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第一章 哲学を定義する
抵抗にいいも悪いもない

 “抵抗は、それがうまくいくかいかないかという価値判断とは無縁です。
 なるほど、戦略的な抵抗を企むこと、抵抗の有効な組織化を計画すること、要するに「勝つこと」を考えることにも意味がないわけではありません。勝てるに越したことはないでしょう。しかし、獲得されるべき効果や成果から遡って抵抗の是非を問い、良し悪しを判定するようなことにはまったく意味がありません。抵抗に、いいも悪いもありません。”

“皆さんは、叩かれて「痛い」と言っている人を見て、「きみが『痛い』と言って何の意味があるのか?叩いてきた奴に反撃しなければ意味はない。だいたい、その『痛い』という声は小さかった。どうせ言うなら大声で、相手に確実に聞こえるように言うべきだった」云々と批判するでしょうか?そんな批判は無意味です。”

“叩かれて「痛い」と言うこと、これはすでに抵抗です。(略)「もう、こんなことはいやだ」ということがおのずと発せられている。抵抗というのはそういうものです。”

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第五章 いまがその時間 
タイムリーではない運動

 “率直に言って、私が関わった直接行動作戦は数あれど、いまのところそのなかに、人種隔離という疾病で不当に苦しんだことのない者たちから「タイミングがいい」と見られたものはありません。もう何年にもわたって、私は「待て!」という語を耳にしてきました。これは黒人の一人ひとりの耳に馴染みのもので、心を突き刺すように鳴り響くものです。この「待て!」はまずもってつねに、「絶対だめだ!」を意味してきました。私たちは、ある高名な法律家の言っている、「あまりに長く延期された正義は、拒否された正義である」ということがわかるようにならなければなりません。”

バーミングハム刑務所からの手紙
『私たちはなぜ待てないか』キング,1964

 “キングが言うのは、抑圧する側から「ちょうどいいタイミングでおこなわれたタイムリーな行動だ」と評価してもらえるような運動など、定義上ありえないということです。”

shueisha.co.jp/books/items/con

投稿した文章の訂正ができればいいのだけど。誤字をよくするので。

 “忘却がもたらすもうひとつの困難は、ポジティブな変化や人びとの力を示す例、つまり私たちに何かができること、あるいはすでにやったことを証す事例が失われることだ。ジョージ・オーウェルは「過去を支配する者は未来を支配する。現在を支配する者は過去を支配する。」と書いている。過去を支配することの第一歩は過去を知ることだ。私たちとは何者であり、何をやってきたのかを語るストーリーが、私たちがこの先にできること、することを左右する。絶望はしばしば時期尚早でもある。それは不可避性だけでなく性急さの形式でもある。”第三版への序文(二〇一五年) 希望が拠って立つもの
 

暗闇のなかの希望 増補改訂版 ─語られない歴史、手つかずの可能性
レベッカ・ソルニット 著 , 井上 利男 翻訳 , 東辻 賢治郎 翻訳
chikumashobo.co.jp/product/978

理念は力を持っている 坂本龍一

 “理念と現実の二元論、「理念はきれいごとにすぎず、現実とは違う」というような考えに対して、理念は力を持っているんだ、という反発が僕の中にあります。それはもしかしたら、三島由紀夫が死をもって訴えたことに少し近いのかもしれない。三島由紀夫が自刃した時、僕はちょうど一八歳で、やはりあの事件には大きなショックを受けました。”

 “日本は人権後進国で、実際に女性もいろいろな局面で差別されているし、他にも抑圧を受けている側の人たちがたくさんいます。やはり、その人たちにとっては憲法の理念はきれいごとではない。現実だからといって、それを肯定しなければいけないということは全くない。現実が間違っているのだったら、それは直さなくてはいけない。僕はそう強く思います。”
 

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 “これらの負い目はあまりにも重くて、どんなに負い目を軽減する物語を作って自分に読み聞かせても解消することができない。死者たちは夢のなかで幾度も蘇り、のどもとを締め付ける。振り払えないからこそ、もう、理想の濁流に飛び込むしかない。表現しつくせない後悔を捨て去れないのであれば、ここまで来てしまった以上、もうこれしかないのだ──そんな悲壮な覚悟を、戦後三一年たって生まれたわたしでさえも、日本国憲法の前文を読むたびに感じるのである。”
 

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憲法前文の勢いについて 藤原辰史
 
 “いつもあなたは威張っていたけれど、ずっと内心びくびくしていたことをわたしは知っています。心は完全に振り切れました。あまりにもたくさんの人が、焼き焦げ、熱に溶け、餓えて死に、自殺を強要され、船とともに海の底に沈み、人々を撃ち殺し、手足を引きちぎり、毒ガスで呼吸を止めました。我が子を水につけて殺し、家族と毒薬を飲み、手榴弾を胸元で爆発させ、海に身を投げました。この期に及んで、わたしは悪くなかった、時代が悪かった、しょうがなかったんだ、なんて、あなたは所詮その程度の人だった。理想が簡単に実現しないなんて百も承知です。でも、わたしの荒みきった暗い心も、放射能に浸された子どもたちも、絨毯爆撃された廃墟も、もう、理想以外にすがるものはない。あなたを地中の闇に沈め、二度と這い上がらないようにしてあげましょう......こんな怒りで体の震えが止まらず、上ずっているような声を私は全文の行間に何度も聞いてきた。”

