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 “異質と見なす存在を恣意(しい)的に作り出し、それを排除・迫害することで社会の安全という幻想を得る。この点で、LGBT差別と奴隷制や人種差別とは類似の構造で成り立っているという。”

「クィアなアメリカ史」書評 逸脱めぐり国家社会の根幹形成book.asahi.com/article/1504024

“関東大震災の時の自警団は「女・子どもを守るため」という大義名分を掲げていた。その方便は有事法制の法理として現在も生きている。

 「仮想敵を殺しても安心が得られるわけじゃないのに、恐怖をあおり、女・子どもを盾にして行動制限を課し抑圧する。それはずっしりと鉛に照らされているような感覚として今に続いている」といちむらさんは指摘する。”

「なかったことにはしない」     
関東大震災朝鮮人虐殺から100年、日韓の40人が美術展note.com/commons2023/n/ndbfdc5

“朝鮮人女性に対する性暴力が行われた一方で、流言では「朝鮮人が日本人女性を強姦している」という内容が広く流れたことが、近年の研究で指摘されている(金富子「関東大震災時の「レイピスト」神話と朝鮮人虐殺」)。”

 “朝鮮人が徒党を組んで日本人を襲撃するという流言に対し、実際には日本人が自警団を組んで朝鮮人を襲撃していたことと、全く同じ構図である。”

 “朝鮮史研究者の金富子は、日本人男性による朝鮮人の虐殺は、「想像上の「朝鮮人レイピスト」から日本人女性を守るための日本人男性による「男らしさ」の発揮」であったとも指摘している。”

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代
藤野裕子 著chuko.co.jp/shinsho/2020/08/10

リンクが上手くいかなくて手間取る。

“要するに、人を依存症にさせるのは、物質の薬理作用ではなく、行為を通じた自己効力感の体験――心身に何らかの刺激を与え、身体感覚の変容感を介して気分調節に成功する体験――の方ではないか、ということです。そして、身体感覚の変容感を引き起こすための行為は、一定の薬理作用を持つ物質の摂取でも、あるいは、スリルと興奮を引き起こすパチンコやゲームでもよいのでしょう。”

“こう言い換えてもよいでしょう。依存症の根源には、制御不能な〈現在〉を何とか乗り越え、予測不能な〈未来〉を少しでも可視化したい、というあまりにも人間らしい、人類全体の欲望が横たわっている、と。”

人はなぜ何かにハマるのか?(松本俊彦)ohtabookstand.com/2023/10/sake

生殖不能要件について
“卵巣や精巣の切除を求めることは、身体への侵襲性が高すぎるし、なによりも優生思想的な規定だと言えます。これは特例法全般から見て取れるものです。”

“特例法は生殖不能要件のほかに、現在結婚していないこと、未成年の子がいないことを求めています。こうした規定からは、トランスジェンダーを「劣等な人たち」と位置づけ、「子どもとの関係を持ってはいけない人たちなのだ」と捉える非常に差別的な意識が感じ取れます。”

“そもそも人権を考える時に、今の社会のありようを前提にしてはいけません。今の社会には様々な問題があり、社会秩序の名のもとに人権を侵害されているマイノリティーが存在します。その人たちを社会の一員として包摂していこうとするのが、人権保障の考え方です。”

digital.asahi.com/sp/articles/

「女性と子どもを守る」という言葉は関東大震災時朝鮮人虐殺でも使われていたこと、朝鮮人である「女性と子ども」が虐殺されたこと。虐殺と「男らしさ」のかかわり。 

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代
chuko.co.jp/shinsho/2020/08/10

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“ダニーさんは「日本とイスラエルの悲しい共通点は、近隣諸国を見下すことだ」と語った。周辺国を「野蛮な敵」と見なし、防衛費が増長していった先に、結局、人々の暮らしがないがしろにされるのではないかと。”
d4p.world/news/23615/

“こうした「語り」は結果として、強い肉体を持ち、弱い女性・子どもを守る者こそが「男性」という幻想を作り出します。それが反転することで、「普通」の男性なら「女性と子どもを守るはず」という「語り」になり(本来なら守り、守られることはジェンダーという属性にかかわらず、誰もが守り、守られるものであるべきですが)、それが「戦争」という現実を支援するレトリック、そして社会規範となる、というのです。”

“と同時に、ヤングの指摘によれば、こうした「語り」では「女性は自衛を男性に依存するもの」と、その主体性を奪われ、守られる性へと相対的に位置づけられます。その結果として、「守り手」である男性が、守られる側として依存する女性と子どもに「従順」を要求する、という不平等が再生産されていくことになります。”

“(略)戦争が日常に入り込むとき、あるいは、日常が「軍隊化」されるとき、支配する性─支配される性、という伝統的で父権的なジェンダーが正当化され、そして強化されていくということなのです。”

