岡田一実さんの句集「醒睡」のこと
タイトルが示すように、「醒めている俳句」と「睡っている俳句」と、それぞれ解釈できそうな句群が交互に現れる。そう、それで「醒睡」なのね、と分かったつもりになっていると、最後のページに向けて、はてどっちなんだろう?という俳句が続く。
これはたぶん、読者をいったん「理解した」と思わせておいて、「そんなに簡単に他人のことを理解できると思うなよ」という作者からのメッセージを聞きとらせる仕掛けなのではないかと思った。理解できるところは理解し、そして理解できないところを残しつつ関係を持つのが、人間社会だということなのかもしれない。
造語と思われる言葉の多用もチャレンジングで、これはたぶん句会という共通理解を確認する場を経ていない俳句ならではないか。他人の評価にもたれかかかることもなく、まっすぐ遠い地平をまなざすような感覚が清々しく感じられる。
景としては、わかりやすい句はかなりわかりやすく、しかし言葉は一筋縄ではいかないという俳句が多いという印象。緻密な写生と言葉のフロンティアは両立するということを、改めて感じた。
<社説>日高山脈が国立公園に 原生の自然 後世に継承を:北海道新聞デジタル https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1029636/
校正が終わった
結社誌の校正終わり。今月は直すところが少なくてよかった。いちばん指摘するのは、やはり歴史的仮名づかいの誤り。めんどうな規則がたくさんあって、慣れないと仕方ない面もあるんだけど、間違いが多いと「それくらいの結社」と見られるだろうから、ここはきちんとしたい。
以前は、拡張新字体の漢字をいちいち印刷標準字体に直していたのだが、こちらはあまりにたいへんなのでやめた。他の大きな結社も、そこまで徹底しているところはないみたいなので。こっちはどうでもいいよね。「印刷標準字体じゃないと読む気がなくなる」というツイートを見て、気にしていたんだけど、そんなこと気にする人がどれくらいいるのか、という話。
「俳壇」は文学館へ行って読んでくることにしよう。文学館には総合誌があるのでたまに行くのだが、椅子に背もたれがないので、ゆっくりするにはとてもつらい。あれって、長居させないための方策なのかな?。意見フォームがあったら書きたい。
俳句甲子園東京大会の審査委員長をしていた佐藤明彦さん(的確な講評がすばらしかった)、「藍生」で私の特集をしてくれたときに、黒田先生がそれを多方面に配布したらしく、それに対して佐藤さんが黒田さんに送った礼状が私のところに送られてきていたのを思い出しました(とても好意的なお手紙でした)。それで「にれかめる」も献呈したのでした。
何だか遠慮してしまっていたのですが、ご挨拶すればよかった。つい気後れしてしまうんですよね…。
数日前森林税のニュースを見てしまったのだが、税金の話はともかくとして「都会の人間なのになんで森林税をはらうの?」「都会に森はないのに」とかいうコメントをアイキャッチにつかう無邪気さみたいなのはあんまりひどいなと思ったし、森林というものを「どこ」が引き受けているのか、森林は生活の「なに」を引き受けているのか、を一度考えてほしいと思う。世界レベルの「どこ」であり「なに」であるはずなのだが。そしてそれらを目にせず生活するということは、ある意味では「安全」や「経済的な安定」のようなものをやはり買っているということでもあると思う。森林はアウトドア好きの娯楽のためだけにあるわけではないので…
「米国だけでなくパレスチナへのユダヤ人入植や北海道開拓といった「入植」の問題は、セトラー・コロニアリズム(入植者植民地主義)と呼ばれ、歴史的問題でありかつ現代の問題としてさかんに議論されている。人種差別を批判するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動などの米国の最新動向を把握しているはずの音楽会社やスポンサー企業によるチェック機能が働かなかった点も問題だろう」
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ミセスMVに識者「悪意なくても差別」 透ける「名誉白人」の意識:朝日新聞デジタル 有料記事がプレゼントされました! 6月15日 14:36まで全文お読みいただけます。
ミセスMVに識者「悪意なくても差別」 透ける「名誉白人」の意識:朝日新聞デジタル
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鈴木牛後(すずき・ぎゅうご)。俳句のことなど。ブログ「本日も深雪晴」https://miyukibare.exblog.jp/