“「あなた」は必然的に自分をも名指す。だから、全文には人類の負い目もまたしみ込んでいる。自分たちが犯してしまった罪に対する身の縮まるような恥をわたしは感じることもある。”

私にとっての憲法iwanami.co.jp/book/b285371.htm

軍に対する「恩義」と退役軍人への敬意、感謝。軍隊と教育の結びつき(GIビルやROTCなどの大学進学のための援助)。

“つまり、(正式な)軍隊を持つということは、それを維持するために、社会が軍や兵士に恩義を感じ、尊敬する仕組みが必要であるということなのです(軍隊を持たないはずの日本でも前述の「靖国」などに、こうした仕組みが見えます)。その一方で、軍隊も兵士たちのセーフティネットとして機能することで、恩義の念を強化します。そうした社会では、軍を批判することは必然的にタブーになってしまうことは、効果的な反核メッセージを伝えるためにも、意識しておく必要があります。”

第二次世界大戦後の義肢の発達と男性性の復活、という点も印象的だった。優位性と庇護感、軍隊と我々の関係。

“自立した体があるからこそ、女性に対して保護を申し出ることができ、相手に対する「保護を与える」という優位性がマチズモを支えている” 

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“この論争で明らかになったことは、博物館・美術館の展示において「ニュートラル」という立場はない、ということです。歴史とは単なる事実の羅列ではなく、どういった事実を選択するか、それをどうつなげて語るか、によって構成されるているものです。そして、様々な事実や「語り」から、どのように選択し、それらを繋ぎ、可視化していくのか、という学芸員の見解が展示に反映されます。そうした選択と「語り」の一貫性が展示に物語性をもたらすことになるのです。”

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第3章まで。

1995年 スミソニアン論争
 “計画によると、主要学芸員のマーティン・ハーウィットは、原爆の展示に際して日本側の視点を加えようと、広島や長崎の資料館から展示物を借り受けることになっていました。しかし、この展示計画を知り、退役軍人の会が筆頭となって、反対の旗印をあげました。彼らの主張は、「自分たちの声がこの展示計画には反映されていない」「誰のための博物館なのか」というものでした。彼らは政治家を動かし、展示の中止を求めました。”

 “この過程でハーウィットの出自自体も取りざたされます。イスタンブール生まれでハンガリーの血を引く移民であることから、ハーウィットは「非国民」だと糾弾されます。また、展示計画委員会にカナダ出身者や日本出身の歴史家などが入っていたため、「委員会は「公平」とはいえない」という批判が相次ぎました。その結果、ハーウィットは辞職を余儀なくされ、企画は大幅に変えられて続行することになりました。”

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さんがブースト

また、チャイルドマレスティング(児童虐待)を行なった者の全員がペドフィリア傾向を持つわけではなく、決してイコール関係で結びつけてはならないものです。「(実際になされた)行為」と「属性(=行為可能性と同一視されがちなもの)」を結びつけないようにしましょう。批判すべきなのは前者です。

x.com/lchannel_/status/1712286

関東学院大学法学部の牧瀬稔教授
「十分な研究をしていないと推測され、県民の声も反映されていない。提案条例の実績が多いという成功体験に引っ張られ、条例を出すことが目的化されていたのでは」
「市民が抱える問題を解決する政策を作る役割は重要。集会などで意見を聞く機会が多いからこそ、提案できる条例がある」
「ただ選挙を意識しているかのような、実のない条例を提案しているケースもある」

digital.asahi.com/sp/articles/

“西側政府の偏見や選択的憤りは、今に始まったことではない。私たちが何年も、何十年も、イスラエルの占領と暴力と差別に苦しむ中で、彼らは私たちに目を向けたことも、気にかけたこともなかった。”

“問題は、私たちがここからどこへ向かうかだ。”

ガザに闇が落ちる時、世界が私たちにも目を向けてくれることを願う
cnn.co.jp/world/35210266.html

同じ「困難を克服する」語りのパターンでも、依って立つ背景は違うのかもしれない。文化、価値観、信念、生活観など。

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語りのパターンを分析すること。
従軍した兵士たちのPTSDが認知され対処法も多様化しているが、根本的な解決方法──戦争反対にはなかなか結び付かない。
戦争での心理的負担を減らす遠隔攻撃、PTSDを克服し、精神的苦痛を乗り越える物語(語り)を目指す。

アメリカにおける「困難を乗り越える」語りのパターンの強さ。

これは日本においてもそうではないかとは思ったが(障害者と感動)、被ばくされた方々の証言を聞く、という機会には発生しにくいかもしれない。私の経験に限ることではあるが。 

なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識iwanami.co.jp/book/b515759.htm

特権という言葉は本当に嫌いだ。

>反対派は「一部の国民に特権を与え、社会の分断につながる」などと主張。

先住民の地位を明文化する改憲案 オーストラリア国民投票で否決mainichi.jp/articles/20231014/

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