『精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ』
サイモン・ウィンチェスター著、梶山あゆみ訳、早川書房 2019年8月発行

現代社会に精密さは欠かせない。にもかかわらず現代人は「精密」の意味を十分に理解しているだろうか。主に工学の分野で「精密さ」がいかに作られ(ほんの数百年前!)、進化してきたかをたどる技術史の本。終章では日本のセイコーや伝統工芸が紹介される。

たしかHONZで成毛さんが紹介されてたのを見て買ったんだったと思う。最近、ネットで「人類史上、最も精密な装置」といわれるEUV(半導体露光装置)の動画を見かけて、この本を思い出した。

『生成AIパスポート公式テキスト』
生成AI活用普及協会(GUGA)著

「ディープラーニングG検定」とは別のAI系資格試験。こっちも来年受けてみようと思う。技術的な側面よりも、著作権やプライバシー、セキュリティ、ガイドラインなどが重視されているので、おそらく社内の運用担当者あたりをターゲットにしてるのではないかと。少なくとも転職の役には立ちそうにないね。どんな人が受けるんだろう??

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『ディープラーニングG検定公式テキスト』
松尾豊・今井翔太他著、日本ディープラーニング協会監修、翔泳社 2024年5月発行

そういえばここ何年か、資格試験を受けてないな、と思いまして。何か面白そうな資格ないかな、と探してみて、自分の興味分野でもあることから、来年はこれを受けてみようかとテキストを購入。ざっと見たところ、言葉は知っていても理解が曖昧な箇所が多かったので、自分にはちょうど良い試験かと。そもそも資格試験は取得を目指して学習する過程で集中的かつ体系的に知識を得られる点が最大のメリットだと思ってるので、資格自体は仕事の役に立たなくてもよい。むしろ、それでいい。

『憲法 第七版』
芦部信喜著、高橋和之補訂、岩波書店 2019年3月発行

基本書としていつかは読みたいと思っていた芦部憲法。いつかと思っているだけでは読まずに終わってしまうので、古本だけど買ってきた。年末年始あたりに読もう。

『21世紀の歴史』
ジャック・アタリ著、林昌宏訳、作品社 2008年8月発行

20年近く前に出た、21世紀の歴史を予測する本。結構前に買って未読だった。

"ヨーロッパ最高の知性"などと言われるアタリなので多少期待してたのだけど、正直言って「なんだこりゃ」のレベル。エマニュエル・トッドといい、かの国ではこういう人が知性と見なされてるのか。まあ、本邦でも出〇〇〇氏とか佐〇〇氏とか〇〇樹氏がそう言われているので似たようなものなのかもしれない。

議論は粗雑だし、明らかな嘘も書いてある。例えば「ブッダはヒンズー教という古い教義が支配する地域での布教に捧げた」とあるけど、ヒンズー教が出てきたのは仏教の100年も後なのは高校生でも知っていること(バラモン教と勘違い?)。注釈くらい入れないと不親切では。ただ、世界史の資料を調べたりAIと戯れて検証しながら読んでいくのは楽しかった。

「21世紀の予言の書か、それとも妄言の書か」と言われると、後者だろうなと思う。

『グイン・サーガ 11 草原の風雲児』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1982年9月発行

表紙はスカール。レムスがパロ奪還のためにリンダとともにアルゴスを出立。グインは己自身を探しに北方へ、イシュトヴァーンはリンダとの約束を胸に南方へと向かう。物語冒頭からいっしょだったメインの4人がここで別れる。一方、草原の風雲児スカールは、2万の軍勢を率いて、誰も夢想だにしなかった奇策、天山ウィレン山脈を突っ切るルートを進む。この巻から「第三部戦乱篇」なのだけど第二部の続きなので16巻までひとまとめにした方がよかったんじゃないかなー。ともあれクライマックスへと向かうワクワク感がすごい。

『グイン・サーガ 10 死の婚礼』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1982年5月発行

表紙はナリス様とアムネリス。戦勝国モンゴールによって強いられた婚礼。そのさなかに新郎ナリスは暗殺される。影武者とわかっていても心臓に悪い。騒然とするパロ占領軍に、追い打ちをかけるようにモンゴールのミアイル公子暗殺の方が届く。悲嘆に暮れるアムネリスはトーラスへの帰路につく。次からいよいよパロ逆襲のターン。随所に描かれるパロの豪奢がすさまじい。中世的な世界とはいえ、もっとも文化的に洗練された国というのはそのくらいでないとね。

