出先で普段は素通りするような某ブランド店のディスプレイに目が吸い寄せられる。行儀よく並んだ黒皮の手袋。衝動的に財布を取り出した。4Kゲーミングをメインとしたグラフィックボードと同等ぐらいの金額だったが「似合うか?」と呆れ顔ではめてくれたケイン少将を見たらお釣りが来たミークくん。

「桁がズレてないか?」その値段に吐き出した息が、ため息と同じ重さに聞こえる。引かれた?ケイン少将の反応に自分から空気が抜け、しゅるしゅると萎んでいく気がした。「普段は使えんな」(冬のある日、ブルードレスを纏った彼の手を黒皮の手袋が包んでいるのをみて頬を赤くしたミークくんはいます)

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そうして一年に二、三回、特別な日にとっておきの手袋をはめるようになったケイン少将、(実はミークくんと会う時にもはめているが、まだ彼はその意味に気付く様子はなく、ただ無邪気に喜ぶ姿に目を細めている)

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