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楽天ブックス、ここ数か月のどこかの時点で、プチプチで梱包してくれなくなったように見える。hontoもないとすると、みなさんどのネット書店を利用されているのでしょうか…(緩衝材で梱包してくれるところ)。

このスタイルは、あきらかに凡百の幻想小説がおのずと取りたがる形式から遠く隔たった地点で生成されている。架空博物誌の文法を日常生活に果敢に当てはめ、別乾坤を創造してしまう驚異の芸当。原稿用紙に穴を空ける。その穴を押し広げて異界への入り口を作る。穴に落ち込んだはずなのに、異界と現実の位相がぴたりと重なり合ってしまう空間からいくら藻掻いても出られなくなってしまうことを読者は発見する。ポオを批判的に乗り越えたと指摘されたら頷きたくなってしまうような、コルタサルの骨頂だとおもう。

フリオ・コルタサルCronopios and Famas(未訳)。

中国の日本文学翻訳家がコルタサルではこの作品集が好き、と書いていて表題作のみ読む。短章形式でCronopio、Fama(そしてEsperanzas)の生態を描く不可解な一篇。

あまりに幻惑的な書き出しに、Cronopio、Famaとはヒトなのか、それとも(『動物寓意譚』に登場する) マンクスピアのような人外なのか?とはじめは判然としなかった。しかし読み進めていくと、CronopioはCronopio、FamaはFamaと呼ぶ以外にない存在なのだとすぐに了解される。それでも、おのおのの節を因数分解してみればその断片は鏡として私たちの生きる世界を鋭すぎるほどに逆展望してやまない。(つづく)

As I’ve obtained a free ticket of Afternoon Tea one splendid hotel offers via ふるさと納税, I’ll be inviting my mother to it. I have to admit we rarely meet these days, yet I conceive of this opportunity as a token of my appreciation after all.

芝田文乃さんによるポーランド文学紹介の記事。レムとムロージェックの書簡集が刊行されているというのは知らなかった…。eubungaku.jp/articles/poland/ポ

ここ半年ほどの収穫。

ジャン・ジュネ『判決』(みすず書房)
小松理虔『新復興論』(ゲンロン)
『ちくま日本文学 尾崎翠』(筑摩書房)※一部再読
鈴木いづみ『ハートに火をつけて!』(文遊社)
Samantha Harvey Orbital (Grove Press,2024)
アンリ・ミショー『魔法の国にて』(『アンリ・ミショー全集4』青土社)
『山本陽子全集 第二巻』 (漉林書房)
四元康祐『噤みの午後』(思潮社)
辻征夫『かぜのひきかた』(書肆山田)
山田参助『あれよ星屑』(1)~(7)(エンターブレイン)
阿良田麻里子『世界の食文化 インドネシア』(農山漁村文化協会)
海老島均一・山下理恵子編『アイルランドを知るための70章 【第3版】』(明石書店)
高橋睦郎×佐々木幹郎×栩木伸明×大野光子「詩は周辺に宿る アイルランド現代詩の魅力」(「現代詩手帖」2001年10月号)
(映画)「奇跡」カール・ドライヤー監督
(その他)The Times Literary Supplement Podcast

『鈴木いづみ語録』などはなぜか3回購入し決まった箇所をくりかえし読んだりしてきたのだが、この自伝的長編についてはいまは感想として散文化できそうにはない。ぼんやりといま考えているのは、むしろ「女と女の世の中」のこと。The New York Times書評では英訳SF短篇集がル=グィンと関連づけて論じられていたりするが、個人的にはかならずしも大文字の文学として捉えなくてもいい、とも思っている。「女と女の世の中」は、男の子が出てくるシーンがとても印象的。鍾愛する、マーガレット・セントクレア「街角の女神」「地球のワイン」のような、夢見がちな(ほとんど)ふつうの女の子が夜も更けて自分の手帖に書き始め書き上げたような、満月の夜の夢の残り香をお裾分けしてくれるような、小粒なるものだけが発散するアンビアンスがだいすきなのだ。

