『枕元の本棚』(津村記久子) #読了
書評とエッセイの中間地点という感じで大変に勉強になりました。氏の書評の『型』が少しだけわかってきて、まず、紹介する本からちょっと遠目の「あるある」だったり「体験談」だったりでグッと読者を掴んでから、掴み切ってから、ようやく中身の紹介に入るんですね。その掴みのヒキダシの広さが氏の魅力なんですよね。
【感想】
土地に結びつけられた共同体がワチャワチャと立ち上がって、膨らんでやがて自ら崩壊していくさまというのはいくら読んでも良いものだ。好きな登場人物は、崩れゆくデソレイション・ロードにおいて、自らのアイデンティティを維持し続けた、博士に次ぐ古株〈犯罪帝国の総帥〉ジェリコ氏。老いてなお一線で戦えることを示すさまがなんとも格好良かった。
また、デソレイション・ロードの歴史をタペストリーに織り込む、いわば歴史の証人とでも呼ぶべき女性が登場するのだが、そのタペストリーと歴史/時間に関するレトリックがキマっていた。歴史改変/時間移動への洞察があった。
とにかく重厚な物語で、読み通すのには体力が要ったものの、それに見合う満足感がありました。
【あらすじ】
「緑の人」を追って砂漠を遭難した博士は、やがて行き着いた地で〈荒涼街道(デソレイション・ロード)〉を立ち上げる。デソレイション・ロードが鉄道の発着場として発展し、共同体が成立する様子は、読者の期待を膨らませる。そんな序盤の雰囲気は、再び現れた「緑の人」の助けによって完成したタイムマシン/時間線の移動によって、一変する。
やがて、デソレイション・ロードの外で世界が広がっていく。デソレイション・ロードから自ら出奔した者、放逐された者、借金の肩に売られた者たち……。
しかし、デソレイション・ロードの運命は、彼らをその地に呼び戻すのだった。呼び戻された者どもは対決する――その様はあたかもデソレイション・ロードが自壊するかのようだった。
84.8 #魔法の数字
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