必読。「性同一性障害特例法」制定から20年、「手術要件」が最高裁大法廷で審理される件について、山形大・池田弘乃さんの論考。当時の法整備の状況に敬意を払いつつ、2019年の最高裁決定で「違憲の疑いが生じている」とされた点などを解説。多様な当事者の実態を踏まえ「もし本要件がなくなれば、必要としない者が性別変更のために無理を強いられることはなくなるし、諸事情で手術が困難な者にも性別変更の可能性が広がる」。一方で「この要件がなくなってしまうことに懸念を覚える人もいるだろうか」とトランス排除言説に釘を刺している。「社会生活上、性別により区分されている事柄は、適切な社会通念に委ねることを基本として、関係する全ての人の健康上・安全上の利益が保全されるように理にかなった擦り合わせを行っていくのが基本」「『漠然とした観念的な懸念』でリアルな生存と生活に関わる特例法の問題を裁断してはならない」
「特例法という問題で問われているのは何よりも多数者のあり方である」という言葉が重い。記事を読むには会員登録が必要ですが無料なのでぜひ。
https://www.jiji.com/jc/v8?id=202301gender
Xジェンダーに近いという生徒、中3の頃髪を伸ばしたくても校則で「男子は短髪」。性自認を明かさず「偏見だ」と先生にかけ合うも「地域の視線が」「LGBTQなら保護者の申し出あれば個別対応する」と。学校側の認識が何重にも、というか根本的に問題がある。まず「LGBTQは特殊」と別枠に押し込むことは根本的な差別や偏見の問題の解決に繋がらない。まず大人が自らの性に関する規範を捉え直すべき。
そもそも教職員は頭髪など自由に表現できる権利を持っていて、なぜか子どもに関しては強制できるというのは勘違い。子どもの権利を侵害しているという前提の認識が欠落。もし制限するなら合理的な理由が必要だが説明できないなら今すぐやめるべき。生徒から声が上がっているというのは、社会のルールについて自ら考え必要があれば変えていくという、法や社会のあり方を考える良い機会なのに、頭ごなしに合理的な説明もなく否定するのは「管理」でしかない。そもそもの教員と生徒という非対称な「権力」の関係に無自覚な大人の側の問題。
https://mainichi.jp/articles/20230121/k00/00m/040/103000c
"誰の生殖を社会で規範化し、正しいものとして促進する一方、誰の生殖を排除し、誰の生殖を初めから想定しすらしないのか。国家はいつもその答えを用意している。人口の「量」と「質」に、国家はつねに興味を持っているからだ。少子高齢化を憂うこの国の政権与党が、「生産性」のない次世代の出生や、外国にルーツをもつ人々による生殖を歓迎しているはずがない。日本という国家にとって、殖えるべきは「生産性のある」労働力であり税収源であり、日本文化を継承する、人種的に”正当な”日本人だから。
国家による「量」と「質」の管理が、ずっと続いている。生殖の権利をないがしろにする政治状況が、ずっと続いている。その権利侵害が、優生保護法の「優生条項」として、そして「経済的理由」を削除しようとする暴政として、性同一性障害特例法の不妊化要件の存置として、続いている。
ここにあるのは、1つの現実だ。生殖の権利の侵害。
国家による人口の「量」と「質」の管理に対する抵抗。わたしの尊敬する女性運動の先輩から受け継いだ知恵は、2023年の現在においてもあまりに新鮮(フレッシュ)で、あまりにもアクチュアルだ。"
ばらばらにされた1つの権利 - ゆと里スペース https://yutorispace.hatenablog.com/entry/2023/01/15/210148
「ハーフ」等と呼ばれる人々がスポーツで活躍した時、いくら血反吐が出るような努力をしていてもそこは認められず、「やっぱりハーフだから」「外国の血が入っているからだ」などと周りから時にはコーチや先生や身内から言われることがありますが、ぜひ本人の積み重ねてきた努力を賞賛してください。
インタビューをしてきた方の中では、インターハイに出場するレベルの選手が身内から同様のことを言われてスポーツの道を諦めざるを得なかった人もいました。その影響をぜひ考えてみてください。それぞれの「人種的」バックグラウンドの中で人によって得意不得意があるのは考えればわかることだと思います。こういう「人種」だから、こういうことが得意・不得意だというイメージは人種的ステレオタイプとしてテレビなど様々なメディア媒体から刷り込まれていることを自覚し、ぜひ本人の努力にフォーカスをあててください。
