『閉じた国のホロン3』(せんさん)読み終えた!
大切なものを失った3人が、それを取り返すために旅をするお話の第3巻。
前回かなり気になるところで終わっていたんだけど、今回はそこからの続き…。「外の国」と呼ばれているダーシュナがかつていた場所のことや、物語の核心に触れるような部分が語られていて、すごくドキドキした。
もう10年、食べてない故郷の食べ物を食べた時のダーシュナや、「こんな国の言葉を覚えたくなかった」という叫びに、失ったもののことを考えて胸が苦しくなる…。そういうことを感じさせてくれるのがすごくいいなあと思った。
続きが楽しみ〜!

 『蜜蜂よ、夜々を遊行せよ』鹿紙路
盲目の行者とその伴侶が物語を語りながら旅をする十八世紀インド。さまざまな立場の人たちの物語が夢うつつ混ざり合い、歴史に踏み潰されただろう人たちを見つめながら語られてゆく。とてもおもしろかった。私は特に逸名画家の機織鳥が好き。
 

『ロータス 新装2版』(柳川麻衣/痛覚)読み終えた。
思えばこの物語に出会ったのは10年前のことで、それからずっと、お守りのように胸に抱いていた。蓮実と桃重という、少女期を共に過ごした二人を中心に、出身校に縁のある少女たちの強い結びつきの「二人」という関係を辿ってゆく。
「ずっと一緒にいようね」と言い合う大切な女友達が、いつのまにか男のところへいってしまい、「私だけが取り残される」……いまもその渦中にあるけれど、友人が窮地にある時「一緒に住めないか」「私のところへおいで」と言いたいけれど言えない、言ってしまう、その苛立たしく掻きむしりたくなるような感覚に、寄り添って希望をくれる。
とびきりの少女小説は?と聞かれたら、わたしは『ロータス』を挙げる。失ってしまった少女期と、今も道が交わることを祈りながら歩いていることへの慈しみを込めて。

『少女、女、ほか』バーナディン・エヴァリスト 渡辺佐智江訳 白水社
10代〜90代のイギリスの黒人女性/ノンバイナリーの群像劇。フェミニズムにクィアに、人種差別に、といろんなものをえがきながら、スピード感があってめちゃめちゃおもしろかった!

『ミノリト』ジェンダーマイノリティと明日を生きる創作誌vol.1 ミノリト編集部(@minorit_zine
読み終えた!情報を見たときからずっと楽しみにしていた本!
漫画・短歌・イラスト・小説がたくさん収録されていて、そのどれもがすごくおもしろかったし大切に書かれていることが伝わってきた。読んでいるとき、「これはわたしの物語だ/すぐ側にいるだれかの物語だ」という実感があって、ぬくもりが伝わってくるのがよかった。
収録されている全ての作品が愛おしくて大切だなあと思ったんだけど、とくに「虎態」(村野真朱さん)「カナリアの歌う朝」(イトノケイさん)「STAND BY」(百葉箱さん)が印象深くのこった。
「虎態」の「語る」ではなく、「吠える」ような語り口がとてもよかったし、最後の一ページに、前線に立ち続ける存在へのメッセージを感じられて、ぐっと泣きそうになった。
「カナリア」は、読んでだれかと感想を語り合いたいな~と思った!希望が書かれていて、だからこそこの未来にたどり着きたいなあと。
「STAND BY」は、めちゃくちゃ「好き!」という物語だった…。
読めてよかったし、この本を読んで感想やきもちを共有したい人がたくさんいるなあとその顔が思い浮かんだ。

『日本縦走』森山智仁 面白かった〜!文フリで絶対欲しいと思ってた本!最後の一冊にたどり着けた!危なかった!
演劇をやっていたひとの登山縦走記録なので演劇で学んだ「リハーサルは完全に本番と同じ条件で行うこと」を登山の練習にも使っててすごい。
旅の間にクマに4回遭遇し(そのうち3回はヒグマ)、それでもクマよりスズメバチと人間が恐ろしい…と書かれてた。こういう旅物のエッセイによくある人との関わり!感謝!じゃない、山に登ることと、計画性についてとかなのがよかった。
ヒグマの写真もあった。
東北の山に魅力を感じた、と言ってて、なんていうか山も「首都圏から行ける山」が注目されがちな世界ではある気がするので、そういうとこもいいなと思った。
 

『ギンズバーグが教えてくれたこと 詩で政治を考える』ヤリタミサコ トランジスタプレス

この本も面白かった〜。特に福島の原発事故の「現代祝詞 原子力発電所鎮めの詞」(及川俊哉)という詩を知れたのがよかった。探して全文読んでみようと思う。

『タスマニア』パオロ・ジョルダーノ(早川書房)読み終えた。めちゃめちゃ面白かったー!!!こういうの読みたかった!!!みたいな小説で、すごい良かった…。舞台が2017〜2020年くらいだし、広島や長崎といった日本のことも出てくるので「あ…」みたいな事件もあり、なんか「今」読むとすごい面白いやつだ…という感覚だった。

『アフガンの息子たち』(著/エーリン・ペーション 訳/ヘレンハルメ美穂 小学館)めちゃくちゃ良かった。スウェーデンの難民児童が暮らす施設の小説で、アフガニスタンから逃げてきた3人の少年たちの世話をする、彼らとほとんど年の違わない「わたし」。
トラウマや恐怖と向き合いながら、祖国とは離れたスウェーデンで(差別や偏見も受けながら)暮らす少年たちには、「施設を出ていかなければならない日」がやってくる。
年齢に達したら、送還される可能性もあって…。
規則と、その規則や基準の理不尽さの狭間で、できることを模索し、距離をはかりながら、少年たちとの日々を施設の職員である語り手はすごしている。記録に残さなければならないけれど、「日誌には書かない」という言葉が幾度も出ることが胸に迫った。

『現代詩手帖5月号 特集パレスチナ詩アンソロジー 抵抗の声を聴く」読んでる。しんどい本で、少しずつしか読めないんだけど、「技巧の講義はクソどうでもいい、私の仲間が死んでいる」というヌール・ヒンディさんの詩を読んで、ずっと朝から「表現」ということを考えてる。
「受け取られるために」整形された言葉、というのは、極限状態の人たちが、余裕のある側に「合わせた」言葉を選び、表現し、「それでようやく受け取られる」ということだし、その定形をして、なお受け取られないということでもあって。
訴えているのに、聞かれない言葉があるということでもある。
 

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