私は、もう30年以上家にTVがない生活をしているので、普段の五輪にはトント関心がない。
ところが今回は研究対象である「フランス」の自画像を巡ってあれこれ多くのインテリの人が語っているので、少しだけ調べて見た。
星さんの紹介している記事は、芸能的には悪くないが、最後五輪前に「極右が躍進した」となっているのは端的に間違い。正しくは「単独過半数(当然第一党)を予測されたが、結果は3位に沈んだ」。
また王妃マリーアントワネットの首についてもあれこれ言われている。
「マリーの贅沢三昧が王室財政を危機に」という都市伝説があるがこれは事実ではない。
端的に18世紀後半に仏と英は世界システムの最後の勝利決定戦をしていた。七年戦争・フレンチインディアン戦争でほぼ英の覇権が確立したように見えたが、米独立革命を仏は支援することで「第一次ブリテン帝国」を崩壊させた。ちなみに仏海軍が英海軍を破ったのはこの時のみ。
この戦争支出によって仏財政は破綻。革命になだれ込んでいく。
戦略結婚でハプスブルクから嫁いだマリーはかなり意志の強い女性だったようだ。フェルゼンとの「不倫」も最近事実と立証された(ヴェルサイユの薔薇の際はまだ噂)。ヴァレンヌ逃亡事件もマリー主導で兄のオーストリア皇帝に手紙を多く送っている。
[参照]
日米両政府は28日、正式に在日米軍を現在ハワイに本部があるインド太平洋軍に統合させることに合意。これは正式に自衛隊がが米統合軍司令部の指揮下に入ることを意味する。
最近、「中国脅威論」を煽るデマはやや下火になってきたが、それでも尚、安全保障の「南西シフト」やらを一応の口実にしている。
WWII後の歴史を振り返れば、講和条約後の米軍の日本占領は、最初はソ連、次は中国、その後再びソ連に戻した。冷戦終結後はしばらくNorth Korea を悪玉に仕立てていたが、これはさすがに、小国過ぎて現実味に乏しく、「ミサイル」=人工衛星発射を大声で騒ぎ立てるのも、「狼少年」になり、再び中国に戻した形である。
しかし、真面目に「台湾有事」を報道しているのは、(台湾以外では)ほとんど日本位である。
これも「有事」が発生しないので、何故か台湾より東の南西諸島への脅威を言い立てる無理筋の議論を浮上させている。
米国政府は日本への軍事的脅威など考えていないが、日本自身(外務省)がそれを主張すれば、米政府、特に軍部はそれを奇貨として自らの存在価値をアピールする。
つまり米軍部は財政難の米政府内で自らの正統性を主張できる。これは現代国家における官僚組織の常である。しかも費用は日本持ち、これは笑いが止まらない。
こんなことになってたのか。
TVに「権力監視」求めた田中優子氏らがテレ朝番審委員長の見城徹氏らに訴えられる | 週刊金曜日オンライン https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2024/07/26/antena-1495/
BT
これ、私もTverでLibertéのところだけ見て、びっくりしました。日本のテレビ?の実況のひとたちが、起きていることに関心がなさそうで、解説するつもりも全然ないみたいで。
舟にのった歌手がビゼーのカルメンの歌を歌い始めても、まったくそういうことを言わないし。
途中、図書館で若い男女が、題名と作家名が見えるように古今のさまざまなフランス恋愛小説(ラディゲとかエルノーとか)を手に持つという場面がでてきました。
ここは自国の文学を世界に誇るフランスが、
「あ、これは○○の××ですね」「こちらは△△だ!」みたいに、世界中でスポーツ実況っぽい解説がつけられることを想定してつくったシーンだったのではないかと想像します。
(日本の実況はまったく無反応でしたが)。
正直、さまざまな方向に向かって開かれているはずの「自由」というテーマが、結局個人的な愛のストーリーに収斂していくように見え、すごく保守的だな、という感想をもちましたが、いかんせんこの部分しか見ていないので、全体を見たらまた違う意見になるかもしれません。
(そして、この部分だけ見ても、こういうふうに批評するに足るレベルのものを日本は出すことがもはやできないので、つらい、、、となりました)。
パリオリンピックの開会式が問題になって主催者謝罪、との報道を見て、動画を眺めようとおもったらYoutubeでは動画が削除されていた。差し戻し、である。
日本のTverでは一部まだ動画をみることができるので眺めたが、謝罪がどうのより、解説者たちに文化的な素養がほとんどないのにオドロイタ。音楽にも絵画にも歴史にも舞踏にもまるで「解説」することができない破綻ぶりで悲惨であった。「愛っぽいんですかね」「自由ですかね」。「なんかすごい」。
トホホ。
