反差別ブレーキとしての社会運動が圧倒的に弱く、政治家やマスコミもレイシズム煽動を報道することもない社会構造はどのように成り立っているか。
・一九五ニ年体制による国籍法、入管法への反レイシズムという社会正義がない。極右に対する規制がない。
・プラザ合意以降、大企業の多国籍企業化、グローバル化とそれを背景にする北朝鮮敵視せいさくを背景とした政治による差別煽動の常態化。
・経済のグローバル化による国内産業の空洞化、労働力の非正規化圧力の強化。日本社会の非正規化、「正社員」という社会人モデルに若年層はじめ手が届かなくなったこと。
#読書
第六章 日本のレイシズムはいかに暴力に加担したのか
レイシズムとは何か
梁 英聖
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073532/
ここで指摘されている、昭和天皇の戦争責任を問わずタブーとすること。
『野蛮の言説』での、最大の責任者である「大元帥」が戦争責任を問われなかったことを思い出す。
#読書
“すなわち、昭和天皇は〈戦前〉と〈戦後〉が断絶しつつも連続している関係性の象徴でもあり、(七三一部隊を率いた石井四郎)石井をはじめ「免責された者が戦後社会の中枢に居続ける構造を可能にしてきたのだと言えます。”
野蛮の言説
https://www.shunyodo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000692
読み返している。
#読書
“ニ〇〇一年には同議員(自民党極右議員)らがNHKに圧力をかけ、ニ〇〇〇年の女性国際戦犯法廷を取材した番組が放映直前に改編された。同法廷はアジア各国の「慰安婦」被害者らの証言と関連資料をもとに具体的な被害・加害を詳細に明らかにしたうえで、国際人権法の専門家を招いて開廷した極めて水準の高い民衆法廷であり、国際的には大きな反響を呼んだ。
だが安倍晋三(当時官房副長官)はNHK幹部に直接会いにゆき、「偏った番組」であり女性国際戦犯法廷は「北朝鮮の工作員によるもの」というデマを用いて、圧力で番組を変えさせた。(略)だがこの露骨な政治圧力による言論弾圧事件は野放しにされた。なぜならば扱っていた内容が「慰安婦」問題と昭和天皇の戦争責任を認めると言う内容だったからであり、マスコミ一般がタブーとしてほとんど黙殺したからである。
歴史否定を使って極右が攻勢をかければ、国や自治体はもちろん政治家やマスコミさえ沈黙し、ほとんど何の抵抗もなくレイシズムが増大するという、ニ一世紀日本で日々みられるパターンがこの時にすでに確立されていたのである。”
レイシズムとは何か
梁 英聖
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073532/
「言論のアリーナ」、アリーナという言葉の勇ましさに警戒する。マチスモを感じるので。
何を言ってるんだこの人…「トランスジェンダーを増やそうとして、何か知られたくない不都合な真実でもあるのだろうか」
KADOKAWAジェンダー本の刊行中止「抗議して委縮させるのは卑怯」 武蔵大の千田有紀教授 https://www.sankei.com/article/20231206-3KFCAMLHYJGPZLDG4UDXYPYAHM/ @Sankei_newsより
KADOKAWAのヘイト本についてこれを思い出した。「女性/子どもの安全を(が)守れ/脅かされている」「伝統的な家族の崩壊」
同性婚、夫婦別姓… 「変われない日本」の背後に宗教右派https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/010/074000c
“例えば「男は強くあれ」といった規範意識は、「被害に遭うなんて情けない」「襲われたのは弱かったからだ」という方向に思考や感覚を導いていく。また、「被害がバレたら偏見の目に晒される」という恐怖には、同性愛を“正常ではないもの”として位置づけるこの社会のホモフォビアが関与している可能性が高い。”
『男性の性暴力被害』 宮﨑浩一、西岡真由美著
動揺したくない私たちが、これ以上被害を傍観しないために
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/review/25498
ヘイト本について
これは完全に私の恨み言になってしまうし、今まで知らなかった人がいるのは仕方ないとは思うんだけど、みんなの意見で刊行中止にできるなら中韓ヘイト本がこんなに蔓延る前に止めて欲しかったという気持ちがどうしてもある。
私は当事者なので中韓ヘイト本を見つけるたびに、出版社に意見を送ってきたしネットでも批判してきた。手応えがあったことなんか無い。
どの出版社も中韓ヘイト本を出しているので、私自身も諦めてヘイト本を出している出版社の本を買ってきた。そうしないと読める本がないし、勉強もできないから。
今回、ヘイト本の刊行は批判の声で止められるんだと証明されたことで、今まで中韓ヘイト本が無視されてきたことも証明されてしまったと思う。止められるんじゃん。止めて欲しかった。なので、今からでも止めてほしい。
中止はとりあえず良かったけど。
“本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが”
この辺りは納得がいかない。
学芸ノンフィクション編集部よりお詫びとお知らせ
https://www.kadokawa.co.jp/topics/10952/?s=09
“重要であるのは、西洋における他者蔑視の表象である〈野蛮の言説〉をヒトラー個人に還元せず、西洋植民地主義の明白な帰結のうちにヒトラーの思想をも位置付けることです。そのことを確認すべく、飽くことなくエメ・セゼールの『植民地主義論』(一九五五年)の次の言葉を引用しておきます。
