イグニスカリブンクルス
▼ED前まで
言葉もない……
確かに、彼の生い立ちと過去を考えれば、避けられない道ではあるのだけど、でも人……、肉か……という……
いや、最初「なんかめちゃくちゃ気合の入ったバッドエンドだなあ」と思っていて、あまりにエンディングに辿り着かなくて頭を抱えてしまった
イグニスカリブンクルスさんの望む「分厚いステーキ」の意味が変わってきちゃう……
ただ、人間以外の種族と向き合うとはこういうことだ、と初回に突きつけられたのはよかったと思う、一周目でこのインパクトだと次も頑張れるかもしれない
料理の手間隙に心を動かされたひとが、実際は貪り食うだけでいいとか、それこそ彼が肉を好む理由とか、ちいさな親切が世の中を動かす展開とか、いいところも多くあった
ドローミくんさんはあまりにもくそやろうでしたが、読み手が最初から犯人をわかっていても、発覚から更なるくそやろう描写ができるのだなあと感心してしまった
彼の終盤の立ち回りはかなり上手く、あの厳しい世界でこうして生き延びてきたのだとわかる、しかしくそやろうでした
ただ組織内に手引きした人間が絶対いると思う、凛堂さん辺りで扱いがあるかなあ
コロロがいなければ心が折れていた
カヌスエスパーダ
真面目でやさしく親切なひとが求める「(自分のために)変わらずいてほしい」「(自分の)理想を崩さないでほしい」がすごく傲慢で、相手をひとりの人間とは認めておらず、それが腹立たしいと同時に、その落差にはちょっと痺れた
琴音ちゃんは基本的に、周り(特に魔王さま)から「君が決めて」と促されるけれど、決めた結果受け身に回ればバッドエンドだし、がっかりしたような顔をされることもある
カヌスルートで明らかになった、彼女が「先代マスターの店を大切にしようと努力している」から好意的なのだという現実は、あれだけ丁寧に描かれていた共通ルートが、ただ彼らと「親しくなった」だけに過ぎないと言われているようで、それが悲しくて、そして好きだった
魅力的なのはヴェンニーアで、彼が数百年かけて募らせた思いや、そのために捨てた情、けれどそれが恐らく深い信頼から来ていること、彼はとても人間らしくて好ましい
カヌスエスパーダに対し「私を見なさい」と詰め寄る琴音ちゃんが格好よくて、このルートは彼女に惚れるためにあった気がする
あとやっぱり結論「外来種ダメ絶対」なのでは
凛堂香
ずっと「42歳……」と「私服……」に頭を占められて、物語にあまり入り込めなかった(私服……)
「異世界、人外、喫茶店。」に並ぶ人間キャラがあんなことになるとは思っていなかった、というのも凛堂さんは隠れ人外なのかと予想していた(人間を強調するので疑っていた)から驚いた
このルートも尺が足りていなかったと思う
凛堂さんと琴音ちゃんの距離が縮まり、それが恋愛感情だと気付き、年齢差の問題が出てきて、人外化の苦しみがあり……やはりもう少し描写の余裕があればなあと残念に思う
読解力の問題かもしれないけど、結局なぜ親子ほどの年の差があったのかはわからなかった
最終的に人外との関係になるからだとしても、二回り下の少女に惹かれたのは四十代の人間なので、その時点でだいぶきつい
生きる時間が変わってしまうのなら、年齢差があってよかったのかもしれない、という答えに辿り着いていて、ずっとそれらしい理由や事情が出てくるだろうと思いながら読んでいただけに、……
イルファドデリエ
まさか乙女ゲーム内乙女ゲームに恐怖を感じることになるとは思いませんでした
イルの見せていた綺麗な部分が偽りだったとわかり、理解の及ばないものを恐れて拒み、感情を消し去って、取り戻してまた失う、彼のルートは長い螺旋階段を上っているような物語で、とても濃密でした
共通や他ルートで抱いていたイルへの薄い違和感が、徐々に確信に変わっていき、でもその中身は予想より過酷だった
失ったものが蘇ったのだから、穏やかな日常が戻ってもよさそうなのに、さらに試練は続く……途中で今が何章か確かめてしまいました(ずっと3章だった)
好きな作品のキャラクター『イル・ファド・デ・リエ』の模倣だというけれど、あんなに嬉々として乙女ゲームを語るところさえ彼ではなかったのかな……だとしたら『イル・ファド・デ・リエ』がとても面白い人物になってしまうけれども……?