3年前の東京の開会式の動画も最近眺めて、文化的な白痴ぶりに見ていられなくなった。都庁のプロジェクションマッピングが歌舞伎町の電飾状態なのは偶然ではない。全般にもう、そうなのだわな。
【開会式】Liberté -自由-
https://tver.jp/olympic/paris2024/video/6359373841112/
【開会式】Synchronicité -共時性-
https://tver.jp/olympic/paris2024/video/6359372321112/
Xユーザーの山添 拓さん:
「23年度、上場企業で1億円以上の報酬を受け取った役員は少なくとも501社1106人に上る。
それらの企業では純利益が増えるのに従い株主配当も10%増となる一方、平均賃金は2.2%の増にとどまった。3.5%の物価上昇に追い付かない。大企業の利益は、働く者の手にわたっていない。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2024-07-26/2024072601_03_0.html」 / X
https://x.com/pioneertaku84/status/1817160054363365465
J=L.ゴダールの最後の長編、「イメージの本 Le livre d'image 」(2018年)を観る。これで三度目位くらいだが、記憶とさして変わらなかった。最近「短期記憶障害」に不安を抱えているので、少し安心した。😀
映画の構成は、基本「晩期」ゴダールの基調である「新ドイツ零年」、「映画史」に連なる。
ただし、2点ほど大きな変化がある。
まず、ロシア革命ではなく、むしろフランス革命への回帰が見られること。
68年以降、ゴダールは一時期は共産主義、とりわけ毛沢東主義への批判的近接性が前景化する。
その後毛沢東主義への言及はほぼなくなり、ロシア革命とナチズム、ホロコーストに焦点が移る。
しかし、21世紀に入ると、さらに時代を遡りフランス革命への言及が増えてくる。これは決して「フランス・ナショナリズムへの回帰」ではなく、フランス革命の特異性を問題化していると見做せる。
2点目はイスラエルによるパレスティナへの暴力への言及が急激に前景化していること。特に映画の後半はほとんどこの問題に費やされる。ゴダールの立場は明快で「私はアラブ(イスラムではなく)の側に立つ」というもの。
ホロコーストからパレスティナへ。ゴダールは90歳に至るまで深化し続けた作家と言えるだろう。
Au milieu des dizaines de délégations qui ont paradé lors de la cérémonie olympique de Paris, celle d'Israël a été massivement huée par les spectateurs. Et une autre, plus petite, a reçu les acclamations du public. Il s'agit du groupe d'athlètes palestiniens, placé à l'avant d'un des bateaux de la cérémonie
Valérie Tarazi, a déclaré avant la cérémonie : «Je regarde les informations, et je vois des gens nager pour recevoir des colis de la mer. Je nage pour concourir, et eux nagent pour survivre»
BT
トヨタの会長、傲慢すぎますね。
報道陣に対して
「日本のサイレントマジョリティーは、自動車産業が世界で競争していることにものすごく感謝していると思う」
「業界の中の人にも感じるような、応援はぜひいただきたい」
「強い者をたたくのが使命と思っているかもしれないが、強い者が居なかったら国は成り立たない。強い者の力をどう使うかを厳しい目で見るべきだ」
って、不正が発覚した会社のトップなのに、マスコミに対して「批判するな、応援しろ」。よく言えますね。
これを批判するのは当然だし、「全体の文脈のなかの切り取り」と擁護するのはちょっと無理な話ですよね。
この豊田章男氏、これでご自分は無私の人として会社で働いているならまだいいのですが、
去年の4月に会長になって、自分の報酬めっちゃ増やしてるんですよね。トヨタの役員で歴代最高額だそうです。
「トヨタ自動車の豊田章男会長が2023年度に受け取った役員報酬は、前年度の1・6倍となる16億2200万円だった」(朝日・2024年06月26日)
豊田氏の次に多かったのは佐藤恒治社長で6億2300万円だそう。2番手の倍以上ももらってる!
