ミシェルアレックス 

「ミシェル・アレックス」が「魔王」とは、という疑問を抱きながら読んできたアンシャンテ、その結末があれで放心している
いや、確かに「異世界、人外、喫茶店。」に沿った人外との恋だったし、正しい、正しいけど……
何度も「世界でいちばん」とか「全世界で」などと強調されるとは思っていたけれど、全世界でいちばん好き(な世界)になるなんて思わなかった……世界とは……
どのエンディングでも琴音ちゃんは相手と同じ時を生きられないとわかって、例外はなく、その越えられない種族の差はいいなあと思いながらも

ミシェルアレックスルートは後半彼の体力ゲージにはらはらしながら見つめる辛いお話だった、どんどん血が出るし……
情報の少ない魔界、軽いノリの魔王、魔王の顔を知らないらしい人たち、魔王を名乗る者の出現、魔王城を知らない魔王(仮)と、だんだん解けていく謎に驚かされつつ、面白いなと思っていると、更に言葉を失う正体に、明かされる途方もない昔話、大きすぎて重たくて読んでいて大変だった……

ミシェルアレックス 

ミシェルアレックスと凛堂さんが対というか、たとえば、大切な人と出会った/失ったとか、いろんなものへの興味/最低限の生活とか、人間になりたかった/人外になりたくなかったとか、正反対に置かれていて面白かったし、だからこそミシェルを叱る場面では少し泣けてしまった

大団円としては、やはりイルファドデリエさんの決着はとてもよくて、カヌスエスパーダさんもなかなか、ということで、イグニスカリブンクルスくん……
(危機が目前に迫っていたとは言え)あのやりとりでなんとか収まってしまうドローミくんさんを見て、じゃあイグニスカリブンクルスルートとは何だったのだろう、とずっと考えている

灰のアンシャンテが崩れて、新しいマスターが店を受け継いでいくのはよかったけど、やっぱりあのアンシャンテの内装が好きだったから、世界になってしまったのは残念だなあ……

心を、魂を救われたから、魂を救いたい、というのはよかったと思っていて、あの過程ならあの結末になるのも、理解はできているのだけど、受け止めるには少し時間がかかりそう

ミシェルアレックス 

珈琲がいちばん好きだと言って、いつも珈琲ばかり飲んでは、琴音ちゃんの苦くて泥みたいな珈琲も美味しくて、世界でひとつだけの味を初めて飲めることに言葉を失う、それらが何故そうだったのかわかった時の驚きと、嬉しさと、最悪な状況への辛さと、いろいろな気持ちが湧いた
彼が好む珈琲の香り、紙の本の手触り、最後までじっくり聞くことができる物語や、魔法の仕掛けが繊細な鍵盤であることなどを、彼の本当の姿と比べると、アンシャンテでの十数年がどれだけその心を慰めていたかと想像する
草庵さんの店はおそらく彼を癒しただろうけれど、琴音ちゃんのいる場所こそが大事だったから『幻奏喫茶アンシャンテ』はあのような形になったのかなあと思う

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