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KCI(京都服飾文化研究財団)の広報誌「服をめぐる」24号、「一人一品」が歌人の大森静佳さんで、選ばれた三点の収蔵品と短歌によるイメージの膨らみがすばらしいです。
1810年頃の乗馬服に添えられた歌がすごい…
〝青空の底を駆ければいれかわる馬の瞼とわたしのまぶた〟――

久山宏一訳 芝田文乃訳 スタニスワフ・レム著『捜査・浴槽で発見された手記』(国書刊行会)を、訳者の芝田文乃さんから頂戴しました。『捜査』は持っていたのですが、『浴槽で発見された手記』は手に入らず、図書館にもなく、長年読みたかった作品なのでした。ありがとうございます。すごく楽しみ。解説は沼野充義さん。3月11日頃発売だそうです。

夏来健次編訳『ロンドン幽霊譚傑作集』(創元推理文庫)を頂いて読み終えたのですが、どうして訳されてなかったの…! と驚くくらい面白かったです。著名なウィルキー・コリンズから、準男爵で法廷弁護士の唯一世に出た創作まで、ヴィクトリア朝に書かれたロンドン舞台のゴースト・ストーリー全13篇中、12篇が初訳。語り口の良さで、どれも引き込まれました。

どれも面白いのですが、何百年も絵の中に潜み、再び自分の存在に気づいてくれる相手を待ち続けた女性との束の間の愛を描く「黒檀の額縁」や、出版社社長の元を訪れる幽霊となった女性作家のキャラ立ちがよすぎて笑ってしまう「シャーロット・クレイの幽霊」など印象的でした。あと特異なのが、姿の見えない、でも実体のある幽霊が現れ取っ組み合う「ウェラム・スクエア十一番地」で、描き方が正に透明人間なんですね。面白い…。

現在『るん(笑)』のKindle版が〝このタイトルは現在ご購入いただけません。〟となってますが、配信がなくなったわけではなく、システム障害による一時的な現象のようです。

三月三日は上巳の節句ですが、『奏で手のヌフレツン』には初歯(ういし)の節苦や、五月(いつき)の節苦、腿(もも)の節苦など、痛みに関する儀式がいろいろ出てきます。痛みに耐えるほど苦徳(くどく)が高まると考えられている世界です。よろしくお願いします。
QT: fedibird.com/@dempow/111459371
[参照]

酉島伝法  
『奏で手のヌフレツン』の見本ができました。むちゃくちゃ格好いい……! 装丁は川名潤さんが手掛けてくださいました。太陽が歩いて巡る空洞世界に住む人々の、数世代にわたる物語です。河出書房新社より12月4日頃発売。

ダムで沈められる前に、言葉を沈められてるんですよね……

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マルコ・バルツァーノ著 関口英子訳『この村にとどまる』(新潮クレスト・ブックス)、素晴らしかった……! 家族や村の過酷な運命を遠くにいるはずの娘への手紙として書かれた物語で、その語りかけるような言葉はページごとに書き写したくなる表現に満ち、最後まで引き込まれ続けました。

舞台は北イタリアのチロル地方の、ダム湖に沈んだ実在の村(徹底した取材を行ったそう)イタリアのファシストたちに母語を奪われるなか、ダムの建設計画が立ち上がるも、そんなこと起きるわけがない、と一部の村人以外は誰も気にとめない。ファシストから解放してくれるかに見えたナチスは移住政策を行って村人を分断していく。戦争が終わった後も、ファシストと変わらぬ企業がダム事業を蘇らせて強行しようとし――そんな激動のなか、語り手の女性は静かに抗い続ける。

言葉の持つ力と無力さが綯い交ぜになったような大きな余韻のなか、読者である自分もまたその渦中にいることを気づかされます。

堀晃さんの最近の日記を読んでたら、「梅田地下オデッセイ」の舞台を堀晃さんと歩く企画が行われたらしい。
sf-homepage.com/mad-j.html

これは以前、漫画『スティーブズ』原作の松永肇一さんが作ってくれた、『皆勤の徒』タロットカードです。

電子版のみですが、『皆勤の徒』設定資料集『隔世遺傳』もございます。

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もし「皆勤の徒」短編版がお気に召しましたら、空から無数の生き物が降ってくる学園ものや、昆虫ハードボイルド、もふもふ隊商ものが連作短編として加えられた文庫版『皆勤の徒』もぜひ。
QT: fedibird.com/@dempow/111979766
[参照]

酉島伝法  
「東京創元社 短編SFはおもしろい!」という電子書籍の100円均一セールが主要電子書籍サイトで行われています。わたしの作品では「皆勤の徒」短編版と「黙唱」が対象です。3月7日まで https://k-kinoppy.jp/tokyosogensha/SF64_240223/web/

勝山海百合さん翻訳のオガワユキミさんの短編「さいはての美術館」が掲載されているのですが、扉絵が『金星の蟲』装画のねじれさんで、すごくいい…。

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『SFマガジン4月号』の特集は「BLとSF2」(監修 瀬戸夏子 水上文)。書評コーナーでは、あわいゆきさんが『奏で手のヌフレツン』について書いてくださっています。〝読者の固定観念を鮮やかに覆す球地の世界観〟連載第47回となる「幻視百景」では、ある惑星の希少な生き物を描きました。

伊達聖伸 木村護郎クリストフ編『世俗の新展開と「人間」の変貌』(勁草書房)をお送りいただきました。目次を見ただけで、ちょうどいま関心のあることにつながるテーマがいろいろ。

小川公代さんが、『クララとお日さま』『her』『オーランドー』などかから、「ポストヒューマンとAI少女」というテーマに迫っておられ、書くことにおける流動的な自己についての考察が興味深かったです。 [添付: 5 枚の画像]

「皆勤の徒」短編版の方は、挿画集や「社長」や「外回り」のペーパーパペットとかもついてくる(切り抜いて作らないといけませんが)。

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「東京創元社 短編SFはおもしろい!」という電子書籍の100円均一セールが主要電子書籍サイトで行われています。わたしの作品では「皆勤の徒」短編版と「黙唱」が対象です。3月7日まで

k-kinoppy.jp/tokyosogensha/SF6

他には、意識転送中の五人が密室で消える事件と、違法な意識転送で犬となって駆け回る少女たちの話が、伝説の白狼とつながる表題作、15歳になると自らの出生を事後選択できる社会を描くアクチュアルな作品「十五までは神のうち」、仮想世界のAIたちが夢でつながる、歩く死体の跋扈するアメリカ「さよなら、スチールヘッド」

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松樹凛さんの初作品集『射手座の香る夏』(東京創元社)をお送りいただきました。第12回創元SF短編賞受賞作を含む4篇収録。解説(松樹さんへのインタビューも)は飛浩隆さん。私が特に好きなのは、イタリア南部で少女が9つの影を持つ少年と出会う幻想小説「影たちのいたところ」2月29日発売

宮内悠介さんから『国歌を作った男』(講談社)をお送りいただきました。『ラウリ・クースクを探して』の元となった表題作や、ベトナム戦争時に開高健がSNSで炎上する話など13篇。著者あとがきも収録。楽しみです。

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