これは他の分野でもいえることだとおもう。この肌の色、この自分自身の生は現存たるものであると同時に、また置かれた社会的状況があると同時に、本人が努力して日々積み重ねてきたもの、ずっと続けてきたこと、歯を食いしばってやり抜いてきたことがある、そういうのがルーツばかりがフォーカスされる中で、わかりやすい物語りとして消費され抜け落ちてしまうという事はよくある。
これは「人種なんか関係ない」というカラーブラインドな姿勢にも注意が必要です。
人種的民族的なバックグラウンドに関連して起こる差別の構造をしっかり指摘することと、活躍した個人の努力にフォーカスして賞賛することは、両方同時に成り立ちます。
そして同時に、
一見矛盾しているように見えるカラーブラインドネスと、人種のステレオタイプの影響は、それぞれが現実の人種差別的な構造を温存・持続させている、という現実的な側面では実は同様の効果を持っています。
なのでそれぞれを同様に批判していくこともとても大切です。
「きみは〇〇人のルーツがあるからこれが得意なんだ」というステレオタイプと、「きみは自分と同じ地球人。なにも違いはない!」という姿勢は、同様に有害な効果・影響をもたらしています。
JR東日本の男性駅員が、視覚障害のある女性利用者に「胸重くない?」「おんぶしてあげる」など性的な発言を繰り返していたと報道。駅の「お客様対応中」アナウンスにより、障害のある女性が痴漢やストーカー被害にあっている問題が報じられたばかり。駅員がこれでは絶望的。
https://digital.asahi.com/articles/ASR1F76YWR1FUTIL04B.html
駅の「お客様対応中」アナウンスで、障害者の乗車が伝わってしまい、「いたいた!手伝ってあげるよ」などと荒い息で迫られ、ぴったりくっつかれて動けなくされたり、降車駅で待ち伏せされて家までつけられたりするなど、障害女性の痴漢やストーカー被害が起きている。
https://www.dpi-japan.org/blog/workinggroup/traffic/stop_announce/
フランスで、同性愛を理由に学校でいじめを受けていた13歳の少年が自殺。心が痛む。交通担当相の「同性愛嫌悪は人を殺す」という言葉を強調したい。日本の調査でも同性愛・両性愛者はそうでない人と比べて自殺未遂の割合が6倍高い。政府もLGBTQは自殺のハイリスク層と指摘。
https://www.afpbb.com/articles/-/3446987
みなさん、おはようございます
年明けはこちらの企画の準備に追われていましたが、やっとお知らせできる段階になったのでご案内します。
〈学校で教えたい授業〉
https://lit.link/jyugyou2023
貧困、生活保護、ジェンダー、不登校、外国ルーツの当事者、人間と動物の関係など、学校の授業では取り上げられることが少ないものの、学んでほしいテーマがあります。どれも身近な問題であるにもかかわらず、子どもたちが学び、当事者と語りあうような場は、ほとんどないというのが現状です。
そこで、それぞれのテーマや現場で活動(あるいは研究)する者が集まり、これらのテーマについての授業を行い、意見交換する場をもつことにしました。学校で教えたい5つのテーマについて、50分×2コマ=100分程度の授業を行い、最後に、それぞれの問題に共通する社会的背景や課題について話し合う共同討議を行います。
差別や貧困を絶ち、新たな社会を創造するための授業がどのようなものか、ともに考え、学校や社会での実践につなげていくため、教育現場ではたらく方はもちろん、教職を志す学生の方、子どもと関わる方など、幅広い皆さんのご参加をお待ちしています。
(続きます)
なんか、インターセクショナリティ概念をなんとか否定したいという人の中で、インターセクショナリティを「かわいそうランキング」のような意味で誤認しているケースがあって、それどういう理解のしかた?とよくわからなかったのですが(少なくともインターセクショナリティをそうやって分析の際に定義して使っている研究者や実践者を見たことがない)、
昨日ふと思ったのですが、それってインターセクショナリティを理解する以前に発想の枠組みとして、新自由主義的発想の枠組みの中でインターセクショナリティを解釈しようとしてしまっているから競争やランキングといった発想になってしまうのかなとなんとなくガッテンがいったような気がしました(なんとなくですが…)。
