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赤瀬川原平『新解さんの謎』

前半、新明解国語辞典(新解さん)の様々な項目に飄々とツッコミを入れていくのが軽快で楽しい。
この本の新解さんは第四版だが、家に第七版があったので比べてみたくなった。
例えば「よのなか」という語。

本によると第四版では
「同時代に属する広域を、複雑な人間模様が織り成すものととらえた語。愛し合う人と憎み合う人、成功者と失意・不遇の人とが構造上同居し、常に矛盾に満ちながら、一方には持ちつ持たれつの関係にある世間。」

第七版では
「社会人として生きる個々の人間が、だれしもそこから逃げることのできない宿命を負わされているこの世。一般に、そこには複雑な人間関係がもたらす矛盾とか政治・経済の動きによる変化とかが見られ、許容しうる面と怒り・失望をいだかせる面とが混在するととらえられる。」

結構変化していて面白い。
第四版の方がやわらかい印象。「愛し合う人と憎み合う人」とかロマンティックな雰囲気も。第七版では「社会人」「政治・経済」と少し硬めの雰囲気になると共に、「逃げることのできない宿命」あたり、悲愴感さえ感じられる。世相を反映したりしているのだろうか。
家の新解さんも、もっと使いたいと思った。

後半は、紙にまつわるエッセイ。デジタル化した現代から見ると、隔世の感がある。

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