例え、どんな人混みの中でもハンはルスを見つけることができますよね。「よく分かったな」もう今日は会えないなと早々に諦め、LINEを立ち上げて先に帰ると送ろうとした矢先、「見つけた」と安堵した様子の男に目を瞬かせると「当たり前だ。どれだけお前を見ていたと思ってる」とルスの手を握るハン。
多分、服の趣味を変えたり、着ぐるみを着たりと顔が見えず背格好が違うとしても、それがルスだと分かるし「この俺がブラッドりー・ルーすター・ブラッドショウを見間違えるわけがない」ルーすター検定があれば一級はとれる、と爪楊枝を得意気に回すようなハンはいてくれ。(あんたの彼氏、あんたのこと好きすぎない?とフェニに眉を顰められるまで)
ハンルス ルスのお誘い
俺たちはまだ付き合いたてだし、今はベットを共にするよりも、お互いをよく知る時期だ。と曰く今日で3ヶ月記念日だなと浮き足立った様子で口にするハンに普段の言動と照らし合わせ、随分と良識のあることを言うじゃないか、と思う。が、それはそれとして、だ。「俺さ、実は今日、かわいいパンツを履いてる。とっておきの、」「と、とっておき?」「お前のために買ったやつ」そう膝の上にのっしと腰を下ろせば、男の喉が音を立てて上下に動いた。俺も35歳の健康な成人男性なわけ。3ヶ月も待たされた身体はムラムラを通り越し、今や導火線に火がついている。''ゆっくり''なのはどっちだよ。彼の両手は膝に乗っている俺を支えるため、腰に回されてから微動だにせず、押し返してはこない。それを良いことに鼻先まで顔を寄せた。「見てくれないの?」鼻と鼻を擦り寄せながら、同じリズムで明らかに芯を持ち始めているペニスをズボン越しに撫でる。「sir、前言撤回しても宜しいでしょうか?」「宜しい、好きにしたまえ」言うが早いか、唇が合わさった。「言っておくが、これは我慢しきれなかった俺が悪い。お前の所為じゃない。痛かったり嫌だったりしたらすぐに言えよ」息継ぎの合間に息を荒げるもこれだけは言っておく、と必死に添えられた言葉に良い男だなと俺は笑った。
「あのさ、髪、切った?」「う、うん」「そうか…」待ち合わせ場所で佇んでいたルスが、見慣れたアロハ姿、ではなく随分と洒落た、セミフォーマルなスタイルをしていた件について。俺が今、家だとしたらだれかにこの思いの丈をぶちまけたくて、そんなスレを立てるような浅はかな行動に出ていたかもしれない。よかった。外で、とハンは平常心を装「へ、変か?その、お前は何時も素敵な格好をしてきてくれるからさ、調子に乗ってみた」「オーバーキルなんだよ」えるわけがなかった。どうしてコイツは俺の心を鷲掴みにするようなことを次から次へと言えるんだ。殺す気か?「つまり、俺の為?」「まあ、つまりはそうです、はい」「はあ〜〜〜似合う。すんごく似合う。撃墜だ。だから、俺の家に行こう」今すぐにでも抱きたい、意図を持って指と指を絡ませれば、おずおずと握り返してくるその手の熱さに眩暈がした。今日もルスがかわいい。
出先で普段は素通りするような某ブランド店のディスプレイに目が吸い寄せられる。行儀よく並んだ黒皮の手袋。衝動的に財布を取り出した。4Kゲーミングをメインとしたグラフィックボードと同等ぐらいの金額だったが「似合うか?」と呆れ顔ではめてくれたケイン少将を見たらお釣りが来たミークくん。
「クソ野郎」なハン(と)ルス
「人のいちばん嫌がる方法を熟知してやがる。そのよく見える目で何を見てるんだ。そのよく回る舌も嫌味か楊枝を舐めるだけに付いているのか?それでお前は俺が好きだって??出会ってこれまであんな風に絡んでおいてか?ふざけるな、ふざけんなよ」本当にお前はクソ野郎だよとひと息で言い切る恋人に、「もっと言ってくれ」pleaseと叩き付けられる激情に背筋を震わせる。ルスは「ふぁっくゆー」と悪態を吐き捨て、言うが早いか、自分の唇に噛み付いてきたハンの背中に手を回し「くず」「ああ」「ばか、あ、ッひ」「うん、そうだな」「そう、だな、じゃ、ンッない」「あいしてる」規制音が入るような言葉の汚さとは裏腹にひどくやさしいちからで抱き寄せた。そこから先は積年の恨みも柵もなく、ただふたりの男が丸裸なり、ひたすらお互いを貪り合うだけだった。言葉では本当に大切なものは覆いきれず、残ってしまったものをそうして補うように。
成人済。映画を観ます。ゲームもします。好きな物を好きなだけ。たまに字書き。shipper。すてきなヘッダーとアイコンはnohoさん(@nohohonbito)