「京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色」感想
暴力と破滅の運び手「クラーク・ワークス」
筆名のインパクトの強い作家さんの作品を初めて読んだ。魔術師か捕食者のようなピアニスト、美しき生贄、願いを顕現させるテクノロジー。SFとアートと耽美が融合している。プロによる趣味の演奏会が実現する環境や、脇役の人が奮闘するのもいい。国際都市、芸術都市の側面。
溝渕久美子「第二回京都西陣エクストリーム軒先駐車大会」ギャグと思いきや、過去をしのび、街並みを愛する選手と家族たちが熱く、温かい。世界の人気観光地で発生している問題が寂しい。
藤田雅矢「シダーローズの時間」 植物園SF。シダーローズの鱗片のように重なり合う時間。観光客の自分は、平安時代と現代だけをつまみ食いしていた。もし次に京都を訪れることがあったら絶対に行きたい。
Kaguya Books「京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色」を読んだ。
京都は、修学旅行とその後の旅行で何度か訪問したが、数日の滞在では神社仏閣巡りと抹茶スイーツで終わっていた。
編者の井上彼方さんにより、現代まで人々が暮らしてきた都市としての魅力が伝わってきた。
蜂本みさ「せんねんまんねん」感想
読むたびに涙が出るし、不安になるが、読む価値の高い作品。
SFともファンタジーとも言えるアイディアで、大阪の要素は言葉と通天閣だが、20世紀の戦争で各地のランドマークが、人生が、破壊されたことを思い出させる。
対話のできる、他者と共存する社会を作れそうな子どもが、大人の欺瞞に満ちた暴力に飲み込まれていく悔しさ。
戦争が当たり前になっていく社会。
危機の時代を生きる子どもの対話のラッパが、警報になっている。
「大阪SFアンソロジー:OSAKA2045」感想
正井さんの編集が鋭い。掲載一作目が、北野勇作「バンパクの思い出」。挙国一致のように猛進するイベント、置いてけぼりにされる市民生活、不安が募る。
中山奈々「Think of All the Great Things」未来というより今の問題。若年貧困の犠牲を増やすな。格差社会の是正が進まない焦燥感。
玖馬巌「みをつくしの人形遣いたち」は(存続危機のニュースを聞いていた)文楽に、未来へのヒントがあるのが面白い。
同じくテクノロジーが文化によりそう、宗方涼「秋の夜長に赤福を供える」ひらパーは聞いたことがあったが、菊人形は知らなかった。年月や災害を乗り越える伝統。携わる人々の想いがそれを支える。なぜ赤福と思ったが、伊勢の友人に「赤福の東限は名古屋」と聞いていたので懐かしかった。
正井「みほちゃんを見に行く」正井さん作品は時に抉るようなパンチが痛い。我がことすぎて。現代日本社会の女性の人生への容赦ないリアリズム。いつ同じ「不安定」な生き方になってもおかしくない年下の親族の長年の付き合いや、自分で選んだ生き方を全うした人を貶めることへの怒りがあるのが良かった。飛び立つ鳥の群れは唐突なようでいて、廃都の不気味な風景のようでもあり、本来は自由なはずの魂の比喩のようでもある。
Kaguya Books「大阪SFアンソロジー:OSAKA2045」を読んだ。
静岡出身の自分にとって大阪は「テレビで見るエネルギッシュなよその地域」のイメージだった。大阪に行ったのも数回しかない。
大阪をテーマにしたSFはどんなものか、気になって読んでみた。
秋接種を受けてきた
身近に基礎疾患のある人がいるので、必死で予約を取って、隣町の病院で予約が取れて、急いで新型コロナワクチン接種を受けた(ファイザー社のオミクロン株XBB.1.5対応)
1年前もファイザーのワクチン接種を受けたが、副反応は鎮痛剤を飲んだら収まるくらいの軽めだった気がする。
今回、受けた当日は頭が部分的にときどき痛く、軽く倦怠感があった。就寝後に寒気を感じて目覚め、その後に発熱を感じて再度目覚めた。あちこちの関節が少し痛い。
しかし流行初期のモデルナよりは副反応が軽い(今はモデルナも改良していると聞くが)
軽く食事をして解熱鎮痛剤を飲んだ。
寝たきりになると分かっていたので、接種前にストレッチなどしておいたけど、頭や胴体が重い。注射した腕はほとんど痛くない。
