90年代はじめに生まれ、本店のある名古屋に育った者の実感として、ヴィレッジヴァンガードがなにかの対抗文化であったとすれば、それは戦中戦後の区画整理が過剰に成功してしまった名古屋という都市空間に対してのそれだったように思う。はじめからジェントリフィケーションの完了していたかのような90年代から00年代名古屋の無機質な不気味さについては矢部『夢みる名古屋』で活写されている。
モビリティの合理性に全振りし、まったくヒューマンスケールではない町において、あのような雑然とした遊歩の空間はそれだけで息のしやすさを差し出してくれた。
コメカブログを更新しました。
ヴィレッジヴァンガードと、アイロニーの問題
https://comeca.hatenadiary.org/entry/2024/01/28/190313
“ ルールというのは融通が利かなくて初めて意味をなす。杓子定規な手続きを頑なに守り通すことを「お役所仕事」と揶揄するけれども、臨機応変に対応してくれる柔軟な「お役所」ほど恐ろしいものはないと僕は思う。柔軟性に欠けた愚直さは、人びとを抑圧するためにあるのではなく、むしろ、恣意的に人々を支配しようとする権力の暴走を防ぐためにこそ必要だからだ。そう思っているからこそ、この数年の政治が目的達成のためには手続き上の瑕疵は問題にならないというモーレツ社員的な、およそ近代国家の洗練からはかけ離れた世界観で駆動しているようでひどく恐ろしい。ビジネスマン感覚の権力者にアジャイルでエンハンスされる世の中が、いいものになるとは思えない。自社や自部門の利益を最大限追求することや、ステークホルダーのニーズに素早く応えることは、それこそ私企業の仕事であって、政治家のやることではない。”
柿内正午『プルーストを読む生活』(H.A.B) p.475-476
今月から一年間、「週刊読書人」で文芸時評を担当します。
https://jinnet.dokushojin.com/products/3522-01_12_pdf
紙幅の都合で収まりきらない部分をニュースレターでも配信していくつもりです。こちらはタダで読めます。どうぞ〜
https://akamimi.substack.com/p/edf?r=1n8tfp&utm_campaign=post&utm_medium=web
初めてプロレスを観戦した日記です。
https://akamimi.shop/?p=3439
かきないしょうご。会社員。文筆。■著書『プルーストを読む生活』(H.A.B) 『雑談・オブ・ザ・デッド』(ZINE)等■寄稿『文學界』他 ■Podcast「 ポイエティークRADIO 」毎週月曜配信中。 ■最高のアイコンは箕輪麻紀子さん作