『グイン・サーガ 9 紅蓮の島』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1981年12月発行

表紙はモンゴールのミアイル公子。天使のように無垢で優しく、義兄と慕うパロ公子の謀略で殺されなければならなかった子。その刺客に使われ、それゆえに母国パロからの離反を決意するマリウス。そのマリウスに関わる、この後も度々登場することになる宿屋兼居酒屋の《煙とパイプ》亭。この店はパイ皮をかぶせて焼いた壺入りの羊のシチューが絶品なんですよね。パイ皮を熱々の壺入りシチューにかき落としたのをフウフウ吹いて食べるの。トーラス名物。美味しそうな食べ物に事欠かないグインサーガの中でも屈指の人気料理。グインサーガの魅力の一つは、王侯貴族や将軍や大魔道士など世界を動かす人びとだけではなく、下々の庶民の生活や文化風俗も丁寧に描いているところだと思う。

『組織デザイン』
沼上幹著、日経文庫 2004年6月発行

言うまでもなく組織をどうデザインすれば良いかの最適解は組織ごとに異なるし時期によっても方向性によっても変わってくる。そこで組織デザインの基本論理・基本原則を学ぶ必要が出てくる。情報処理技術者試験でもマネジメント分野で組織論の基本が出てくるけど、ごく表面的な知識が問われるだけ。もう少し詳しく学びたいとなったら、この本が最適なのでは、と思った。日経も基本書として推しているようなのに、近所の書店はどこも置いてなかった。

『小説を書く人のAI活用術』
山川健一・今井昭彦・葦沢かもめ著、インプレス 2024年10月発行

生成AIに小説を書かせるとなぜかつまらない、毒にも薬にもならない文章が出力される。コツを掴めればそんなこともないんだけど、どうやって小説を書かせたらいいか、小説作成のアシストにどう使えばいいか、本書に掲載された具体的な例が参考になると思う。文系人間の多くは具体例の多くから帰納的に学びやすい傾向があるので、興味のある初心者にはこういう本は参考になると思う。

で、この本、先月発売されたところなのに、なぜか読んだことがある? よく見たら、Kindleで公開されていた『ChatGPTで小説を書く魔法のレシピ』の加筆修正版だそうな。そっちで読みづらかった部分も改善されていけど、多くの部分は最新情報へのアップデートなので、Kindle本を持ってれば改めて買わなくてもよさそう。

『公務員試験新スーパー過去問ゼミ 文章理解・資料解釈』
実務教育出版 2020年9月発行

古本屋に行くと少し前の公務員試験本が新品同様なのに200円とか300円とかで売ってる。まさか公務員を目指すわけはないけど、「数的推理」「判断推理」「文章理解・資料解釈」は時々買って楽しんでる。頭の体操と自分の頭脳のチェックに使えるから。このうち、文章理解は「現代文」「英文」「古文」を、資料解釈は「数表」「グラフ」その他にわかれる。表やグラフの解釈は社会人にとっても有用なはず。文章理解は大学入試ほど難しくないので頭の体操に良い。あと、思わぬ名文に巡り会えたりする。

『iPadショック』
林信行著、日経BP社 2010年6月発行

初代iPadが日本で発売されたのは2010年5月。当時の日記を見ると5月10日に予約し5月28日に受けとったようだ。日本でのiPad発売とほぼ同時に出たこの本は、iPadが世界に与えるであろう影響を数多く取り上げている。著者はアメリカで先行販売されたiPadを使い込み、多くの人にも使わせた上で、iPadがどのように使われていくか、様々なシーンを想像する。そこから15年近く経ってみると、やはりiPodやiPhoneほどのインパクトはなかったように思う。当時予測できていなかったのは、スマホが大型化してタブレットPCのニーズを多く取り込んでしまったことだろうな。当時のiPhoneは画面が小っちゃかったものね。

『オカメインコに雨坊主』
芦原すなお著、文藝春秋社 2000年8月発行

画家である主人公は、たまたま乗り間違えた汽車に乗ったまま終点まで来てしまい、そのまま山間の小さな町に住み着いてしまう。小学生の女の子とおばあさんが住む家が下宿先。汽車が一日に一本しか走っていないような、おそらくは昭和30~40年頃の、ひなびた田舎町で起きるSF(すこし不思議な)連作短篇集。ネコのミーコやアイルランド人英語教師、製材会社社長さんらとの心温まるふれあい。今よりもずっと、大いなる自然と超常の存在が身近だった時代。細やかな優しさと不思議な懐かしさを覚える読後感。

