人よりずっと読むのが遅い自覚があるので、一年でなく二年ごとに読んだものの収穫をまとめることにしている。
自分の知人ばかり好意的に言及するのは卑しいことなのかもしれない。けれど、キム・チョヨプ、キム・ウォニョン『サイボーグになる』は橋本輝幸さんのウェブの書き込みではじめに興味を持ったし、アンナ・ゼーガース「死んだ少女たちの遠足」は鯨井久志さんと堀川夢さんの言及で手に取ったとか、大島豊さんが訳されているのであれば稀少な作品であるに違いないと思って読んだとか、そういうのがぽろぽろ芋の蔓を引くように思い出されてくる。というか、結果として「知人」と呼べるようになったのはもとより本への情熱を介在してのことなので、そこは許していただきたい。雑誌の作業で読んだものと、それを読んだから雑誌という果実が生ったものとも、もはや不可分なのだ。