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教保文庫などのネット書店で調べると、四方田犬彦ソンセンニンの著作は韓国では近年訳書が出ていなくて、中国語圏のほうでより訳されていますね。ただし、簡体字繁体字の違いまではちょっと調べていないです。

パンデミックが拡がる直前に台湾に行って驚いたのは、日本の小説だけでなく文学的随筆の類も相当訳されていると窺えたこと。誠品書店で四方田犬彦の『ラブレーの子供たち』が面陳されていたり。

文芸関係の英語の語彙を増やすために(創作のためでなはなく)、Courseraというアプリで数か月、Wesleyan Universityのcreative writingの授業を聴講しています(無料コースあり)。それこそSteering the Craftの話とか出てきて、部分部分で勉強になります。字幕がついているのもうれしいです。

キム・チョヨプ、キム・ウォニョン『サイボーグになる』(2022)、面白いです。提出されている論点の数が多いので、「ちぇっく」で岩波の担当編集者の方が書かれていた通り、(ネットなどの感想を書いて終わりではなく)誰かとじっくり話し合いたくなるような本。

「ルビは宝石(野谷文昭)」。「声は天才だ(今福龍太)」。コトバを大切にするひとたちのコトバは、こんなにもステキ。

でもすぐに気づくのはそもそもこの小説の副題にはfableという語がきちんと含まれているということで、この小説をもってパキスタンの文化や民族性について理解しようとするのは、たとえば日本の外の読者が芥川龍之介の説話的作品を読んだだけで日本の現代文化についてなにか判断するのと同じくらい安易なことなはずだ。その国について知りたい、という感情そのものはまったく健全なことだと思うけど、ステレオタイプな像を持つことのあやうさについては少しは自覚的でありたい。

ジェフ・アンダミア編のアンソロジーより、Musharraf Ali Farooqi “The Jinn Darazgosh”。恥ずかしながら、(幻想小説に限らず)パキスタンの小説というものそのものを読むのが生まれて初めて。秀作とは感じなかったけど、ざくろの木が作品のなかで大きな役割を果たすとか、「因果応報」ということばが似合うようなストーリー展開にある種の新鮮さを覚えたのは否定できない。そして読みながら、パキスタンの小説ってある種の宗教性と関係しているものが多いのかな?という素朴な好奇心から湧いて出た疑問も生まれた。(続く)

プエルトリコの女性作家Rosario Ferréの作品のつぎはチェコの作家Vilma Kadlečkováへ。英訳者ふたりのうちのひとりがブルース・スターリング(!)。この方、ぱっとネットで見た感じでは長篇は書いていないようす(おそらく)。

ジェフ・ヴァンダミア編のアンソロジーの中から、「その国の小説を一度も読んだことがない」作品だけに限定して読書マラソン(?)ちゅう。フィリピン、パキスタンと来て、次はプエルトリコか。世界の広大さと自分の微小さ!

Dean Francis Alfar “The Kite of Stars”。高貴な家庭に生まれ落ちた少女、マリア・イサベラが星の高さにも達する凧を造り上げるため、肉屋の少年と世界中を旅する物語。寓話あるいは創作民話のような雰囲気が色濃い。フィリピン、そしてスペインの文化や言語と関係があるとおぼしき固有名詞で検索してもヒットしなかったものがいくつもあり、その点については読み切れなかったという思いも残った。

初出は2003年のStrange Horizons、ジェフ・ヴァンダミア編The Big Book of Modern Fantasyなど多くのアンソロジーなどにも採られている。また著者は、Philippine Speculative Fictionという年刊傑作選シリーズの編者を何度も務めているようす。

“The novella presents a dreamy world of poetic vision and psychological wandering …Through a collage of different narrative voices and texts, and a rejection of fixed categories of gender and sexuality, the novella presents a world of fragmented sensations that refuse integration. …Osaki's literary innovations and modernist aesthetics offered a powerful critique of patriarchal views on gender, genre, and the position of women writers. ”

A translator as well as a scholar of Japanese literature, Hitomi Yoshio writes a short introductory essay on this work in a magazine called Monkey vol.1 in 2020:

If I were to choose just one favorite Japanese literature available online, I would pick Midori Osaki’s Wandering in the Realm of the Seventh Sense (it is legally uploaded on MUSE).

muse.jhu.edu/article/609543
*the first few pages are introduction and the main text starts with “Some time...”

With an abundance of obscure and beautiful imageries ,this stands out in my memory as a one-of-a-kind masterpiece in the field of fantasy literature. Additionally, a myriad of Japanese writers, including Mieko Kawakami and Osamu Dazai, applaud her works.

とにかく新しい血を入れたくて、池袋のポポタムや神保町のチェッコリなど専門性の高い書店を回っていますが、やはりというかおおきな刺激をもらえます。

「twitterで投稿したポストをマストドンにも連携させる」手軽なツールを探しているのですが、検索して三つくらい出てきたものがすべて2023年現在、使えなくなっているorサイトがなくなっている…。どなたかいいものをご存じでしたら。

「以前別の書評で、論集などで世界文学という言葉が、お手軽に学際性を演出するためのマジックワードと化してしまっているという批判をしたことがあったが、翻訳も同様である。」

無料で公開されているので、「れにくさ」のバックナンバーを読み中。11号、秋草俊一郎氏によるとダムロッシュの「世界文学とは、翻訳を通じて豊かになる作品である」という言葉は濫用されてしまっているという。「このロジックをもちいれば、翻訳されればなんでも「世界文学」になってしまい、その背後にある出版資本主義やイデオロギーは不問に付されてしまうのだ」。

ナイジェリアの女性作家、Pemi Aguda“Breastmilk”の感想をブログに書きました。率直にいうと、訳して紹介したいレベルの愛着。air-tale.hateblo.jp/entry/2023

早稲田大学の図書館、自分がむかし行ったときには「幻想文学」のバックナンバーが所蔵されているのに気づきましたが、大学図書館では珍しいんじゃないかと思った記憶あり。地下書庫のジェイムズ・ブランチ・キャベルの原書には、大正から昭和前期のものとおぼしき筆跡で末尾に感想が書き込まれていたりして、胸が熱くなりました。本はたしかThe Cream of the Jestだったかな。

探していた論文、磯部薫「現代英語の単語の spelling と sound のdiscrepancy について―特に英語史の観点から見た orthography と phonology の関係について―」『福岡大学人文論叢』第8巻第1号(1976) を大学図書館でコピーできてほくほく。

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