「産業革命が起こったインクランドは核家族地帯で、しかも識字化についてはドイツ、スウェーデンの後塵を拝していました。では何故産業革命があのように急速にイングランドで進展したかというと、一つは絶対核家族は子供の早期の旅立ちという要素をもともと持っていて、可塑性に富んでおり、農民たちを根こそぎにしてしまうという点において非常に有利であった、そういうことがしやすかった、ということがあるように私[トッド]は分析したのです。イングランドで粗暴な資本主義革命が起こったあと、今度は識字化が進んだ国々で産業革命が起こります。これらの教育水準の高い国々における第2次産業革命は、アングロ・サクソン的な絶対自由主義的なものに激しい抵抗を示しました」95頁
「トッドによるプロテスタント像の転倒…形成期の資本主義の精神を体現するイデオロギーという、ウェーバーが確立したイメージに真っ向から対立して、トッドは、プロテスタンティズムとは何よりも、直系家族地域に群立する小貴族たちのイデオロギーであると言う。その救霊予定説は絶対的な神の意志と霊の救済の不平等を内容とするものであり、権威と不平等の価値観に根ざすものだからである。それゆえこれは直系家族地域に広がったが、自由と平等の価値観に立脚する平等主義核家族地域には頑として受け入れられなかった。当時のカトリック教は、トリエント宗教会議によって、救済の平等と人間の自由意志の観念に基づいて再編成された、自由と平等の価値に立脚するイデオロギーであった」44頁
社会学と誤用進化論😅を中心に読書記録をしてをります
(今はストーン『家族・性・結婚の社会史』1977年)
背景写真はボルネオのジャングルで見た野生のメガネザル
https://researchmap.jp/MasatoOnoue/