ひとまず件の本の刊行中止に安堵しています。が、
>本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり(…)
ではないでしょう……。それこそ原書の当地での評価を考えれば、書籍の内容にこそ問題があるのは明らかなわけで。それをトランスの個々人に責任転嫁するような書き方で、出版中止によってまた次の嵐が来ることは免れないように思います……。
引用の前半の部分も、内容が「ファクト」でないことをさんざん問題にされている本なのに、あたかもその内容が「議論」の土台となりうる本であるかのような表現で、出版社として内容に問題がある本、それによって差別を扇動するような本を翻訳・出版しようとしていたことの責任をとってほしいです。
https://www.kadokawa.co.jp/topics/10952/
facebookにも書きましたがこの本は10代の臨床をやる方には特に読んでいただきたいです。今はただ希望の書としても。
『アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する』
著/ベンジャミン・アリーレ・サエンス 訳/川副智子
年に1度の紀伊国屋書店のお祭りイベント「じんぶん大賞」の投票が始まったみたいです。今年『トランスジェンダー入門』に出会えてよかったと思ってくださった方がいたら、ご推薦いただけたら嬉しいですー。
ちなみにわたしは、今年は『埋没した世界:トランスジェンダーふたりの往復書簡』(明石書店)、『ウィッピング・ガール』(サウザンブックス)、『宗教右派とフェミニズム』(青弓社)に投票します。
他にも『ACE:アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』(左右社)、『セックスする権利』(勁草書房)、『「日本に性教育はなかった」と言う前に)(柏書房)など、推薦したい人文書が盛りだくさんの1年でした。わたしはまだ忙しくて読めていないけれど、『小山さんノート』(エトセトラブックス)も多くの人に読まれて欲しいな。
日本にもたしかに性の多様性に関する包括的性教育実践の積み重ねがあったこと、そしてその蓄積と広がりを阻むものとして性に関するバッシングがあったこと。そのことをより多くの方に知ってもらうためにはこれまで以上に積極的に動かねばならない…!!!
そのように思い告知です!
紀伊国屋じんぶん大賞2024のエントリーが始まりました(締切は11/30まで)!おひとり3冊まで推薦ができるようですので、もしよろしければその一冊として、拙著『「日本に性教育はなかった」と言う前に-ブームとバッシングのあいだで考える』(柏書房、2023。9784760155293)を推していただければとても嬉しいです!
https://store.kinokuniya.co.jp/event/jinbun2024application/
本書では、学校教育現場での包括的性教育実践はもちろん、性の多様性を基盤においた子どもの居場所づくりに関わる実践にも着目しています。
そして、そのいずれもが今まさにバッシングの対象として狙われています。
この状況自体も幅広く知ってもらいたい、社会への投げかけの機会にしたい。
その思いをどうかみなさんと共有させていただければと思います!🙇♂️
事件はほとんど高橋ユキさんのツイートで知る。継続して、しかも自ら出向いて追っている事件も多いから発信に偏りがなさそうで頼ってる。高橋さんが抜き出して書くところを読むだけでもいろんな事件に人間の闇をみる。現実の恐ろしさたるや。そんなことする人は人間じゃないといいたくなるが紛れもなく双方人間。
https://x.com/tk84yuki/status/1719145030173311174?s=12&t=ZvjMQgiMgyalzab1jvC42A
きのうの岡真理さんの講演、ずっと重要な話が続いていたけれど、岡さんが「〜として」という使い方で日本人という枠組みを持ち出したこと、humanismやhumanityを問題にするようは発話があったこと、についてはわたしはどうしても同意しかねると思ってました。
前者は国家に人間を帰属させてそのことにより一括りの属性が付与されるかのように扱うということで、イスラエル建国から続く「民族浄化」と岡さんが呼んだ一連の暴力はおそらく、そのような欲望と全く無関係ではないから。
後者については、humanismやhumanityに訴えることは結局〈人間の条件〉めぐる問題になり、〈人間の条件〉とは結局、誰が〈人間〉として尊厳を守られるべきで、誰がそうでないかを選別する装置であるから。それは、ホロコーストやイスラエルによる暴力が「人間の皮をかぶった獣」といった話法を持ち出して行われたことを批判する岡さんの意図に反して…
しかし、これらの問題によって岡さんの話の重要性が棄却されるべきではない。けれど、一方で重要性によって問題の指摘が禁止されるべきでもないと思います。しかし、全てを単純化しかねないSNSの速度の中で両方をクリアする話の仕方をわたしはまだ見つけられていないので、「要点」のツリーにこれは書かずにいたのでした…。
岡真理さんのガザを知る緊急セミナー、聞いていました。最後の即時的な人道支援だけでなく背後にある政治的問題の解決に動くべきである、でなければ、すでに行われている暴力との共犯関係を結ぶことになるという話は、冒頭で話された「忘却が次の虐殺を準備する」というのとおそらくパラレルで……。
(人道支援が必要な状態なのは事実だとしても)そこで振るわれる暴力のそれぞれを単発の出来事として捉え即時的な支援で全てを済ませてしまうのであれば、結果的に背後にある政治的な問題が隠蔽されてしまい、暴力的な構造が何ひとつ変わらないどころか変わるべきものとして認識されない、ということ…。
だから歴史の話、(サイードの援用もありましたが)特に報道によっていかに問題がずらされてきたかということがまた重要で、岡さんが問題は「ハマースとは何か」ではなく、「イスラエルとは何か」という問いであるべきと話されていたのもそれと繋がってくる話なのではないかと思いながら聞いていました。
東浩紀が「ゲンロンカフェの大学的/専門的なイベントも、今後は聞き手を若いひとにシフトしていきたい。」と書いていた。ぜひそうしてほしい。ゲンロンやシラス常連が信頼できる人とは限らないのだから。
ADHDやASDの子どもにも大人にもご家族にもたくさんお会いしてきたけど就労移行支援とか福祉面の整備って昔よりずっとなされているとかんじる。現場の人たちのおかげだよね。当事者が今受けている支援を私みたいな第三者にも説明しやすくなってるから連携連携ってがんばらなくても支援を必要とするご本人、ご家族、福祉職、医師、心理職などが緩やかにつながりやすくなったと思う。もちろん問題も困難も山積みなのも確かだけど確実に積み重ねてきてくれた人たちがいるという実感には支えられるものですよ。
みてる。
IPA Webinar: Psychoanalysis and Teleanalysis: The Patient, the Analyst, the Institution
そして最近、アメリカの第二派フェミニズム運動におけるトランスジェンダーおよびトランスを取り巻く諸論点にフォーカスを当てた書籍が刊行されました。まだ読めてないのだけど、わたしは今この本をにんまり読む時間を作るためというのを大きなモチベ―ションにしているくらい、楽しみな書籍。マジで読みたい!というかまだ読んでないけど誰か早く訳して欲しい!
➤ Trans Feminist Epistemologies in the US Second Wave(by Emily Cousens )
➤ Amazon に紹介文あり。
https://www.amazon.co.jp/-/en/Emily-Cousens/dp/3031337301
これも苦しくなる事件。高橋ユキさんの記事。被告人の父親の発言にも絶望しかない。
https://twitter.com/tk84yuki/status/1706953454978298054?t=1VRCLhEsfvjzbfPca81S9w&s=19
今までは「無意識」が逃げ場として扱われていたけど「そんなつもりはなかった」ってことで「意識」がそれを担うようになったってことか。AIによって言葉の意味が色々変わったからだね。
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