コリンズとビルゲもしっかりと本の冒頭あたりで新自由主義と社会民主主義の違いを説明していて、特に人々の参加型民主主義を大切にする社会民主主義がインターセクショナリティと関連していると説明していると思うのですが(反対に新自由主義は人の生活よりも市場原理を最優先してしまうためインターセクショナリティの考え方とは合致しない)、新自由主義が理解の前提になってしまっている場合にランキング的なものとして解釈してしまうのかなと思いました。
話は変わりますが、イデオロギーについて説明するとき、なぜか日
地方で暮らす性的マイノリティの自死をなくすためのイベント。トランス男性の福井さん、15年ほど前に睡眠薬を大量に飲んだ過去。「心の中で息が吸えないぐらい(死にたい気持ちが)ほこりのように積もっていて、家族も友達も先生も誰も『掃除』してくれなかった」福井さんの姉・中村さん「家族が『幸せになれないのでは』と心配する気持ちが、当事者を追い詰めてしまう」のではと。「まずは情報を知ることが大切。当事者や家族同士がつながる場所があればいい」適切な情報、それぞれの幸せがあるという事実を知ること、ロールモデルの存在の重要性。
https://mainichi.jp/articles/20230110/k00/00m/040/081000c
とても大切な論考。嬰児遺棄、中絶、台湾の同性婚、ガザへの空爆などが取り上げられ、「人権」が「思いやり」などと認識が歪められたり、多数派の「理解」が求められたり、いかにこの国で「人権」という考え方が欠如しているかを指摘。「もううんざりだ」。広く読まれて欲しい。
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQDQ3GDFQDMUPQJ00D.html
お知らせです!
以前、非正規職員として働いていた港区立男女平等参画センターでご縁があり、1月28日に講座を行うことになりました!
港区以外でも、テーマに関心がある方は誰でも参加可能・無料・オンライン講座です!
様々な要素の重なりを重要視するインターセクショナリティ(交差性)の視点から「ハーフ」の歴史(表象やイメージ)や経験について資料を使ってお話しする予定です!
(申し込み期限は定員に達し次第で締切予定とのことです)
どしどしご参加下さい!
申し込みは港区立男女平等参画センターのイベントページこちらから↓
コロナ禍で女性が大きなダメージを受けた経済状況を「She+Recession(不況)」を掛け合わせた造語「シーセッション(女性不況)」。コロナは、男性が多い製造業を中心に失業者が出たリーマン・ショックと対照的に、非正規雇用の女性に大きな打撃。理由は三つ「休業などの影響が出た飲食や宿泊業界の働き手の6割が女性だったことと、家事・育児の負担が女性に偏る中で外出自粛が求められ、女性の方が離職や休職を迫られたこと。そして、女性の半分が、雇用調整の対象となりやすい非正規労働者だったことだ」国が掲げる「女性活躍」は「一部の優秀な女性のキャリアをどう引き上げるかに焦点を当て、非正規対策は後手」「普通の女性たちに焦点を当て、働けば生活が良くなると実感できる賃金水準や、労働条件の改善を進めていく政策」が必要。重要な指摘であると同時に、例えば人種や民族、性的指向、性自認、障害など、"普通の女性"とされる層からさらに取りこぼされる複合的な困難に直面するマイノリティ女性の存在がカバーされる政策の必要性も指摘されるべきと思う。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/223338
RT @Yutorispielraum@twitter.com
【告知】今年の春~夏ごろ『トランスジェンダー入門』という新書が出ます。トランス男性の周司あきらさんとの共著です。もう書き終わりました。トランスジェンダーとは?性別移行とは?特例法とは?フェミニズムとの関係は?そんな基本の知識の詰め合わせ。やっと、日本語でトランスの入門書が出るよ!
🐦🔗: https://twitter.com/Yutorispielraum/status/1609565768076906496
「2022年のLGBTQ映画&ドラマを振り返る」という記事を作りました。「そう言えばこんな作品あったな」「この作品は観てないぞ」とか、そんな感じで気軽に読んでみてください。100作以上紹介していますが、これでも一部しかピックアップできていませんので、そこはご了承ください。
https://cinemandrake.com/2022-lgbtq-film-drama