられる日が来ることを望む。
p188で水牛同士の喧嘩を引き離し、他家の水牛との喧嘩だった場合は自分のところの水牛に加勢する賢犬(かしこいぬ)の話が出てきたメロメロになってしまった…。
 

『将棋指しの腹のうち』文庫版読み。先崎九段のエッセイはとても読みやすいのと、題材にとった実在の方々に対して文中から好意を感じられるので読んでて面白い。ただ男だ女だのジェンダー固定化は強めでそこは強めに引っかかるところである。
今作は棋士と飯がテーマ。「将棋メシ」がジャンル化する以前の棋士の食事事情について語られる。白眉は先崎・佐藤のプロ二人で人間将棋のようなことをさせられた奨励会員30人に焼肉を奢った話だが、大笑いしたのは昭和の名人(称号でない)たる先輩棋士たちの対局に勝って気分のいいところを更にヨイショと持ち上げて鰻を奢ってもらっていた話。p128「気前がよくて鰻好きという先輩が対局だと(中略)必死に応援するわけである。両者気前がよさそうな棋士同士の対局は、「両面待ち」と呼ばれ大層ありがたられた」。将棋指しが麻雀用語で喩えられてる面白さ、奢られの妙技、楽しかった思い出への懐旧の念が入り混じり、おかしくも切ないエッセイ。  

honto.jp/ebook/pd_32295987.htm

『成瀬は天下を取りにいく』めーっちゃくちゃ面白かった! 連作短編集で、一本目から成瀬さん天下を取ってくれ!と応援したくなる魅力に溢れていた。
中学生の成瀬あかり(文武両道成績優秀字も上手い。二百歳まで生きる予定で生存確率を上げるためにサバイバル知識が豊富で毎夜9時就寝)が暮らす滋賀県大津市には西部デパート大津店が在った。ところが44年の歴史に幕を下ろすことに。八月末の閉店に合わせ、夏休みの一カ月を西部大津店に通い、ローカルニュースのテレビカメラに映り込み続けると宣言する成瀬。宣言を聞いた友人・島崎みゆき(成瀬と違って自分は平凡だと考えている。成瀬史は見届けたいので行動を共にするが成瀬史には刻まれたくないとも考えている。時すでに遅し)は約束通りローカルニュースを見届け、たまに一緒にカメラに映り込みに行ったりするのが第一話。
それからM-1グランプリに挑戦してみたり、かるた大会で頭角を現したりもする。
中2〜高3までの成瀬の一年一年の中からトピックを掬い出す形式だが、内容は薄さを感じさせない。五年後には西部大津店跡地に何か長ったらしい名前のマンションが建ったように、時の流れを感じさせる落ち着きを湛えた小説 〉
  

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