今年もまた、例の夏がはじまる。いつもの夏が。みどり色した疲弊をしょいこんで、あちこちを犬みたいにうろつく夏が。(略)夏におこることは、たいてい尾をひかないから、いい。きしみをあげるような光と、ぐったり湿った空気がなくなると、全部がウソだったような気がするから。パッケージにひとまとめにして、天井ちかくの戸棚にしまっておけるから。とりだしてあげると、時間感覚の奇妙さのせいで、いつでも新鮮なのだ。何年まえの夏だろうが、関係なく。そして、三年前の夏が、二年前の夏より遠い、ということはない。
鈴木いづみ『ハートに火をつけて!』(文遊社)

ひさびさの鈴木いづみ、『ハートに火をつけて!』(文遊社)。大学時代、SFセミナー企画『鈴木いづみRETURNS』ではじめて存在を知り、ル=グィン『闇の左手』を扱ったゼミ発表で「女と女の世の中」を引いて恩師に建設的助言を賜ったのもいい思い出。愛に餓え70年代を光よりも速く駆け抜けたこの作家が、いまや国内よりも国外で熱心に読まれているというのは数奇さを感じずにはいられない。

読後感をうまく整理できず自分以外の感想を少し探してみて、惹かれたのが「作中に漂う力強い諦念と、プラスチックみたいな透明な明るさが、切実で美しい。」との三浦しをんの言。諦念とは、ふつうはよわく脆いものなのではないか?それが、鈴木いづみの場合は力強いなにかへと、転化されているというのだ。

中はまだ読めていないのですが、管啓次郎がカレン・テイ・ヤマシタを訳しているサイトを発見。都甲幸治が『21世紀の世界文学30冊を読む』で紹介していた『サークルKサイクルズ』の抄訳でしょうか……?cafecreole.net/travelogue/

学生時代に佐藤弓生さんに教えていただいた素晴らしい歌人、大滝和子の既刊歌集すべてを収録した歌集が4月に刊行されていたと知りました。多田智満子さんの詩、川野芽生さんの短歌、恩田侑布子の俳句などお好きな方に強くおすすめしたいです。tankakenkyu.shop-pro.jp/?pid=1

こんにちは、フォローありがとうございました。自分も山尾悠子、アンナ・カヴァンなどとても好きな作家です。どうぞよろしくお願いします。

おやおや、「同人誌というものを一度くらい自分も作ってみたい」と呟いてしばらくの時が経ったようです。見よう見まね、おっかなびっくりで一歩前進二歩後退。先日は、大江健三郎と同年齢の翻訳家の方に個人的に連絡を取りお話を伺う機会に恵まれました。なにかを学ぶことは本当にたのしいです。

国会図書館デジタルコレクション、佐藤惣之助『市井鬼』(京文社)とかロード・ダンセイニ『バブルクンドの没落』(研究社)とかまである…。『バブルクンドの没落』、はじめて中を見たけど文法解説はさほど詳細でないですね。

大森望『現代SF1500』冊でマンガで★★★★☆がついているのが『亀の頭のスープ』ですが(大傑作だと思います)、マンガで同等かそれ以上の評価がついている作品ってなんなんだろう。

アンリ・ミショー『魔法の国にて』、読み進めていますが凄絶。牧眞司『世界文学ワンダーランド』で紹介されている書籍では数少ない「小説以外」の作品です。

SFセミナーの翻訳家パネルでも話題のあった翻訳訳語辞典って、もとは山岡洋一が作成したものだったんですね。ためしにafter allで検索したら「畢竟」と訳している用例が出るとか、なかなか面白いです。dictjuggler.net/

自分は最近はひたすらthe Times Literary SupplementのPodcastを聴いています。おすすめがあればぜひみなさま教えてください。

2021年の記事ですが、老舗Penguinに掲載された、英語圏の文芸系おすすめPodcastをまとめた記事。
penguin.co.uk/articles/2021/01

「ミショーの作品は――詩篇も現実の旅も架空の旅も絵画も――、もう一つの無限を限りなく探し求めて、われわれの無限のうちのいくつかと――最も秘密の、最も恐るべき、また最も嘲弄的なそれらへと――向かってゆく。一つの長い曲りくねった探検に他ならない。」(オクタビオ・パス)

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