フリオ・コルタサルCronopios and Famas(未訳)。
中国の日本文学翻訳家がコルタサルではこの作品集が好き、と書いていて表題作のみ読む。短章形式でCronopio、Fama(そしてEsperanzas)の生態を描く不可解な一篇。
あまりに幻惑的な書き出しに、Cronopio、Famaとはヒトなのか、それとも(『動物寓意譚』に登場する) マンクスピアのような人外なのか?とはじめは判然としなかった。しかし読み進めていくと、CronopioはCronopio、FamaはFamaと呼ぶ以外にない存在なのだとすぐに了解される。それでも、おのおのの節を因数分解してみればその断片は鏡として私たちの生きる世界を鋭すぎるほどに逆展望してやまない。(つづく)