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@erin@misskey.soda-net.com
いえいえ、コメントありがとうございます!いつでも歓迎👍

その三つの短編は私も印象に残ってます。
特に「どうにもならない」。必死にお酒を買いに行く主人公は実際はふらふらなのだけれど、そんな自分を「彼女」と三人称で描き、離れた視点から自分自身を冷静に見ているようですよね。不思議な読後感。息子に車の鍵や財布を取り上げられつつお酒を買いに行く自分を見たらどんな気持ちだろう、と想像すると、まさに「どうにもならない」なのだろうと思うのだけれど、言い訳をするでもなく、何か主張をするでもなく、淡々と情景だけを描く。
その描き方には、むしろ芯の強さを感じるなあと。書かれていないからといって、そこに何もなかったはずはない。私なら間違いなく言い訳の嵐でしょう(笑)

他には「あとちょっとだけ」。死の気配がすると、本当に本っ当にその通り、「あとちょっとだけ」と思ったものだなと。境遇も何もかも違っても、その気持ちはとても共感できます。
エリンさんの言う通り、「その一瞬だけは分かるような」気がするところが多い作品集ですよね、すごい。

実はそもそも、エリンさんの以前の投稿で最初に興味を持ち、図書館で予約し、届いて読めたのが最近だったのです。
面白かったです、紹介ありがとうございます😊

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』読了、少しネタバレ…なのかな? 

波瀾万丈な人生から、さまざまな側面を切り取ったような短編集。
ここでの紹介で知りました、ありがとう!

各短編におそらく著者自身らしい女性が登場するが、「わたし」と述べる短編も多い一方で、三人称のものもある。したがって、読み進めていると「あれ、もしかしてこの登場人物が著者?」と、途中で察したりもする。
では、全体を読んで総合すると何となく人物像が見えてくる…のかと思いきや、これがまた、そんなことはなかった。上流階級の娘だったり掃除婦だったり先生だったり母だったりアルコール依存症だったりで、まったく把握しきれない。こんなことがあって、次はこうなって、といった繋ぎの説明や言い訳的なものは一切なく、スパイスの効いた筆致で大胆に一つの瞬間だけが描かれる。そこが良い。

読んでいると、一つの短編で一部がちょっと見えたような気もするけれど、全貌はまったく掴み切れず、むしろ想像が膨らむ。こじんまりとまとまった人物像などにはならず、抑えつけられてもどこまでも広がっていくような鮮やかな彼女のイメージが残り、不思議と惹きつけられる。
フィクションを交えつつも、リアルな一瞬一瞬を切り取るように描かれた短編の集まりは、生きた証のようにも思えた。

ああ、前投稿に誤字が…
×新海 → 〇『新解さんの謎』
です、ごめんなさい。

既にリアクションいただいていて嬉しいので(ありがとうございます)前投稿はそのままにさせていただきます、失礼しました。

三浦しをん『舟を編む』再読。

以前に一度読んだのだけれど、最近『新海さんの謎』を読んだ際に、辞書つながりでこちらも読みなおしたいと思い出していたので。

『舟を編む』に出てくる先生は辞書に人生を懸ける純粋な少年のようで素敵だし(家族は本当に大変だと思うけれど)、編集部の面々の辞書編集過程はやはり面白かった。細部までこだわった語彙の説明とか、最適な紙選びとか。

自分も子どもの頃、家の本を読みつくしたら辞書をめくっている変な子どもだった。当時は主に『広辞苑』で、これが意外と面白かった。
今でも新しい辞書を買うとテンションが上がる。オンライン辞書も電子辞書も良いし、実際よく使うのだけれど、一番嬉しさを感じるのはやはり紙の辞書。ページをめくる嬉しさのあまり、英和辞典をaから読もうなどという無謀な試みを始めたりもする。もちろん早々にギブアップし、ab…くらいで終わるのだが(早すぎ)。
そういった辞書も、『舟を編む』のように作られているのかなと思うと感慨深い。

そして、作中の「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」という台詞にはとても共感。
自分の場合は、言葉の海を漕ぎ渡っていくというよりは、いつもフラフラ漂っている感じだけれど、様々な「舟」に助けられつつ行方を定めず漂うのもまた幸せな航海だと思う。感謝。

