漫画「螺旋じかけの海」ネタバレ感想
アフタヌーン掲載時に読んでいたが、医総会の漫画が面白かったので、最終話まで読んでみた。
医師による漫画作品ということで、医療倫理を問うような、医療はどこまでやり、何をやってはいけないのかを問うたり、いかなる経緯で生まれても生物には生きる権利がある、という壮大なテーマだった。
マイノリティでサバイバーの中高年男性の主人公が、気ままに暮らしているようで、いざという時は弱きを助けたり、年下の相棒も、だらしない主人公を時にどつきながらもそばで支え続けるというキャラクターも良かった。弱者で終わらない、勇気ある女性、ガッツのある女性、中年や老年の女性キャラクターも出てくる。
奇形が発現した人への、差別や格差が社会システムに組み込まれているのも生々しかった。
一方で、老年女性からのハラスメントや、同性愛者を憎む女性、兄弟で扱いに差をつける虐待、子に執着する毒親としての女性の描写はきつかった。
最大の悪玉は、不死と出産に狂った父親なのだが…
キメラ、ディストピアのジャンルの名作入りではあると思う。