助手くん、ソリトゥスがよかったなあ
だんだん声に抑揚があらわれて、このひとは(天使にしては)とても感情的なのではと思っているうちに、イルの事情がわかっていく、という流れが面白かった
実はバッド? ノーマル? EDの彼が魅力的で好きでした
ミシェルアレックス
「ミシェル・アレックス」が「魔王」とは、という疑問を抱きながら読んできたアンシャンテ、その結末があれで放心している
いや、確かに「異世界、人外、喫茶店。」に沿った人外との恋だったし、正しい、正しいけど……
何度も「世界でいちばん」とか「全世界で」などと強調されるとは思っていたけれど、全世界でいちばん好き(な世界)になるなんて思わなかった……世界とは……
どのエンディングでも琴音ちゃんは相手と同じ時を生きられないとわかって、例外はなく、その越えられない種族の差はいいなあと思いながらも
ミシェルアレックスルートは後半彼の体力ゲージにはらはらしながら見つめる辛いお話だった、どんどん血が出るし……
情報の少ない魔界、軽いノリの魔王、魔王の顔を知らないらしい人たち、魔王を名乗る者の出現、魔王城を知らない魔王(仮)と、だんだん解けていく謎に驚かされつつ、面白いなと思っていると、更に言葉を失う正体に、明かされる途方もない昔話、大きすぎて重たくて読んでいて大変だった……
ミシェルアレックス
ミシェルアレックスと凛堂さんが対というか、たとえば、大切な人と出会った/失ったとか、いろんなものへの興味/最低限の生活とか、人間になりたかった/人外になりたくなかったとか、正反対に置かれていて面白かったし、だからこそミシェルを叱る場面では少し泣けてしまった
大団円としては、やはりイルファドデリエさんの決着はとてもよくて、カヌスエスパーダさんもなかなか、ということで、イグニスカリブンクルスくん……
(危機が目前に迫っていたとは言え)あのやりとりでなんとか収まってしまうドローミくんさんを見て、じゃあイグニスカリブンクルスルートとは何だったのだろう、とずっと考えている
灰のアンシャンテが崩れて、新しいマスターが店を受け継いでいくのはよかったけど、やっぱりあのアンシャンテの内装が好きだったから、世界になってしまったのは残念だなあ……
心を、魂を救われたから、魂を救いたい、というのはよかったと思っていて、あの過程ならあの結末になるのも、理解はできているのだけど、受け止めるには少し時間がかかりそう
ミシェルアレックス
珈琲がいちばん好きだと言って、いつも珈琲ばかり飲んでは、琴音ちゃんの苦くて泥みたいな珈琲も美味しくて、世界でひとつだけの味を初めて飲めることに言葉を失う、それらが何故そうだったのかわかった時の驚きと、嬉しさと、最悪な状況への辛さと、いろいろな気持ちが湧いた
彼が好む珈琲の香り、紙の本の手触り、最後までじっくり聞くことができる物語や、魔法の仕掛けが繊細な鍵盤であることなどを、彼の本当の姿と比べると、アンシャンテでの十数年がどれだけその心を慰めていたかと想像する
草庵さんの店はおそらく彼を癒しただろうけれど、琴音ちゃんのいる場所こそが大事だったから『幻奏喫茶アンシャンテ』はあのような形になったのかなあと思う
アンシャンテ
現在地:ボールペンおじさんまで
プロローグから面白くてすでに満足している
登場人物の第一印象が全員いろんな方向に悪いのも珍しいと思います
明らかにわかりやすい好みをしているわたしがどうなるか楽しみです