@erin@misskey.soda-net.com
うんうん、本当にそうですよね。
底辺託児所の話、辛いところもたくさんあるけれどパワフルでたくましくて惹きつけられます。
私も図書館で読んだから手元に本がないのだけれど、地についた(というか地べたに近い)生活の話がすごくリアルでした。

『ぼくはイエロー…』の著者の息子さんも、続編ではきっと、もっと成長してるんだろうなあ。
ほんと、いずれ読みたいリストがどんどん長くなって、嬉しい悲鳴です😂

>BT
『ジンセイハ、オンガクデアル』、おもしろそう。
同著者の同じく「底辺託児所」を舞台とするエッセイ『子どもたちの階級闘争』は、以前読んだことがあって印象に残っている。

代表作ってイエローでホワイトで…だよね、あれも良かったな、と思い出しつつ著作リストを見ていたら、その「2」も出ている。
知らなかった。
読みたい本がどんどんたまっていく :blobcatreading:

壺井栄『二十四の瞳』
子どもの頃に読んで以来、何十年ぶりかの再読。

岬の小学校の十二人の生徒達と、新任の大石先生との交流から始まる物語。この小説の発表が1952年、作中の時代はさらに前の昭和初期から始まるので、昔の話だなあという時代の違いはもちろん感じる。
が、序盤の一年生の子どもたちのかわいらしさは変わらないし、戦争に翻弄されるそれぞれの人生の悲しさも変わらない。

また、先生自身の子育ての部分も印象的だった。はじめてのランドセルに大喜びで駆けていく無邪気な我が子を見て、先生が「その可憐なうしろ姿の行く手にまちうけているものが、やはり戦争でしかないとすれば…」と物思うシーンがある。先生は、自由な発言ができない中でもその思いを抱きつつ息子を育てたことだろうが、息子は後に、父の出征を誇りに思い、戦死したときにはもちろん悲しみはするものの「名誉」にも思い、内心で母を恥じさえもする。
とても優しいいい子なのに、ただ、幼い頃から平和を知らず育ってきて、それがあまりに当然になってしまっている。それが大石先生という母の目線で描かれるのが、とても悲しく思えた。

そういったことは今も世界中で起こっているのだろうし、私達だって他人事ではない。本当の意味で、この話が「昔の話」になってほしいものだと強く思う。

ロビンソン・クルーソー、むかし大好きだった!
たくましくサバイバルする部分が子ども心に楽しかったものと思われ、自分の記憶には遭難以降の島暮らしだけしか残ってないのだけれど、家出してきたという経緯だったのね。
それに、こうしてまとめてもらうと、確かに生命力強すぎで楽しい。
是非また読みたい。

リチャード・オスマン『木曜殺人クラブ』読了。

過去の事件をネタに「木曜殺人クラブ」というお茶会を開いていた高齢者施設の住人たちが、実際に起こった殺人事件の捜査に乗り出す、という話。

お年寄りが活躍するほのぼのワクワクする話かと思ったら、もちろんそういう部分は多数あるのだが、それだけではなかった。
「クラブ」初期メンバーの一人は既に重度の介護棟で寝たきりになっているし、今の主要メンバーの一人は、やや記憶の混乱しがちな夫が自分とチェスを指す頻度が下がっていることに気付いており、「もしや、すでに最後のゲームをしてしまったのだろうか」と考える。自分に「あと何回の秋が残されているのだろう」とも思う。一見、良い施設での豊かな老後に見えるかもしれないが、皆それぞれに切実な思いを抱えている。そしてそれは、私たちの誰にとっても待ち受けているものなのだ。

それでも「人生では、よい日を数えるようにしなくては」と、クラブの面々は小気味良く活躍する。周囲や自らの衰えに向き合い、さまざまな別れも経験しながらも、毎日を前向きに生きて新たなことに目を向けられるところには、強さと明るさが感じられた。
できるならば自分もそんな風に年を取りたい、と思わせてくれる。いや、殺人事件には遭遇しなくていいけれど。

