『文藝』のシスターフッド特集の頃は、〈シスター〉でなくともあなたたちのそばに居ることはできるしそうするつもりで、そこに「シスターフッド」という言葉が必要ならそうすればいいよね、くらいに思っていて、まあ信じてはいないのだけれど、信じていないなりに肯定的だったかもしれない……。
時を経て、そこから誰が排除されてきたかということを踏まえたうえですべての「弱き者たち」に〈シスター〉と呼びかけたい、というシスターフッドを唱える人もいるけれど、〈シスター〉が〈女〉に関わる語としての歴史を持つ以上、呼びかけに振り向くかどうかはこちらが決めるし、それって結局は弱者の位置を〈女〉に独占させることになるのでは?(これはバトラーのイリガライ批判の要点でもある)と、シスターフッドに対しては明確に批判的かつ否定的な立場になりましたね……。
シスターフッドの話が出るたびに『子猫をお願い』が好きな理由は、〈シスター〉であるだけでつながることはできないし、差異を無視して〈シスター〉だけであることを理由に繋がろうとすれば摩擦や軋轢を生じさせてしまうようにシスターフッドの限界を描いた映画(そしてそのうえで〈家〉への意趣返しが鮮やか)だから、という話を何度でもしたくなる
こちらで23023年の個人的クィアゲーム大賞として『Magic:The Gathering』『Thirsty Suitors』、そして『彼は私の中の少女を犯し尽くした』の3作の短評と総評を書きました。編集の町田さんのよる序文もクィアゲームの熱い誘いで、一緒に寄稿しているラブムーさんとまきちゃんさんによる選も熱いです!4Gamerというゲームメディアの古参の媒体に乗るのもとても大事なことと感じます。
https://www.4gamer.net/games/761/G076106/20231218039/
ユリイカ長谷川白紙特集のトークでs.h.iさん、imdkmさんにわたしが長谷川白紙にインタビューした記事を読んでみたい、と言われて、やりたいです、絶対にやりたいです(うれしい)、と思ったのですが、わたしにインタビューさせてくれる媒体があまり想像できていません
そして、『ユリイカ』長谷川白紙特集号の刊行記念として、12月21日の19:30よりimdkmさん、和田信一郎さんとのオンライントークイベントが開催されます!
多角的に長谷川白紙を分析する……という趣のある『ユリイカ』特集号をもとに、長谷川白紙さんについていろいろお話する、というイベントになると思います。『ユリイカ』の内容が厚いので、参加する側としても楽しみにしています。
よろしくお願いします〜!
2023/12/21 Thu 19:30-
青本柚紀×imdkm×和田信一郎(s.h.i)
「長谷川白紙を語ろう!」
https://bookandbeer.com/event/20231221_hh/
BT 『ユリイカ』長谷川白紙特集号のトークイベント、事前に予想していたよりもかなり興味深い話がたくさん出て、いろいろな人に聞いてほしい気持ちでいっぱいです~
わたしはバトラー度というおそらくこの先長谷川白紙の話をするときにしか使わなさそうな言葉をたくさん発しています
https://bookandbeer.com/event/20231221_hh/
ジェンダー・セクシュアリティ関連書籍で取り上げたいものが紙幅を大きく上回ってしまうのは、年間回顧の各項目に本来的にはまたがっていて、そこでも取り上げられるべきところを取り上げられる見込みがあまりないために、ジェンダー・セクシュアリティという「隔離された項目」が担当することになってしまう、というのはある気がしています。
とはいえ、見本として渡された2021年の年間回顧で、ジェンダーの欄で取り上げられないことを見越して(2021年までの担当者は千田氏)なのか、アメリカ文学の欄でバトラーの『問題=物質となる身体』が取り上げられていたこと(これは非常に印象的でした)もあり、一概には言えないのですが……。
バトラー、文芸 │ nonbinary(they/them)・asexual│ 文芸同人誌「花と青」 https://researchmap.jp/aomoto-yuzuki