日記:生活雑貨等の店に、インテリアやアートの大判本やZINEが置いてあった。たとえばシンガポールの公共のゴミ箱や、穴とフックやらを観察したAtelier HOKOの《Street Report》シリーズとか。
https://www.printedmatter.org/catalog/62000/
このシリーズ以外に、友人にあげたい紐とじのZINEを見つけたので購入する。
李龍徳「反男性」と、特集外の王谷晶「蜜のながれ」の主人公はいずれも、世渡りのために男性性の使いかたに気を配らねばいけない現代において、周囲から男性性の行使について口を出されるそこそこ権威ある芸術家の男だった。両作者ともテーマによっては優れた作品を書くだけに、今作は相対的に評価は下がる。こういう感じの年配男性のズルさ、鈍感さ、行き詰まりへの“憑依”はもう一歩深くあって欲しかった。シミュレーションした小説には細部までリアリティが詰まっていると嬉しい。
長井短「存在よ!」はホラー映画の現場で雑に扱われる無名の芸能人と、現場にいた幽霊の女ふたりが交流する話。耐えるばかりではなく、できる範囲で変えていこうとするポジティブさが好ましい。一方で予想を大きく上回る展開はないため、もう少し長さが切り詰められていても良いように思った。
https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309980652/
『文藝 2024年春季号』は特集:バルクアップ! プロテイン文学。人工筋肉の装用が当然となった社会の学校で使用済み筋肉の盗難が起こる円城塔「植物性ジャーキー事件」は社会の描写がわかりやすく丁寧でおかしい。児玉雨子「跳べないならせめて立て」は肉体を思うがままに使い、作り替える喜びと、トレーニングに熱狂する人たちが単一の種族と化していくうっすらした不穏さとおかしみを描く。
#出版社からもらった本
https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309980652/
呉勝浩『Q』(小学館)では、主な語り手「わたし」ことハチが出生時に女性と割り当てられているものの男性的な装いや髪型をしていて、作中で具体的なアイデンティティのラベルが出てこないし、出版社による登場人物紹介でもジェンダーを示さないよう回避されています。冒頭を読んで、もっと凶悪に暴れるのか、バイセクシュアリティが描かれるのかと思ったものの、どちらも荒んだ過去の話で現代パートでは踏みこまれませんでした。でも終盤でアクションヒーローではあったし、主体的に支配者を打ち破りはします。あとコロナ中の暮らしを取り入れた物語でした。
※注意:なお克明ではないものの、本書には語り手が性的なものも含む加害を受けた逸話が出てきます。
昨年末チリで、漁師が禁漁令に対して補償金を求める抗議活動中にアシカとカモメも集まってきたというニュース。(投稿映像のロイターによる転載)
https://www.youtube.com/watch?si=0uM0KS0DOyBKwQRF&v=UotT0tQaR1s&feature=youtu.be
併せて、印刷形態の本を読むことに障害のある方が利用しやすい資料を検索できる、みなサーチも正式版になりました。
2024年1月5日 読書バリアフリーの推進に向けて、みなサーチ正式版を公開しました
https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2023/240105_02.html
こちらもご活用いただければ。
仕事がらみでなんですが、昨日公式にリリースできました。
2024年1月5日 新「国立国会図書館サーチ」を公開しました
https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2023/240105_01.html
普段、図書館の検索システムにあまり縁のない層にどうリーチするか、ということを考えてインターフェースの見直しなどをしたので、既存のシステム、サービスに慣れた層は戸惑われるかな、とは予想してましたが、Xでの反響は実際そんな感じだったかと。なかなかバランスが難しいです。
書影を含めて民間データベースの活用については、案外受け入れられているようで、ほっとしてます。
ということで、各種調べものに、新しいNDLサーチをご活用いただければ。
#fedibird #fedibird_info misskey.ioのジョブ処理を受け取ってる間+α、遅延が続くと思いますが、温かく見守って頂けると幸いですー
会社員ときどき文筆業。
Japanese SFF book reviewer & anthologist