“(略)原爆を投下した側として男性性を担うアメリカにおいて、原爆の被害者性を代表するような被ばく被害は語られない/語りにくい状況にあります。言うなれば、被ばくの被害が「自主検閲」されてきたといえます。”
 

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第5章 ジェンダー化された原子力 守られる性・無垢性・仕える性

被ばく女性の渡米、ヒロシマ・メイデンズ(原爆乙女)、親・保護者としてのアメリカ(娘を守る強い(父)親像)、オリエンタリズム
和解の非対称性、被害者性と女性性の社会的親和性

“政治学者のアイリス・マリオン・ヤングは、肉体的に不利である場合が多い女性と子どもが、いかに国防政策に利用されるかを紐解きます。特に「国家的危機」などと銘打たれる事件の際には、国防のレトリックがすぐさま発動されます。例えば九・一一の後のアメリカで、イラクとアフガニスタンへの侵攻の支持を獲得するために使われた、「女性と子どもを守るため」という「語り」は、その主語に守る側の「男性」を想起させ(実際には女性兵士もいますし、守られるべき成人男性もいるのにもかかわらず)、国防を正当化させる、と。そしてそれは、「守る」ことを美徳とする一方で、こうした物語に加担しない男性を「弱い者を守る意思・体力がない」と道徳的・肉体的に劣っているかのように扱う、と分析しています。”
 

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救恤策が「国民を怠惰にする」ため流れていく。自己責任、自助と共助くらいしかなくて、国家の責任としての公助がほとんどない。戦争のたびに不況に陥っていて、戦争によって不況を打開しようとして失敗している。

近代日本の貧困radiko.jp/share/?t=20231020094

貧困が通俗道徳によって自己責任とみなされるのはこの辺り。未読。
iwanami.co.jp/book/b374925.htm

日本の下層社会
iwanami.co.jp/smp/book/b246016

>「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、または性自認に従った法令上の性別の取り扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫るものになっており、制約の程度は重大であるから、憲法13条に違反し、無効である。

トランスジェンダー性別変更、生殖不能の手術要件は「違憲」 最高裁digital.asahi.com/sp/articles/

“パレスチナで起きていることを考えるとき、一九四八年五月一四日のイスラエル建国とパレスチナ人の追放と難民化、パレスチナ人がアラビア語で破局や災厄を意味する「ナクバ」と呼ぶ迫害があったこと、そして一九六七年のガザやヨルダン川西岸や東エルサレムの占領の歴史は、どちらの立場に立つにせよ、問題を理解する上での前提知識であるはずだが、いま報道で取り上げられることはあまりにも少ないように思う。”
 

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“ナチスの支配地域でドイツ人やその協力者たちがパルチザンによって攻撃されたように、満州国の移民団は「匪賊」(特性によって「土匪」や「共匪」と呼ばれることもあった)の襲来によってたびたび死傷者を出していた。だが、その背景もまた、戦後の回想録では言及されない。では、襲撃の背景とは何か。”

 “周知のとおり、一九一〇年八月二二日調印、二九日公布の日本による朝鮮半島の植民地化である。韓国併合で故郷を追われた人びとは満州に移住し、そこで水田を開いた。日本は、多くの朝鮮人を日本人移民よりも劣悪な土地へと移民させた。彼らはときには中国人から日本帝国主義の尖兵だとされ、迫害を受けることもあった。また、大日本帝国に反抗する人びとは、中国共産党のゲリラと共に東北抗日聯軍を結成し、土地を追われたり、日本によって無理矢理故郷から満州に移住させられたりした朝鮮人たちの援助を借りて、開拓村を襲撃した。それを、日本は「匪賊」と呼んできたのである。”  

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建国と植民地化、入植

“「満拓公社のやったことってのは、そりゃ実に非道なやり方だったですよ。田畑の買い占め、そして強制立ち退きですな」。
 この類いの証言は枚挙にいとまがない。満州に渡った滋賀県満州報国農場の事例では、農場長だった辻清が戦後、強制買収についてこう語っている。「原住民の[中略]泣き喚いて、土間に土下座して頼む姿は、まことに哀れであった」。「満人も鮮人も、私を私を恨んでいるだろう。私の顔をよく覚えているだろう......逃げる途中で、もし、その人たちに捕まったら、それこそ、寄ってたかって私に恨みを晴らすだろう」。凄絶な引き上げの背景にあったのは、日本人による満州国建国と入植、そのための現地住民の土地の強制買収と立ち退き、そしてそれを可能にした、日本の圧倒的な軍事力の優位であった。”
 
6章 事件の背景

歴史の屑拾い 藤原辰史bookclub.kodansha.co.jp/produc

この本も良かった。身体に現れる抵抗というところも。

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