八重洲ブックセンター、八重洲本店は3月いっぱいで営業終了…
その後、2028年に竣工予定のビルへの出店を計画中のようだけれど、でもやはり今までの店舗の営業終了は寂しい。

近年は自分もあまり行けていなかったのだけれど、その昔ときどき東京駅利用のついでに行って、何フロアもうろうろするだけでも楽しかったのを思い出す。

本屋の減ってきている昨今、せめて家の近所の本屋だけでもなるべく利用しよう。
八重洲にも閉店までにもう一度行きたいなあ、行けるかなあ…

風船葛 さんがブースト

ビックリだ…八重洲ブックセンター本店が八重洲から消える?マジかよ、と。池袋ジュンク堂は大丈夫だろうか。本好きとしては近場に巨大書店の実店舗が必要なんよ。本探しの愉しみが失われてゆく…。

twitter.com/yaesu_honten/statu

辻村深月『傲慢と善良』

序盤は男性主人公に対する違和感が強かった。「こんな人は現実にはいない」という意味ではなく、「本当にこんな人がいそう、悪気はないのだろうが私は馴染めない」という意味で、人物像はリアルだと思ったのだ。物語上の出来事だけでなく、婚約者を「この子」と呼ぶことなども、些細な点でも象徴的であるように感じた。「この子」は30代成人に対して使う呼称だろうか。そのせいか、傲慢だったと自分を振り返るシーンでは、そうだそうだと溜飲を下げる気持ちに一瞬なってしまった。

しかし読み進めて、そういうことではなかったと思うようになった。たまたま彼の一面も一例であっただけ。他の登場人物を追っていくと、あちこちに「傲慢」な側面が浮き彫りになる。その心情描写には、自分も含め誰しもどこかは重なるのではと思う。しかも、そういった面が物語中で特に変わるわけでもなく、普通にそのままであろう人物が多いのもリアル。実際の人間だってそうそう変わらないし、その中で皆生きている。その意味では、上述の主人公はむしろ、自分を振り返って一歩進むことができたのだ。

善良でありたいと思っていたのに知らず知らずのうちに傲慢側にいる、そんなことを皆繰り返しているのではないか。自分も時々振り返って考えたいと思わせてくれる本だった。

最近とても忙しくて本を読む時間もあまりとれないのだけれど、忙しすぎて開き直って(?)つい一冊読んでしまった。感想だけ投稿したら仕事がんばる。

辻村深月『傲慢と善良』読了。
同作者の本は前にいくつか読んでいたのだけれど、最近ご無沙汰だったところ、この本の感想をしばらく前にここで見かけたのをきっかけに(ありがとうございます!)、また読んでみたいと思っていたので。
いろいろな人物のいろいろな側面が出てくるので、読んでいると共感できたり反感を覚えたりと揺さぶられつつ、展開が気になってどんどん読んでしまう本でした。

@negitorotyannn こちらこそいつもありがとうございます!
わたしは半身浴しながら、蓋を四分の三くらい閉めて、その上でタオル敷いて読んでます :blobcatbath:

アンディ・ウィアー『アルテミス』読了。

年末に読んだ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』がとても面白かったので、同著者の他作品にも興味を持った。そのうち『火星の人』も読みたい。

さて『アルテミス』。
主人公の一人称の語りで話が進むが、もう少し砕けすぎない文体の方が自分は好みだなとは思った(翻訳の影響かも)。また個人的には、やはり『ヘイル・メアリー』の方が、入り込んで読めるストーリーだった。

とは言え、自分が『ヘイル・メアリー』を気に入り過ぎただけで、本作も十分面白い。架空の月面都市生活の描写は細かいところまで凝っていて興味深い。気圧が低いせいで水の沸点が低いため、熱いコーヒーや紅茶が飲めない、とか。著者の頭の中には、設定がもっともっと詰まっているのだろうな。
事件が起こるのももちろん月面上なのに、自分などはつい地上と同様の想像をしてしまいがちで、例えば爆発シーンでは、ドーン!と派手な爆発音を勝手に脳内で思い描いたりする。でもそこで、真空中なので基本的に音は伝わらず、地面を通じて伝わるのみだという説明が文中で入ると、「そういえばそうか」と脳内風景を修正する。そうやってイメージを補正しながら月面のあれこれを想像するのも楽しい。
ストーリー展開は早く、どんどん事件が起こるので、テンポよく読める。

