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「外国文学と日本の近代」と副題のついた『翻訳百年』(大修館書店、2000)。東京外国語大学総合文化研究所で行われた公開講座を元にしている本です。関口時正氏の文章によると、恒文社の「東欧文学全集」が刊行開始されたときには新聞の半分か一面を使って広告が展開されたそうです。具体的な新聞の日付など、どなたか詳細をご存じのかたはいらっしゃいますか…?(こういう細部にアプローチしていくことこそまさに秋草俊一郎のいう文学社会学でしょう)

そして、こうした巨大な広告が打たれた下地には、68年以降のプラハの春、五月革命などの出来事があったと指摘されています。つまり、若者が政治に関心を持たずにはいられない空気があって、そのなかでこうした叢書も出てきたと。

「カモガワGブックスVol.4 特集:世界文学/奇想短編」に寄せた中国の異能の作家、残雪についての文章を許可を得たうえで自分のブログに再掲載しています。どうぞご覧ください。air-tale.hateblo.jp/entry/2024

アメリカで出た日本文学研究書に近い性格の本を読んでいますが、明治の言文一致をgenbun itchi (unification of the spoken and written language)としていたり、文學界新人賞の新人をemerging writersと訳していたり、アウトプットのための語彙の強化として役立ちます。

芥川賞も、その英訳にemerging writersを含めれば、「日本でもっとも権威のある文学賞」として紹介される機会が減るのに、などとも(ちょっぴり本気で)思います。

河流「中国大学SF研の歴史」。現在中国では、86のSF研があるとのこと。四川大学の研究会は常時1000人以上の会員がいるというのは驚異的(脅威的?)。大手を振って活動をするための実利的な理由がある場合もあるにせよ、天文とSFを研究する会があるなど、興味はつきないです。

SFマガジン23年10月号、難波美和子「最新インドSF状況」。インドの書店の写真を一枚みるだけでワクワクできる自分を発見。サタジット・レイって「世界文学ワンダーランド」で取り上げられていて気になっているのですが、SFも多数書かれているんですね。

これが書かれたのは数十年前だけど、アイデンティティ・ポリティクスなる語がよく聞かれる現在、where “stereotype” is a dirty word, the humorist will find himself washing his hands too oftenという傾向はいまはさらに強まっているのではないか。どうあっても、筒井康隆の「アフリカの爆弾」をいま書くことはできない。

アップダイクのエッセイ集More Matterより、アメリカ小説におけるユーモアの変遷について述べた文章より(邦訳があるかは不明)。

Secondly, the humor of Benchley and Thurber assumed a kind of generic American experience—white, Protestant, male, bourgeois, basically genteel, timid, and well intentioned—that can no longer be assumed. Much of what used to be considered funny would now seem classist, sexist, and racist, in ascending order of unfunniness. Humor draws on stereotypes, and where “stereotype” is a dirty word, the humorist will find himself washing his hands too often.(つづく)

(the ones which might be called semi-academic is especially welcome)
Here are what I’ve been enjoying lately:

1.Mark Wiens

A travel youtuber who explores around the world and eats myriads of local foods.

an example: youtube.com/watch?v=Xdya8eym9n

2. Coursera

A platform in which one can take numerous university courses, some of which are free. Just as Youtube, the subtitles make it one’s learning way more effective. I've been enjoying a photography course offered by MoMA, an American famous museum, and also one creative writing course.

(excuse me to write in English)
I have one thing I’d like to ask: could you recommend to me any of your favorite videos available for free online, where speakers use English? I have the habit of watching those kinds of videos partly because I want to sharpen my Listening skills even more. If you thankfully do, they don’t have to be the ones for educational use, specifically made for those who study English as a second language. With the privilege of function that generates decent subtitles, I can enjoy various videos in a great way.

* 1 issue.com内のサイト(issuu.com/onthedesk)では2013年以降のバックナンバーをすべて無料で閲覧できる。
*2この話題を含む章はこの本の増補ないしアップデート版と考えられる赤松美和子、若松大祐編『台湾を知るための72章 第2版』(明石書店、2022)には収録されていないので、2014年のデータに基づいている。
*3 逆柱いみりは2009年にフランス語訳が刊行されているが、英語版は自分が調べた限りではいまのところ刊行されていない。

川本三郎は2010年代、ある場所で自分のエッセイ集が台湾で訳されることに戸惑い――自分の本を訳しても東京の地名など台湾の読者に理解してもらえるのか――すら表明していたが、それどころではない、日本の随筆や批評まで熱心に読まれているというのはため息をつくばかり。いや、これが仮に川本三郎ひとりであれば藤井省三が『村上春樹のなかの中国』でも示唆する通り、村上春樹人気との関連でたやすく理解しうるかもしれない。しかし、最大級のオンライン書店である博客來をちょっとのぞいて検索窓に四方田氏の名前を打つだけでも、『モロッコ流謫』『摩滅の賦』『ハイスクール1968』『李香蘭と原節子』『ゴダールと女たち』『日本の書物への感謝』などなどの本がすでに繁体字で翻訳されていることがわかる。「伊藤整文学賞(引用者註:評論部門)」「講談社散文賞(講談社エッセイ賞)」の文句が表紙に躍る本もあるが、今のところ英語圏ではこうした文句をセールスポイントとして打ち出せるほどの市場は育っていないのではないだろうか。