「自動車絶望工場」で働くひとたちの利益をまきあげて、こんな傲慢なことを言っている・・・。許しがたいです。 [参照]
不正に揺れるトヨタ、会長「今の日本は頑張ろうという気になれない」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS7L26DCS7LULFA00WM.html?ptoken=01J3S07Q0NQ2GA3Z75XND4WS0Y
7月28日 11:27までのプレゼント記事。
不正は企業ガバナンスの失敗だし、そもそも守れないような基準だったのであればそれは規制当局とのコミュニケーションの失敗なわけで、トヨタほどの大企業がどうしたのやら、という感想。
なお、この記事を参照してトヨタに批判的な言及をXでした星暁雄氏が、菊池誠氏のトヨタ擁護マスコミ叩きの題材として名指しされたことから、X上で各所から攻撃を受けている様子。こうした扇動をしつつ、表現の自由を語るのは理解できない。
月刊「地平」第二号の記事のひとつが花田達朗さんによる「第三のジャーナリズム」連載第2回のトピックが「ヤメ記者」で、福島核災害を巡る調査報道で名をはせた「プロメテウスの罠」のキャップで、背後からは幹部たちの狙撃を受け続けた朝日新聞を退職し、春から”News Kochi”を立ち上げた依光隆明さんのことが詳しく書かれている。
ジジェクがネタニエフやトランプを名指しして唾棄する「チンピラに支えられた権力」日本の政治でも顕著である。自民党のあれこれは言うに及ばず(統一教会なぞ、まさに暴力的なチンピラだ)、ネットのチンピラと都知事の小池百合子が目配せを交わしながら弱者を排除する様子や、ウソまみれで権力をかさに着て維新を思い起こせば、ああ、これは世界史の現在形なのだ、と、得心である。というだけではなく、メディアもそうであることはもはや明白であるが、そうした権力構造の中でまともな政治家も記者も、かつての脱藩に近い状況で野に出ることになる。
BT
日東電工の子会社・韓国オプティカルハイテック社。
不当な首切りのうえ、雇用継続を求め闘う労働者に損害賠償請求。ひどい。
レイバーネットに、尾澤邦子さん(韓国のTVドキュメンタリ「日本人オザワ」に描かれた尾澤孝司さんの配偶者さん)の記事がありました。
「大阪に本社のある日東電工(株)は、韓国に100%子会社を持っています。その内のひ とつ、韓国クミ市にある韓国オプティカルハイテック社は、昨年10月火災が発生しました 。会社は、莫大な火災保険金を受け取りながら工場再建はせず、労働者全員を解雇しまし た。
生産は、平澤(ピョンテク)市にあるもうひとつの子会社に移しながら、問答無用で 労働者を解雇。平澤工場での雇用継続も含め、解雇撤回を要求して組合事務所に座り込み 、闘う労組。
あろうことか会社は、会社清算のじゃまとばかりに、組合員に対し自宅を差 し押さえるなどして損害賠償を請求しています。その総額は約4,000万円。解雇された労働者がどうやってそんなお金を払えるというのでしょうか」
http://www.labornetjp.org/news/2023/1204op
(関連)
・解雇ばかりか労働者の賃貸保証金まで仮差押えした日本企業の韓国子会社(ハンギョレ・2023-11-21)
https://japan.hani.co.kr/arti/h21/48441.html
さらに言うと、NISAなどに踊らされた国内の小口投資家は、東証株価が1週間で4千円以上で暴落したことで、大きな損失を蒙ったでしょう。
また国内小口投資家は、為替変動を利用するということも普通できません。
なぜなら、ただでさえ、現在10年前と比較すると日本の実体経済を反映して円は大きく下がっている上、「為替」には手数料が必須。