@negitorotyannn
あまり参考にはならなくてすみませんが、同じく本を読む時間の捻出に苦労してます!
寝る前に読むのですが、たいていすぐ寝落ちして終わるんですよね…
たまに面白い本で眠気が吹っ飛ぶと、今度は睡眠時間が削られます :blobcatreading:

あと、本には良くなさそうなのだけど、お風呂でも読んでいます。
水濡れリスクのため電子書籍や図書館の本が持ち込めないのは難点。

恩田陸『Q&A』読了、少しネタバレ感想 

タイトルの通り、ひたすらQ&A形式で話が進む。主にある事件についての聞き取り調査のような形で、事件関係者となったさまざまな人から話を聞いていく対話形式が続く。
質問に答える人間はどんどん変わっていく。それぞれの視点の話をつなぎ合わせると、どうやらこういうことかと見えてくる(気がする)部分もあったり、つなぎ合わせても最後までどうにもはっきりしない部分もあったり。

結局あれは何だったのかという部分も最終的に多々残るため、推理小説的に明快な解答を求めて読むとスッキリしないけれど、淡々と語られるQ&Aの中のあちらこちらから人間の怖い一面が顔を出しているようで、ゾクッとするものはある。
普通のやり取りをしていた人から次第に歪んだところが見え隠れし始める会話、ごく普通の日常が壊れていく心理、集団となった人間が些細なきっかけで転げ落ちるように異様な状況に陥っていく様子など、負の側面の描写がひたひたと迫る。
ストーリー全景の曖昧さとは裏腹に、いやむしろ全貌が漠然としているからこそなのかもしれないが、「こういう人間の怖さは、わけのわからないうちに普通に自分の目の前にも現れるのではないか、あるいは、実は既にそこにあるのではないか」という身近な恐怖感を呼ぶ。

@kayanoIris
懐かしいですよね!
自分にとっては長年読みそびれたままの本だったのですが、最近またタイトルを目にして、何だか懐かしいと思って今回読むに至りました。
確かに新明解の古い版もほしくなりますね。内容の変遷にも味がある感じです。

赤瀬川原平『新解さんの謎』

前半、新明解国語辞典(新解さん)の様々な項目に飄々とツッコミを入れていくのが軽快で楽しい。
この本の新解さんは第四版だが、家に第七版があったので比べてみたくなった。
例えば「よのなか」という語。

本によると第四版では
「同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものととらえた語。愛し合う人と憎み合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。」

第七版では
「社会人として生きる個々の人間が、だれしもそこから逃げることのできない宿命を負わされているこの世。一般に、そこには複雑な人間関係がもたらす矛盾とか政治・経済の動きによる変化とかが見られ、許容しうる面と怒り・失望をいだかせる面とが混在するととらえられる。」

結構変化していて面白い。
第四版の方がやわらかい印象。「愛し合う人と憎み合う人」とかロマンティックな雰囲気も。第七版では「社会人」「政治・経済」と少し硬めの雰囲気になると共に、「逃げることのできない宿命」あたり、悲愴感さえ感じられる。世相を反映したりしているのだろうか。
家の新解さんも、もっと使いたいと思った。

後半は、紙にまつわるエッセイ。デジタル化した現代から見ると、隔世の感がある。

あけましておめでとうございます。
フォロー・購読などして下さっている方、通りすがりの方も、あらためて皆様いつもありがとうございます。

今のところ、自分の記録も兼ねて、読んだ本の感想を書くのがメインのアカウントです。
皆様の投稿も、とても楽しく読ませていただいています。次はこれ読んでみたいと思う本が多々見つかるのに、自分の読書時間がなかなかとれないのが最近の悩みの種。効率よく時間を使えるようになるのが今年の目標です。

それでは皆様、今年もよろしくお願いします。

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