2018年12月に台北の店舗を実訪した際は、四方田犬彦『ラブレーの子どもたち』がエッセイのセクションで面陳されていたり、小松左京やら竹中直人やらについての連日のトークショーのお知らせが告知されていたりした。内沼晋太郎+綾女欣伸『本の未来を探す旅 台北』(朝日出版)のインタビューによると、誠品書店では店舗全体で年間5000ものイベントが開かれているという。もちろん、そのうちのすべてがトークショーというわけではないし、さらにそのうちのどれだけが日本文化についてのものであるか筆者はデータを所持していない。それでも、やはり「熱気」という言葉をつい使ってみたくなる。

さかのぼって2021年3月号で書影つきで紹介されている本を無造作にピックアップしてみると――伊丹十三『ヨーロッパ日記』、加藤周一『羊の歌』、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(ジブリによる映画化前)、竹下文子の絵本、岡倉天心『茶の本』、柳宗悦『茶と美』などなど。これらは未訳ではなく、すべて実際に訳された本である。恥ずかしいくらい日本語ネイティブの自分のほうが読んでいない!岩波新書や講談社学術文庫のクラシックすら訳されているというのは、はたして欧米ではみられるような現象なのだろうか…?また、monthly recommendationの項ではまるまる1ページを用いて細野晴臣の3枚のアルバムが取り上げられている。

2023年4月の特集、「圖像世界不思議」。「探索!圖像幻想地」というセクションでは五十嵐大介『はなしっぱなし』、逆柱いみり『はたらくカッパ』、松本大洋、メビウスなどの作品が、「発現!故事夢奇地」というセクションでは「無字的想像、圖與圖會講故事(こころみに英訳するとwordless imagination, a series of pictures can tell a storyという感じか?)」という小見出しとともにデヴィッド・ウィーズナーらの絵本が紹介されている。逆柱いみりは繁体字だと「逆柱意味裂」というナンセンス度の昂まる表記になるのがすこぶる面白い。*3また、Editor’s Choiceのコーナーではまるまる1ページを用いてニール・スティーヴンスンのSF長編『スノウ・クラッシュ』が取り上げられている。

すぐれた選書とシックで上品な内装、すさまじい数のイベントで知られる台湾を代表する大型書店、誠品書店。この書店が毎月刊行している「書店誌」が「提案on the desk」だ。紙のものは各店舗で無料で頒布しているが、台湾に行かなくとも誠品書店のサイト、およびissueのサイト*1でバックナンバーを含め閲覧することができる。

赤松美和子、若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店)によると、台湾の出版界では、(英語などではなく)日本語が翻訳点数第1位の言語となっている。*2あたかもこのデータを反映するかのように、「提案on the desk」では新刊旧刊両方ともに毎月驚くほど多くの日本の本(未訳含む)が紹介されている。そして、「精選は新鮮」とでも言い放つかのように、ベストセラー紹介だけに傾くことなく書店員のセンスと情熱が全面に押し出された誌面づくりになっている。

阿良田麻里子『世界の食文化6 インドネシア』(農山漁村文化協会)読了。爆発的に面白かった。

澁澤龍彦は自分が知る限りミルハウザーに言及していないと思いますが、種村季弘は『遊読記』『詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想』などでミルハウザーに触れたり書評したりしていますね。

種村季弘が『詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想』でべた褒めするアレン・カーズワイル
『驚異の発明家の形見函』読み始め。読んだことがない小説の香りがする。first nameで「ひょっとしたら?」と思ったけど、この作家、レイ・カーツワイルのいとこなんですね。

2023年にHarper’s Magazineに掲載された、ユンガーの傑作『大理石の断崖の上で』の書評。ボルヘスやイー〇ン・マスクって、どこでユンガーに言及しているかご存じのかたはいらっしゃいますか…?harpers.org/archive/2023/03/hi

J・G・バラードの批評集、Selected Nonfiction, 1962-2007がマサチューセッツ工科大学出版局から2023年の10月に刊行されていたようです。Facebook上のグループ「J.G. Ballard」のDavid Pringleによる書き込みによると、およそ半数の文章は『千年王国ユーザーズガイド』と重複しているが、残りはこの本であらたに読めるものだそうです。なお、この四千人以上を擁するグループですが、バラードの翻訳もある国領昭彦氏なども英語で書き込みをおこなっています。

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