これは証券投資会社に委託した場合、損失しても運用金額に応じた手数料を取られるのと同じ仕組み。
つまり、現在の乱高下する為替・通貨変動に適応して尚、利益を叩き出すには、巨額な元手が必要となる。
要するに小口投資家は統計的には「負ける」ようにシステムができているのです。
そして小口投資家の「元手」は貯蓄。政府・財界は「貯蓄から投資へ」などと煽りまくっているが、この調子で行けばただでさえ、やせ細っている中間層の貯蓄は、物価高+投資損でさらに減り続ける可能性が高い。
ただし、今暫くはリスクを分散できる超富裕層は、儲け続けるでしょう。
他方で日本の世帯の3割前後は、すでに金融資産ゼロ。これが5割になれば19世紀の水準に戻ります。
この10日程で、1ドル160円から153円に超急速に円高に。
他方、同時に東証株価は4万円越えから、4千円以以上下落。
これは勿論、偶然ではありません。
海外投資家が円安の際に、大量に株価を買い込み、円高の際にそれを売り抜ければ巨額の利益がはじき出される。
今や金融取引はAIが自動的に行うので、この10日で、海外投資家が挙げた利益は分かり知れない。
他方、円高になれば、物価が下がるか、と言えばそうではない。
経営側は、「人件費や物流のコストが上がっている」と表向きは宣うが、本音は一度「上げた物価を下げたくはない」。もし円高がしばらく続けば、その分利潤は大きくなる。
結局、実体経済から遊離した金融取引で最も「ババを引かされる」のは、人口の圧倒的大部分を占める一般庶民なのです。
仏では、「新人民戦線」の最大会派「服従しないフランス」が妥協する形で、30代女性を首相候補に指名。
しかし、マクロンはこれを拒否。前にも書いたように仏でが首相は大統領にのみ、責任を負う。つまり大統領は首相を指名できる。
どうもマクロンは五輪を時間稼ぎの「煙幕」にして、新人民戦線を切り崩し、自派への合流を企んでいる模様。
そうしておけば、RN(ルペン派)
は、前々からの慣行通り、与党案に賛成票を投じるだろうとの計算である。
実際、RNはフランスの経済エリートの関係は年々深まっている。つまりにRNはすでに「体制」にとって「アウトサイダー」ではないのだ。
マクロンが民意を無視して、ルイ・ナポレオン並みのアクロバットで「終身統領」にでもなるつもりなのか、それとも・・・
すでに五輪に参加するダンサーたちが抗議の踊りを披露しているという。
しかしマクロンはルイ・ナポレオンと比較しても無能・凡庸で、さらに人気がない。ルイ・ナポレオンは一応は「貧困の撲滅」を唱えたサン=シモニストだったのである。
いずれにせよ、パリの8月は熱くなりそうである。
広島市。
無茶苦茶な。法的根拠なしに人の荷物を検査して退去命令って、胸を張って言うようなことじゃない。
市の市民活動推進課の担当者は取材に対し、手荷物検査や禁止行為による退去命令について「条例は関係なく法的根拠はない」と断言。「安全な式典にするための必要最小限の規制。表現の自由を制限するとは思わず、あくまでご協力いただくもの」と述べた。
哲学・思想史・批判理論/国際関係史
著書
『世界史の中の戦後思想ー自由主義・民主主義・社会主義』(地平社)2024年
『ファシズムと冷戦のはざまで 戦後思想の胎動と形成 1930-1960』(東京大学出版会)2019年
『知識人と社会 J=P.サルトルの政治と実存』岩波書店(2000年)
編著『近代世界システムと新自由主義グローバリズム 資本主義は持続可能か?』(作品社)2014年
編著『移動と革命 ディアスポラたちの世界史』(論創社)2012年
論文「戦争と奴隷制のサピエンス史」(2022年)『世界』10月号
「戦後思想の胎動と誕生1930-1948」(2022年)『世界』11月号
翻訳F.ジェイムソン『サルトルー回帰する唯物論』(論創社)1999年