「ヒトラーか? ローゼンベルクか? いや、ルナンだ」。”
第一一講 ナチズムの論理と実践
植民地主義からホロコーストへ
野蛮の言説
(春陽堂ライブラリー 2)
著者: 中村隆之https://www.shunyodo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000692
“〈戦後精神〉とはナチズムを〈野蛮〉の烙印を押すことで、これに連なる言説の系譜を徹底的に批判し、科学的言説の効果を無効化します。(略)ナチズムの言説とは、一八世紀から一九世紀にかけての人種をめぐる科学的言説を基盤としています。とくにその直接的影響は、いわゆる社会ダーウィニズムに求められます。こうして社会ダーウィニズムにまつわる言説はナチに連なる無根拠にして害悪な「似非科学」だと断罪され、忘却
されていくのです。”
“むしろ社会ダーウィニズムからナチズムに至る言説を「似非科学」だとして切り捨てるその〈戦後精神〉あるいは西洋の啓蒙の言説こそが、文明と野蛮の構図のなかで発想される、オーソドックスな〈野蛮の言説〉である、と言えば言い過ぎでしょうか。私たちの取るべき立場は、ナチズムの言説をヨーロッパの土壌から十分な知的養分を得て形成された怪物的な言説だと捉え直すというものです。”
第一一講 ナチズムの論理と実践
植民地主義からホロコーストへ
野蛮の言説
(春陽堂ライブラリー 2)
著者: 中村隆之https://www.shunyodo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000692
“アフリカ分割以降の植民地支配のなかで西洋では「文明化の使命」や「白人の重荷」の標語のもとで他者を劣等人種、教化すべき子供、未開人として表象し、支配を正当化してきました。そして、この他者の矮小化をつうじて虐殺をおこなってきたのです。ナチズムもまた、ヨーロッパ内にユダヤ人という〈内なる他者〉を見出し、ユダヤ人やロマ(他称では「ジプシー」)といった他者を人種主義的な言説のもとで排除し、最終的にはその存在の抹殺にまで突き進みました。”
“文明と野蛮の構図のもと、他者を〈野蛮〉と表象し、他者から人間性を剥奪するその言説の効力は、「新大陸」のインディオ虐殺からユダヤ人ジェノサイドまで変わりませんし、ナチズムの言説がこれまでの〈野蛮の言説〉の素地のうえに成り立っていることはこれからみていくとおりです。”
野蛮の言説 (春陽堂ライブラリー 2)
著者: 中村隆之https://www.shunyodo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000692
日本時間12月6日(水)21:00~ 安田菜津紀さん、佐藤慧さんのRadio Dialogue(Youtubeでのラジオ番組)に、吉見義明さんがご出演されます。テーマは「河野談話30年と歴史否定」ということで、ラムザイヤー論文問題も話される予定と聞いています。ぜひお聴きください!放送時間後にもYoutubeで聴くことができます。
“判決では原告が勝利した。しかし、その後の政治は、判決を疑問視する潮流を意図的につくりだし、それを一定程度、定着させてしまった。
それを可能にしたのは、日本海側の農村に対する「後進的」「封建的」という差別と偏見であった。自らの責任を隠蔽するために公害の被害地域の「後進性」を強調する企業の差別的論理は、後述するように水俣病の場合においても同様であった。”
“一九六五年二月、『文藝春秋』五三巻二号に児玉隆也の「イタイイタイ病は幻の公害病か」というルポが掲載される。それは、イタイイタイ病の主因はビタミンDの欠乏であるとする説を詳細に紹介し、カドミウム説を「魔女狩り」と比喩するもので、まさに、イタイイタイ病は萩野や原告・弁護団によって捏造された「幻の公害病」であったと結論付けるものであった。”
“さらに、『文藝春秋』は、同年一二月の五三巻一二号にも、「グループ一九八四年」という覆面グループによる「現代の魔女狩りー日本社会は狂っていないか」と題するルポを掲載、公害を告発し、企業に賠償を求める行為を「現代の恐喝」と表現し、イタイイタイ病裁判を「全く「非科学的」な諸基準、規制値をつくりだし、莫大な経済的負担を日本社会に負わせつつ、一部の公害告発屋、魔女狩りの狩り手たちだけを富ませる結果となった。」と全否定した。”
“日本鉱業協会は、児玉隆也のルポが掲載された『文藝春秋』を大量に購入し配布、さらに二月ニ六日には、第七五回国会衆議院予算委員会第一分科会で、自民党の小坂善太郎は、児玉のルポを根拠に、一九六八年の厚生省見解への環境庁の認識を質した。”
イタイイタイ病栄養障害説
“すなわち、富山平野という米の単作地帯であるがゆえの米食過食と農繁期の過労働、それゆえの産前産後の休養の過少、そして日照時間の少なさ、迷信に囚われた食生活、妊娠中の女性に栄養を与えない舅姑気質をあげ、さらに「性生活の無智」を指摘する。これはどういうことかと言うと、楽しみの少ない農村では、睡眠時間が四六時間しかとれない農繁期でさえ、妻は夫の性交の相手をしなくてはならず、そのため、さらに睡眠時間を短縮させ、疲労を高めるというのである。”
“まさに、当時、富山県の「封建的農村」に暮らす人びとの栄養や衛生への無知と女性への差別意識がもたらした餌不足が原因の骨軟化症がイタイイタイ病であるという認識が定着されようとしていた。
読んだ本 これから読みたい本のメモ 思うことなど トランス差別に反対しています
takako3599@ohai.social こっちも