『発展コラム式 中学理科の教科書』
滝川洋二・石渡正志編、講談社ブルーバックス 2014年4月発行

ニュートン誌を定期購読してるから中学理科なんて楽勝、などと一瞬思ってしまった。そんなことないです。義務教育の、中学教科書の内容すら、とりわけ苦手分野はよく理解できてないのを痛感。内容はとてもわかりやすい。短いコラムの形なので、スキマ時間で読み進められる。それにしても、義務教育の範囲というのは現代社会で必須のものが厳選されているんだな、というのは強く感じた。

『すでに起こった未来』
P.F.ドラッカー著、上田敦夫他訳、ダイヤモンド社 1994年11月発行

未来予想はできない。しかし社会や経済における出来事とそれがもたらす変化にはタイムラグが生じる。少子化が進むと学校の入学者数が変化し、その十数年後には労働力人口にも波及するように。ドラッカーはそういった変化を「すでに起こった未来」と呼んだ。

"重要なことは「すでに起こった未来」を確認することである。すでに起こってしまい、もはやあとに戻ることのない変化、しかも重大な影響力をもつことになる変化でありながら、まだ一般には認識されていない変化を知覚し、かつ分析することである。"

40年以上にわたって書かれた論文集。

『社会言語学入門 改訂版』
東照二著、研究者 2009年10月発行

本書を目にするまで「社会言語学」という分野があることすら知らなかった。夕方ブックオフに立ち寄ったとき、ふと棚を見るとこの本が「買って!買って!」と呼んでいたのだ。経験上、そういう本は現在もしくは近未来の自分が必要とする確率が極めて高い。

で、社会言語学は、従来の主流言語学のように言葉を社会や文脈などの外的要因から切り離して言語を調べていくのではなく、言語が社会的な文脈でどのように使われ、変化し、影響を受けるかを分析していく。なぜ友達と話すときと上司と話すときで言葉遣いが変わるのか、なぜ地域によって言葉のアクセントや言い回しが異なるのかといった、言葉の多様性や変化を、社会的な視点から解き明かそうとするのが社会言語学、らしい。面白そう。

『グイン・サーガ 8 クリスタルの陰謀』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1981年10月発行

表紙がナリス様!グインサーガの絵師は何度も交代したけど、私は初代の加藤直之氏の絵がいちばんしっくりくる。海に落ちたグインは無人島で一行と再会。海賊たちに追われる中、謎の生物と宇宙船とに遭遇する。このあたりの伏線は100巻を超えても回収されていない気がする。徐々にイシュトヴァーンに惹かれはじめるリンダ、少しずつダークサイドに落ちはじめるレムス。これらもやがて中原全土を巻き込む騒乱の種火となる。

『グイン・サーガ 7 望郷の聖双生児』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1981年7月発行

ノスフェラス、草原、レントの海、国境、パロ。いくつものストーリーがそれぞれの場所で展開し、ヤーンは運命の糸を紡ぐ。最後の主役級、マリウスが登場。まだこの頃は兄ナリス様の手先だったんだなー。これまで控えめだった魔道が活躍しはじめる。物質転送の古代機械、墜落して大爆発を起こす宇宙船、ロスの海に出現する潜水艦らしき船など、超科学の断片も出てくる。戦乱の予兆をはらみつつ、皆が一路パロ、クリスタルを目指す。

『グイン・サーガ 6 アルゴスの黒太子』
栗本薫著、ハヤカワ文庫 1981年5月発行

前半は辺境篇のエピローグ、後半はノスフェラスから離れ舞台は中原パロに。表紙は草原の国アルゴスの黒太子スカール。主役級としてはもう一人、才色兼備の宰相、パロのクリスタル公アルド・ナリス様もこの巻から登場する(どうしても様をつけてしまう…)。まったくの正反対であるスカール太子とナリス公。これで主役級としては残すところあと一人となる。アルゴスはモンゴルあたりが、パロはフランスがモデルだったと思う。第二部「陰謀篇」スタート。

『コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー』
キャシー・クレイマン著、羽田昭裕訳、共立出版 2024年7月発行

今のコンピューターの元祖と言えるENIAC。1946年に誕生したENIACの開発に大戦中からかかわり多大な貢献をしたにもかかわらず無名となっていた6人の女性エンジニアがいた。たしかに当時のENIACの写真には女性が写っていたのを知ってたけど、本書の著者が調査するまで名前すら忘れられていたとは。現代のコンピューティング環境とはまるで異なる電子計算機黎明期に活躍した6人の女性エンジニアの伝記。

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