接種可能な人が安全に接種を受けられて、副反応の出る日は休めて、感染症の流行が抑えられますように。
秋接種の予約がいつから開始か、分かりやすいとよかった(8月から予約開始していた近所のクリニックもあったので)
英雄たちの選択 劉邦回、先生達の話も面白い。
劉邦もキャラが強いけど、項羽側では活躍できない才能ある人達が部下として集まっていた感
https://www.nhk.jp/p/heroes/ts/2QVXZQV7NM/episode/te/61J8PL4M21/
漫画「しあわせは食べて寝て待て」人気の不思議
38才、難病(膠原病)と生きる女性が、フルタイムで働けずデザイン事務所のパートタイムでやりくりしながら、自宅でできる薬膳を試したり、ささやかでも新しいことを始めたり、近所や職場の人とほど良い距離感で暮らしていく作品。
女性漫画雑誌フォアミセスに掲載。
私は1巻の出る頃に旧Twitterで見かけてずっと好きである。主人公のさとこと自分が重なる。
不思議なのは、男性にもこの漫画が人気なことである。どこが好きですか?とアンケートを取りたいくらい。
そう思う自分に、多くの男性は暴力や性表現のどぎつい漫画が好きなはずだ、幸せそうな女性を嫌うはずだ、という偏見があるのかもしれない
さとこが親しみやすい女性だからだろうか。でも、さとこははっきりと物を言う大人である
作中、引きこもりの若者や、人生に疲れて居候と管理人補佐をして暮らす青年なども出てはくる
小さな幸せを大事にして浮世をサバイバルする生き方に共感する気持ち、男性社会の抑圧に疲れた心が、みんなにあるのだろうか
現実がこの作品世界のようだったら、社会でもなんとかやっていけそうと思えるからか
絵が優しくて素敵だからか
(イーアイデムの媒体による作者インタビュー)
https://www.e-aidem.com/ch/listen/entry/2022/01/26/103000
パートナーの実家に行く悩み
いわゆる義実家である。
一宿一飯のお世話になるので、高めの食べ物などを事前にお届けしていたが、もうそういうのは要らないきっぱりと言われ、どうしたらいいか戸惑っている。
自分は車の運転ができないし、地方なので外食に行くのも難しい。
世の中には、義実家と仲の悪い人もいると聞く。それと比べたら、優しい、素敵な人達だと思う。
自分は常識的な家庭で生まれ育っていないので、こういう時の当たり前が分からない。
そういう変な奴が、よその家庭にまぎれ込む気まずさがある。相手が怖いのではなく、鏡に映った自分の劣等感との戦いである。
パートナーは自分の家族なので呑気にしている。
結局は、パートナーの顔を親御さんに見せるのがメインのイベントである。自分は邪魔をしなければよい。
義実家へのマナーやエチケットについて、相談できる知人もいない。ネットが頼り…
(気持ちがだいじ。相手にあわせよう)
あと、飛行機に乗って長距離移動するので、日本酒などは携行するのが重くてつらいというのがある。
(誕生日などに、お礼の何か良い物を送ることにする)
漫画「螺旋じかけの海」ネタバレ感想
アフタヌーン掲載時に読んでいたが、医総会の漫画が面白かったので、最終話まで読んでみた。
医師による漫画作品ということで、医療倫理を問うような、医療はどこまでやり、何をやってはいけないのかを問うたり、いかなる経緯で生まれても生物には生きる権利がある、という壮大なテーマだった。
マイノリティでサバイバーの中高年男性の主人公が、気ままに暮らしているようで、いざという時は弱きを助けたり、年下の相棒も、だらしない主人公を時にどつきながらもそばで支え続けるというキャラクターも良かった。弱者で終わらない、勇気ある女性、ガッツのある女性、中年や老年の女性キャラクターも出てくる。
奇形が発現した人への、差別や格差が社会システムに組み込まれているのも生々しかった。
一方で、老年女性からのハラスメントや、同性愛者を憎む女性、兄弟で扱いに差をつける虐待、子に執着する毒親としての女性の描写はきつかった。
最大の悪玉は、不死と出産に狂った父親なのだが…
キメラ、ディストピアのジャンルの名作入りではあると思う。
漫画、SF、動植物などが好き